「会計事務所・税理士事務所はやめとけ」と言われる理由は?ブラック事務所チェックリストなど

税理士として就職・転職を目指すなかで、「会計事務所・税理士事務所はやめとけ」という噂を耳にしたことがある方もいるでしょう。
もちろん、この風評を鵜呑みにする必要はありませんが、「ブラック事務所」と呼ばれる劣悪な事務所が存在することも事実です。
この記事では、「会計事務所・税理士事務所はやめとけ」と言われる理由やブラック事務所の特徴、入所前に注意したいポイントについて詳しくまとめました。
※会計事務所と税理士事務所は、名称は異なるものの業務内容は同じであるため、記事内では「会計事務所(税理士事務所)」と表記しています。
「会計事務所(税理士事務所)はやめとけ」と言われる3つの理由
「会計事務所(税理士事務所)はやめとけ」と言われる理由としては、主に以下の3点が挙げられます。
- ・小規模事務所は人間関係が狭い
- ・独自ルールが多い
- ・仕事が多くプレッシャーが大きい
具体的な原因について、以下で詳しく見ていきましょう。
小規模事務所は人間関係が狭い
会計事務所に限った話ではありませんが、小規模な会計事務所(税理士事務所)は、働く人の数が少ないため、同じメンバーと長時間過ごすことになります。
密接で深い人間関係を築けるメリットがある一方、性格や価値観が合わない人がいる場合はストレスを感じやすいでしょう。
一般企業であれば、異動や転勤などによって働くメンバーが変わることもありますが、数名から20名前後の会計事務所(税理士事務所)では、配置換えの制度がないことが一般的です。
また、小さなコミュニティであることから、些細な誤解や摩擦などが大きなトラブルへと発展しやすいリスクもあります。
在籍年数による上下関係が厳しいケースも多く、ベテラン層との相性も重要だと言えるでしょう。
独自ルールが多い
会計事務所(税理士事務所)の中には、業務フローなどに独自ルールが設定されている場合もあります。
業務の効率性や品質向上に役立っている場合は問題ありませんが、昔からの慣例に従っているだけのルールや、個人的な固定観念に基づいたルールも存在します。
独自ルールが根深い事務所は、新しいアイデアや意見が採用されにくく、モチベーションが低下しやすいと考えられるでしょう。
仕事が多くプレッシャーが大きい
仕事量の多さも、会計事務所(税理士事務所)が「やめとけ」と言われる大きな要因です。
特に決算期や税申告時期に業務が集中するため、繁忙期中に長時間労働が常態化することも少なくありません。
過酷な労働が長期間続き、肉体的・精神的に大きな負担を感じて退職する人も一定数存在します。
また、会計事務所(税理士事務所)の業務でミスが発生すると、クライアントに重大な損害を与える可能性があります。
そのため、常に高い精度が求められ、責任感を持って業務に臨む必要があることに強いプレッシャーを感じる人も多いでしょう。
会計事務所(税理士事務所)への転職はやめたほうがいいのか?
