2023年03月09日

会計事務所・税理士事務所・税理士法人の違いって?業界構造や働き方など徹底解説

管理部門・士業の転職

税理士事務所・会計事務所と税理士法人の違い

「税理士事務所」「会計事務所」「税理士法人」など、よく似ているけど実際どういう使い分けをしているか分からないという方もいらっしゃるのではないでしょうか。
「会計士だと会計事務所、税理士だと税理士事務所」と勘違いされている方もいらっしゃいます。

この記事では、税理士事務所と会計事務所、税理士法人の違いについて詳しく解説します。


管理部門・士業の転職

税理士事務所と会計事務所は全く同じ

前提として、「税理士事務所」と「会計事務所」は全く同じです。

最初に「税理士事務所」と「会計事務所」の違いを見てみましょう。
税理士事務所と会計事務所の違いは「俗称」であるか「正式名称」であるかです。

税理士法第40条2項において、「税理士が設けなければならない事務所は、税理士事務所と称する」 と定められています。
したがって、税理士が設けるすべての事務所は「税理士事務所」の文言がついたものが正式名称です。
「会計事務所」は、正式名称ではない「俗称」だといえます。

それでは、なぜわざわざ「会計事務所」の俗称をつけるのでしょう?
それはおそらく「単に税金に関する業務を行うだけではない」ことを強調するためだと考えられます。

税理士の事務所は、税金に関する業務以外に、中小企業や小規模事業者の会計処理や決算書の作成、会計・経営のコンサルティングなどを請け負うことが多いです。
そのような請け負う業務の幅広さを表現するには「税理士事務所」より「会計事務所」の方がふさわしいと事務所が判断しているのでしょう。

ただし、税理士事務所と会計事務所は、名称以外の実質的な違いはありません。
基本的に「全く同じもの」だといえます。


まずは転職エージェントに無料相談する

税理士事務所と税理士法人の違い

次に、「税理士事務所(会計事務所)」と「税理士法人」の違いを見てみましょう。

税理士事務所と税理士法人の違いは「組織形態」の違いです。

税理士事務所は税理士が個人事業主として運営しています。
それに対して税理士法人は、2人以上の税理士が所属して「法人」としての形態を持っています。
一般のビジネスであれば「個人事業主か会社か」の違いが、税理士事務所と税理士法人の違いだと言えます。

税理士法人の形態は2001年の税理士法改正により認められるようになりました。
税理士事務所を法人化することのメリットは以下のようなものがあります。


支店を展開することができる

税理士事務所は2つ以上の事務所を持つことができないのに対し、税理士法人は支店を展開することができます。

税理士が対応するクライアントは大企業も多くあります。
大企業の場合には全国に支店展開をしていることが一般的です。
対応する税理士の側も支店展開し、企業の支店を一括して担当することは、企業にとっても税理士にとってもメリットが大きいと言えるでしょう。


代表者が不在となっても業務を継続できる

税理士事務所は、代表者が事故や病気で死亡したり業務を行えない状態となったりした場合には、事務所を閉鎖しなくてはなりません。
それに対して税理士法人は、代表者が死亡した場合にも組織運営を継続することが可能です。

このことは、クライアント企業にとってメリットがあるだけでなく、税理士法人で働くスタッフにとっても雇用継続のメリットがあることになります。


まずは転職エージェントに無料相談する

税理士事務所・会計事務所と税理士法人どちらを選ぶべきか?

就職や転職をする場合に税理士事務所・会計事務所と税理士法人のどちらを選ぶべきかを見てみましょう。


税理士事務所・会計事務所で働くメリット

税理士事務所・会計事務所は比較的小規模な個人経営の事務所です。
したがって、意思決定のスピードが速い、あるいはアットホームな雰囲気があるなど個人経営ならではの良さがあるのが一般的です。

また、税理士事務所・会計事務所のクライアントも多くの場合、中小企業あるいは個人事業主などの小規模な事業体です。
事務所のスタッフはクライアントごとに担当を分けることになりますので、記帳代行から決算、さらにはコンサルティングまで、会計や税務に関する幅広い業務を一通り経験することが可能でしょう。


税理士法人で働くメリット

税理士法人は比較的大規模で、「会社」のような組織的な運営が行われます。
「阿吽の呼吸」で物事が決まっていくよりも組織的な動きが好きな人にとっては向いているといえるでしょう。

また、税理士事務所・会計事務所は5人以下の場合には社会保険を完備していない場合もあるのに対し、税理士法人は社会保険については必ず完備しています。
働く側にとってはこのことも大きなメリットだといえるでしょう。

税理士法人のクライアントは比較的規模が大きな企業です。
したがって、税理士法人で働けば最先端の税務や会計を学ぶことができるでしょう。

ただし、税理士法人ではクライアントごとにチームで取り組み、チームメンバーの役割は細分化されていることも多くあります。
会計や税務の全体像を個々のスタッフがつかみにくい側面もあるため、独立開業を考える場合には会計事務所での業務経験が必要となるケースもあります。


まずは転職エージェントに無料相談する

会計事務所とは?

