2023年08月22日

20代で税理士を目指すのは遅い?会計事務所への転職は可能なのか?

管理部門・士業の転職

変化のスピードが早い現代では、早期キャリア形成を意識して行動することが重視されています。
文科省が掲げる「キャリア教育」のように、10代以前から自分のキャリア形成に目を向ける教育の重要性が指摘されており、20代からのキャリア形成は遅いという意見もあります。
しかし、社会人の受験も多い税理士試験は、20代から受験してもまったく遅くなく、むしろ早い決断と言えるでしょう。
この記事では、税理士を目指す20代向けに、会計事務所への転職の可能性について解説します。


管理部門・士業の転職

そもそも税理士になるためには?

具体的なキャリア形成について解説する前に、まずは税理士になるためのルートについて理解する必要があります。
この記事では、高校卒業後に選べる主なルートをご紹介します。

「学識」の要件

以下のいずれかに該当する場合
・大学、短大又は高等専門学校を卒業した者で、社会科学に属する科目を1科目以上履修した者
・大学3年次以上の学生で社会科学に属する科目を含め62単位以上を取得した者
・専修学校の専門課程(ア.修業年限が2年以上かつ イ.課程の修了に必要な総授業時数が1,700時間以上に限る。)を修了した者等で、社会科学に属する科目を1科目以上履修した者

その他のケースとしては、司法試験の合格者、公認会計士試験の短答式試験合格者などが該当します。

「資格」の要件

日商簿記検定1級に合格した人、または全経簿記検定上級に合格した人は、税理士試験の受験資格を得られます。
資格さえ取得すれば、大学を卒業することなく受験できますし、資格取得自体が会計事務所等への転職に有利に働きます。

「職歴」の要件

税理士試験の受験資格を得られる職歴上の要件としては、以下の事務・業務に通算2年以上従事することが条件となります。

  • ○弁理士・司法書士・行政書士・社労士・不動産鑑定士の業務
  • ○法人、個人事業主の会計に関する事務
  • ○税理士・弁護士・公認会計士などの業務補助
  • ○税務官公署における事務、その他の官公署における国税・地方税に関する事務
  • ○行政機関の会計検査等の事務
  • ○銀行等での貸付等に関する事務

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税理士試験受験者の年齢層は?

税理士試験の受験者に関するデータは、国税庁のサイトで公表されています。
令和4年度の税理士試験結果によると、税理士試験の受験者の年齢は、以下の通り分かれています。

年齢 人数
25歳以下 4,929
26~30歳 4,131
31~35歳 4,581
36~40歳 4,407
41歳以上 10,805

上記のデータを見てみると、30歳を含む20代は9,060人、40歳を含む30代は8,988人と、年代ごとに大きな人数の差は見られません。
総じて、各年齢層でバランスよく税理士試験受験者が分かれているため、20代だからといって肩身の狭い思いをする心配はないでしょう。


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税理士資格取得までには何年ぐらいかかる?

20代から税理士資格取得に向けて勉強した場合、一般的には合格するまでどのくらいの時間がかかるのか、気になる人も多いのではないでしょうか。
以下、税理士資格を取得するまでにかかると想定される時間や、取得時間を短縮するための方法について解説します。

税理士資格取得までにかかる時間

一概には言えませんが、税理士資格を取得するまでには、概ね5~10年ほどかかるものと予想されます。
社会人の受験が多いことから分かる通り、長期的なスパンで受験スケジュールを立てている人も多く、一つひとつの科目の難易度も高くなっています。

多くの受験生が、簿記論・財務諸表論の合格を目指して勉強をスタートします。
しかし、どちらも受からなかったり、どちらか片方しか合格できなかったりするケースは、往々にして存在しています。
受験1年目で両方合格できたとしたら、幸先の良い最高の滑り出しと言えるでしょう。

税法に関しては、科目によって難易度も違います。
特に、法人税法・所得税法・相続税法のいわゆる「国税三法」に関しては、ボリュームも多く難易度も高いことから、数年かけても合格できないリスクがあります。

大学院による科目免除を活用することも有効

税理士試験は、大学院で税法・会計学に属する科目を修得し、その上で修士論文が国税審議会の審査で認定されれば、税法または会計学の科目につき一部免除が認められます。
ただし、税法の科目免除の申請を行うためには、税理士試験において税法1科目以上の合格が必要です。
合格の時期に関しては、大学院入学~修了の前後を問わないため、大学院に進学する場合は科目免除を活用することでより早い時期に合格に近づけます。

一昔前は、科目免除による税理士資格はあまり評価されず、転職時に不利になる場合もありました。
しかし、近年では科目免除による資格取得も一般的になってきているため、転職時に不利になるケースは少なくなりつつあると言えるでしょう。


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実務未経験でも会計事務所に転職可能なのか?

実務未経験でも 会計事務所に 転職可能なのか?