会計事務所(税理士事務所)への就職・転職をやめたほうがいいかどうか、最終的に決めるのは自分です。
前述した通り、会計事務所には懸念点があるものの、働くメリットも数多くあります。
具体的なメリットを理解したうえで判断することが重要です。
ここでは、会計事務所(税理士事務所)で働くメリットを解説します。
経理・税務の幅広い知識が身につく
会計事務所(税理士事務所)での実務を通じて、経理や税務、社会保険など幅広い知識を身につけることが可能です。
経理や税務に関する幅広い知識は、日常生活でも役立ちます。
家族や友人から税について相談や保険についての質問をされたときなどにも、実務で身につけた知識をもとに答えることができるでしょう。
税理士資格で独占業務を獲得できる
税理士の国家資格を取得すれば、税理士の独占業務である「税務書類の作成」「税務代行」「税務相談」に従事することができます。
会計事務所で働きつつ資格取得を目指して勉強し、いつか税理士として活躍できるようになれば、これらの独占業務を獲得し年収アップにもつながります。
税理士資格を目指す人に対して、試験日の休暇や試験前の残業時間調整などの資格取得支援制度を設けている事務所では、仕事と勉強の両立がしやすくなります。
一般企業の経理に転職しやすくなる
会計事務所の実務を通じて得た知識や経験は、一般企業の経理業務にも通用します。
企業の経理担当として即戦力になりうるスキルを有しているため、採用してもらえる確率も高まります。
税理士の資格も取得しているのなら、高度な税務処理も担当できる経理として採用してもらえるかもしれません。
即戦力の経理担当を募集している一般企業は、1年を通して数多く存在するため、職に困る心配もありません。
このように、一概にすべての会計事務所(税理士事務所)が「やめとけ」と言われるような事務所であるわけではないことをしっかりと認識しておくことが大切です。
ただし、一般企業と同様に会計事務所(税理士事務所)にも「ブラック」と呼ばれる劣悪な就業環境はあるため、以下でご紹介する内容を参考にブラック事務所の見抜き方を押さえておくことをおすすめします。
ブラック事務所チェックリスト
ブラック事務所チェックリストは、離職率が高く労働環境が悪い事務所を見極めるための全7項目で構成されています。
該当項目が多いほどブラック事務所の可能性が高くなるので、転職時には注意が必要です。
所長がワンマン気質
会計事務所の所長がワンマン気質であると、その時の気分によって職員が振り回されるリスクがあります。
所長の人格に問題がある場合、教育と称してパワハラやセクハラが横行しがちです。
相手が無自覚でパワハラやセクハラをするケースも少なくないため、所長の人となりに注目することが大切です。
事務所内の雰囲気が悪い
会計事務所といっても各事務所で雰囲気は大きく異なり、上述したようなワンマン気質の所長がいたり、気難しいお局がいたりして、労働環境が悪いケースがあります。
コミュニケーションが取れておらず情報が共有されない職場や、特定の職員が手柄を独り占めする職場などはブラック事務所である可能性が高くなります。
離職率が高い
従業員が頻繁に辞めていく離職率の高い会計事務所は、労働環境・給与・人間関係などに問題を抱えている可能性が高くなります。
定着率の良い職場であれば求人票に掲載されるケースも少なくありませんが、一般的には求人票に定着率は掲載されません。
離職率や定着率を知りたい場合は、転職エージェントに確認してみると良いでしょう。
ただし、離職率・定着率のデータを持っていない場合もあるので、その際は、応募した会計事務所に平均勤続年数などを確認するのも一つの方法です。
残業(みなし残業時間)が多い
一般的に「ブラック事務所」と呼ばれる会計事務所(税理士事務所)は、残業や休日出勤が非常に多い傾向があります。
特にみなし残業代制(あらかじめ一定の残業時間を給与に含めて支払う制度)を導入しており、かつみなし残業時間(固定残業時間)が極端に多い事務所では毎月の残業や休日出勤が常態化している可能性が高いため、事前に確認しましょう。
ただし、昨今ではみなし残業制を導入している会計事務所も多く、みなし残業制だからブラックとは一概に言えません。
36協定(法定労働時間を超えて労働させるために労使間で締結する協定)にかかる時間外労働の上限は「1か月45時間、1年360時間」のため、みなし残業時間が45時間を超えている場合は注意が必要です。
年齢層や男女比に偏りがある
ブラック事務所(税理士事務所)では、年齢層や男女比に偏りが見られることも多いです。
まず、ブラック事務所の年齢層に注目してみると、長時間労働に耐えられる若手社員が多く、経験豊富な中堅やシニア層が少ない傾向があります。
この場合は若手社員が経験やスキルを積むために一時的に働き、経験を積んだ後に転職してしまう状況が考えられるため、長期的なキャリアを築くのが難しい職場と考えられます。