会計事務所は、クライアントと税務署を仲介し、会計や税務に関するサービスを提供しています。
ここでは、会計事務所の概要について解説します。

会計事務所では、会計や税務に関するサービスを提供しています。
主なクライアントは法人や個人で、税務相談や申告業務などを担当しています。
税理士や公認会計士などの有資格者が在籍しており、各種独占業務にも対応可能です。

会計事務所は、クライアントと税務署の間に立ち、煩雑な業務や手続きを代行します。
申告書の作成をし、仮に税務調査が入ったような場合も、クライアントの代わりに立ち会います。
コンサルティング業務を行っている事務所もあるなど、対応範囲が広く、どの事務所に所属するかで担当業務が変わってくるでしょう。

会計事務所の中には、税理士資格や公認会計士資格を持っている人が、個人事務所として立ち上げているケースもあります。
経理業務を受託するアウトソーシング専門の会社もあり、規模や業務内容は多種多様です。

さらに一般的に「監査法人」と呼ばれる組織も、会計事務所として扱う場合もあります。
監査法人は、公認会計士が5人以上集まった状態で設立された法人です。
公認会計士の独占業務である「監査」を始め、コンサルティングなどさまざまなサービスを展開しています。


まずは転職エージェントに無料相談する

税理士事務所・会計事務所の業界構造

会計事務所業界はピラミッド型の構造になっています。


・Big4税理士法人
(EY税理士法人・デロイトトーマツ税理士法人・KPMG税理士法人・PwC税理士法人)

・国内大手会計事務所
(辻・本郷税理士法人・税理士法人山田&パートナーズ・その他50名から500名規模の準大手・中堅税理士法人がある)

・中小会計事務所


日本の税理士事務所・会計事務所は、約27,000社ある中で、従業員50名を超える会計事務所は120社ほどであり、国内会計事務所のほとんどが従業員50名未満の会計事務所であるとわかります。


会計事務所業界の構造が分かったところで、次は会計事務所の規模ごとに求められる人材を見ていきましょう。

Big4税理士法人の場合、税理士科目合格が必須で、20代の人材が採用されやすい傾向があります。

国内大手事務所の場合、未経験であれば税理士科目2科目以上合格していることが望ましく、年齢は30代前半くらいまでの人材が採用されやすいです。

中小会計事務所の場合は、簿記2級以上で応募可能な事務所が多く、そのほか中小企業の社長と直接やりとりを行うことが多いため金融機関出身者や営業経験がある方も好まれる傾向にあります。

税理士事務所・会計事務所ならではの業務としては、税務申告書の作成業務が挙げられます。
どの事務所でも共通して実施する業務なので、実務経験の具体例として提示できるでしょう。

【関連ページ】
【2023年最新情報】会計事務所の転職市場を徹底解説!


まずは転職エージェントに無料相談する

税理士事務所・会計事務所の仕事内容

税理士事務所・会計事務所の仕事内容は、組織の特徴によって多少異なります。
ここでは、会計事務所の代表的な業務を解説します。


記帳代行

税理士事務所・会計事務所の基本的な仕事として知られているのが、記帳代行です。
会社は、日々の取引を記帳し、税務署に提出する申告書を作成しなければなりません。
しかし、記帳は複式簿記で行うため、会計に関する高度な知識が要求されます。

そこでクライアントからの依頼を受け、送付してもらった領収書や請求書の控えを使って、記帳をしていきます。
昨今では会計ソフトが発達しているため、基本的にはソフトへ数値を入力し、記帳を進めていくことになります。


決算・申告・巡回監査

税理士事務所・会計事務所は、税務に関する仕事も行います。
特に「決算業務」は、貸借対照表や損益計算書などの財務諸表を作成し、税務署に提出するために欠かせない作業です。

会計事務所が申告書を作成する際は、所属している税理士の氏名を、代理人として明記することになっています。
もしクライアントに税務調査が入るような場合は、税理士が立ち会いをし、申告や不服申し立てに対応するケースもあります。
税理士が定期的にクライアントを訪問し、監査をする「巡回監査」も会計事務所(税理士)の仕事です。


相談・コンサルティング

税理士事務所・会計事務所は、税務に関する相談・アドバイスを行っています。
また、場合によっては、経営コンサルティングを行っているところもあります。

当然、会計や税務の枠には収まりきらなくなるため、さまざまなノウハウが必要です。


まずは転職エージェントに無料相談する

税理士事務所・会計事務所での働き方

税理士事務所・会計事務所で働く場合、資格の保有有無が問われます。

税理士事務所・会計事務所への転職・就職で、分かりやすく評価されるのは税理士資格や公認会計士資格です。
会計事務所の場合、税理士資格保有者に限らず、税理士を目指しているかどうかも採用の判断基準となります。