税理士試験合格という条件はいったん脇に置いて、実務未経験の場合でも、20代が会計事務所に転職することは可能なのでしょうか。
以下、実務未経験で会計事務所を目指す際に、押さえておきたいポイントをご紹介します。

未経験でも転職可能

結論から言うと、実務未経験者が会計事務所を目指すことに関しては、まったく問題ありません。
特に、税理士補助は未経験者でも採用される確率が高いため、20代なら一度応募してみる価値はあるでしょう。

税理士補助が行う主な業務は、記帳や会計業務(月次決算等)・給与決算・年末調整の代行などが該当します。
その中で、実務未経験者が担当する職域は、会計ソフトを使った仕訳・記帳代行などの会計処理がメインになるでしょう。

クライアントから書類を預かることが多いため、ファイリングのような雑務も担当します。
外勤として働く場合、クライアントのオフィスを訪問して、相談を聞いたり現場でしかできない会計処理を行ったりすることもあります。

未経験者の求人の探し方

未経験者が自ら求人を探す場合、求人情報に書かれた応募条件を詳細に確認し、「未経験者可」と明記されている求人に応募するのが基本戦略となります。
求人サイトから、オフィスワーク等の分類で検索すると、税理士補助等の求人が見つかるでしょう。

地方の場合、フリーペーパーや紙媒体で案件を探した方が、希望する求人が見つかりやすいかもしれません。
より効率的に、自分が応募できそうな案件を見つけたいのであれば、転職エージェントに登録するのが近道です。

なお、正社員よりもアルバイト・パートといった雇用形態の方が、採用基準は低くなる傾向にあります。

必要な資格・スキル・年齢制限

未経験者が、会計事務所への転職の可能性を高める上で、有用な資格の取得はプラスに働きます。
例えば、日商簿記2級は経理・会計職への転職に有利な資格で、採用担当者からも一定の評価を得られるでしょう。

ただし、日商簿記2級が万能というわけではありません。応募者数が多い場合、日商簿記1級の合格者や税理士試験の科目合格者が優遇されることもあります。
日商簿記2級を取得後した後は、その先の資格取得に向けて努力を続けることをおすすめします。

スキルの面では、一般企業の経理職として勤務し、決算書に関連する業務の経験を積んでいると評価されやすくなります。
また、表立って年齢制限を設けている会計事務所は少ないですが、ポテンシャル採用を狙うのであれば、20代後半までがタイムリミットです。


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働きながら税理士を目指すことは可能?

社会人の受験が多いと言われる税理士試験ですが、実際のところ、働きながら税理士を目指すことは可能なのか、気になる人も多いでしょう。
以下、働きながら税理士を目指す上で知っておきたい情報をまとめました。

受験者の圧倒的多数が学生以外

国税庁が公開している令和4年度の税理士試験結果によると、全受験者28,853人うち、大学在学中に受験した人の数は1,463人で、全体の約5%となっています。
つまり、受験者の圧倒的多数が学生以外であり、働きながら受験している人の方が多いものと推察されます。

税理士試験は、1度合格した科目は、永久に有効とされます。
そのため、例えば1年に1科目ずつ合格を目指すなど、自分のペースでスケジュールを立てることが可能です。

税理士試験合格に向けた職場選びが大切

働きながら税理士試験に合格するためには、できるだけ残業時間が少ない事務所を選ぶことが大切です。
せっかく税理士補助として採用されても、その後の受験勉強がおぼつかなければ、職場を離れざるを得ないでしょう。

また、実際に税理士試験の受験生が働いている職場を探すことも重要です。
受験生がどのくらいいるのか、入所後に合格した科目は何なのか、受験生の勤務年数は何年なのかなど、自分が受験に向けて勉強できそうな環境かどうか確認することで、安心して働くことができます。
ただし、事務所の詳細な情報を集めようと自力で調査したり、直接問い合わせしたりするのには限界があります。会計事務所とのパイプがある、転職エージェントを利用して、信頼できる第三者から情報を収集しましょう。


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まとめ

税理士試験は、20代だけでなく、ベテラン社会人が受験するケースも珍しくありません。
むしろ、社会人の受験が多いので、20代から税理士になる目標を立てたとしても、決して遅くはありません。

大学等での科目履修だけでなく、資格の取得や職歴によっても、受験資格を得ることができます。
ただし、会計事務所で税理士補助として働きつつ勉強時間も確保したいと考えているなら、そのような環境を提供する職場を転職エージェントで探すようにしましょう。

管理部門・士業の転職

この記事を監修したキャリアアドバイザー

森澤 初美

カナダ州立大学卒業後、新卒でMS-Japanへ入社。求人企業側の営業職を経験した後、2014年にキャリアアドバイザーへ異動。2016年からは横浜支社にて神奈川県内の士業、管理部門全職種を対象にこれまで3000名以上のカウンセリングを担当。現在は関東全域を対象に経理・財務・経営企画・CFO・公認会計士・税理士・税理士補助スタッフなどの会計系職種を幅広く担当。

経理・財務 ・ 人事・総務 ・ 法務 ・ 経営企画・内部監査 ・ 外資・グローバル企業 ・ 会計事務所・監査法人 ・ 役員・その他 ・ IPO ・ 公認会計士 ・ 税理士 ・ USCPA ・ 弁護士 を専門領域として、これまで数多くのご支援実績がございます。管理部門・士業に特化したMS-Japanだから分かる業界・転職情報を日々更新中です!本記事を通して転職をお考えの方は是非一度ご相談下さい!

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