近年は、税理士試験受験者の減少の影響で、人材の確保に努める会計事務所も増加しています。
税理士試験勉強を応援する会計事務所も増えているため、今後築いていきたいキャリアビジョンややっていきたい業務を明確に話せるようにしておく準備が必要です。


まずは転職エージェントに無料相談する

税理士事務所・会計事務所で働くには?転職・就職のポイント

会計事務所で働く際は、いくつかのポイントを意識する必要があります。
ここでは、転職や就職のポイントについて詳しく解説します。


これまでの経験をアピールする

税理士事務所・会計事務所に転職・就職する場合、これまでの経験を効果的にアピールできるかによって、結果が大きく変わってきます。
特に30代以降は、実務経験が重視されるため、自分の強みをアピールできるようにしましょう。

中小の会計事務所であれば、金融機関出身者や営業経験がある人であれば、採用される可能性が高まります。
大手から中堅にかけては、税理士試験の科目合格が必須です。
30代以降は基本的に即戦力が求められるため、関連業務の経験をアピールできると良いでしょう。


資格を取得する

前述のとおり、税理士事務所・会計事務所への転職・就職で、分かりやすく評価されるのは税理士資格や公認会計士資格です。
税理士の場合は、資格を持っていなかったとしても、2科目以上に合格していれば評価される可能性があります。

ただし、税理士や公認会計士は、国内屈指の難関資格です。
資格を取るのが難しい場合は、日商簿記などの簿記検定に合格していれば、会計に関する基本的な能力をアピールできます。
最低でも簿記2級以上必須で、1級を持っていると、より評価されやすいでしょう。

グローバル案件を抱えている会計事務所を目指すのであれば、TOEICがビジネス英語スキルの証明となります。
800点以上であれば、大手が選択肢に入ってくるレベルです。900点以上であれば、かなりの武器になるでしょう。

税理士事務所・会計事務所求人をご確認したい方はこちら

税理士事務所・会計事務所求人をご確認したい方はこちら

会計事務所(会計・税務)の求人情報

会計事務所(会計・税務)の求人情報

大手会計事務所から中小会計事務所の求人などの高年収が見込める求人から20代・30代向けのスタッフ層求人、未経験OK求人など幅広くご用意しております。
サイト上に公開されている求人はごく一部の求人です。会員登録することでご確認可能です。


会計事務所(資産税)の求人情報

会計事務所(資産税)の求人情報

会計事務所の資産税業務に関する求人情報を保有している弊社では、これから資産税業務でキャリアアップしたい方や他の会計事務所の資産税業務を行いたい方などに向けて数多く求人ご用意しております。
弊社のみが扱っている求人も多いため、ぜひご確認ください。


その他の求人情報

その他の求人情報

監査業務や会計業務などさまざまな求人をご用意しております。ごく一部ではありますが、ご確認ください。
またより多くのの求人をご確認いただきた場合は、会員登録していただければ確認できます。



まとめ

税理士事務所と会計事務所に実質的な違いがないのに対し、税理士事務所・会計事務所と税理士法人には組織形態の違いがあります。

転職を考える場合には、税理士事務所・会計事務所と税理士法人のどちらにするか、自分の個性と志望するキャリアに応じてしっかりと検討する必要があるでしょう。

弊社MS-Japanでは、会計領域に特化した専任のアドバイザーが求職者のキャリアに沿った求人の紹介やインターネットに出回っていないエージェントならではの情報提供が可能です。
転職をご検討されている方は、お気軽にご相談ください。

管理部門・士業の転職

この記事を監修したキャリアアドバイザー

佐藤 颯馬

大学卒業後、新卒でMS-Japanに入社。
法律事務所・会計事務所・監査法人・FAS系コンサルティングファーム等の士業領域において事務所側担当として採用支援に従事。その後、事務所側担当兼キャリアアドバイザーとして一気通貫で担当。

会計事務所・監査法人 ・ 法律・特許事務所 ・ コンサルティング ・ 金融 ・ 公認会計士 ・ 税理士 ・ 税理士科目合格 ・ 弁護士 を専門領域として、これまで数多くのご支援実績がございます。管理部門・士業に特化したMS-Japanだから分かる業界・転職情報を日々更新中です!本記事を通して転職をお考えの方は是非一度ご相談下さい!

あなたへのおすすめ求人

サイトメニュー

職種で求人を探す
資格で求人を探す
勤務地で求人を探す
資格の転職情報を調べる
転職セミナー・個別相談会
転職サービス紹介
転職ノウハウ
求人企業の皆様へ
MS-Japanについて

業界最大級の求人数・転職支援実績!管理部門・士業の転職に精通した専門アドバイザーがキャリア相談~入社までサポートいたします。

無料でキャリア相談する

関連おすすめ記事

新着記事

業界最大級の求人数・転職支援実績!管理部門・士業の転職に精通した専門アドバイザーがキャリア相談~入社までサポートいたします。

無料でキャリア相談する