また、ハードな労働環境などが原因で離職率が高く、常に新しい人材が入れ替わっていることも考えられます。
ただし、個人会計事務所(税理士事務所)では所長税理士の意向が強く社風に反映されることも多く、なかには高齢の所長の古い考え方が風潮化し、若い人材が定着せずに年齢層が高くなっている事務所も存在する点に注意が必要です。
年齢層に偏りが見られる場合は、企業研究をしっかりと行い、その原因を突き止めることをおすすめします。
また、男性の比率が高い会計事務所(税理士事務所)も注意しましょう。
男性の割合が極端に高い場合、長時間労働や過度なプレッシャーといった体育会系の風潮によって男性が多く採用される傾向があります。
休日などの勤務時間外にイベントが多い
休日などの勤務時間外にイベントが多い会計事務所(税理士事務所)も、ブラック事務所と言われることが多いです。
クライアントとの関係を深めるためとはいえ平日夜の飲み会や休日のゴルフ接待が常態化していたり、従業員同士の飲み会やバーベキューなどのイベントへの参加を必須としていたりする事務所に入所してしまうと、プライベートな時間が侵食され、ワークライフバランスが崩れる恐れがあります。
入所前に確認すべき3つのポイント
会計事務所出身者の中には、転職で失敗したことがある方も多く「もっとしっかり見定めておけば良かった」「内定をもらっても即決すると良いことがない」など、過去の苦い経験がトラウマになっている方もいらっしゃるようです。
ブラック事務所に入所しないためにも、しっかりとした会計事務所の見分け方を知っておきましょう。
1.業務内容と残業時間のバランス
会計事務所を選ぶ際、業務内容と残業時間の実態は把握しておいたほうが良いでしょう。
特に税理士科目合格者の場合は「実務と勉強を両立させたい」という希望を持った方も多いため、通常期の残業時間は知りたいところだと思います。
直接的な質問は避けたほうが無難ですが、「先輩社員は普段はどのような業務を担当していますか?」「職員の方々は普段どのような働き方をしていますか?」など表現を工夫して質問をされると良いでしょう。
2.所内の雰囲気
離職率が高く、仕事内容や人間関係などで疲弊している職員が多いと、社風が殺伐としていきます。
面接時の所長の言葉を鵜呑みにすると、それが実際と乖離しているケースもあるため、応募先の会計事務所を訪問した際には職員の対応や職場の雰囲気など、できるだけ自分自身で感じ取るようにしたほうが良いでしょう。
3.業界における評判
ブラックと言われる会計事務所には、それ相応の理由があるものです。
特に退職者が続出するような会計事務所では、業界内でも悪い評判が流れるようになります。
もし入所するか否か悩むような会計事務所であれば“変な噂や評判”がないか同業で勤めている知人に確認したほうが良いでしょう。
また、周囲に相談できる人がいなければ、会計事務所業界に精通している転職エージェントに相談するなどして情報を得るようにしましょう。
ブラック事務所への転職を避けるためには、上述した3つのポイントを入社前に確認しておきたいところです。
しかしながら、内定が出ていない選考段階で残業時間などの突っ込んだ質問をすると、仕事への熱意や意欲が低いと捉えられるリスクがあるので注意しなければなりません。
転職エージェントが情報を持っている場合もあるため、事前に確認しておくことが大切です。
転職エージェントは事務所の内情を把握している
会計事務所の雰囲気は、実際に働く職員と面談しなければ知り得ない情報です。
面接など緊張している状態では正常な判断ができないケースも少なくないため、転職エージェントに内情について聞くことをおすすめします。
転職エージェントは会計事務所と定期的に面談を重ねており、事務所の雰囲気を把握しています。
また、転職エージェントは、持っていない情報でも、応募先の会計事務所に失礼のないように質問してくれます。
昨年度に従業員が何人退職しているか、主な退職理由は何かなど、気になる情報は事前に確認しておきたいところです。
給与や待遇面が気になる方は、転職エージェントに交渉してもらう方法があります。
希望を伝えておくと、条件を踏まえて交渉してくれます。
会計事務所に直接聞くのがはばかられる質問でも、転職エージェントなら確認するときのハードルが低くおすすめです。
通常は転職エージェントを通したり、オファー面談で待遇について話し合ったりするため、面接で給与や待遇を問うのは避けた方が無難です。
聞くタイミングや質問内容には注意してください。
優良会計事務所(税理士事務所)の求人例
弊社MS-Japanは、税理士をはじめとする士業と管理部門に特化した転職エージェント「MS Agent」を運営しています。
ここでは、「MS Agent」で取り扱っている優良事務所の求人例をご紹介します。
優良会計事務所の税務コンサルタント※時短や平日学校通い可
仕事内容 |
・クライアント先の税務、会計コンサルティング ・決算書や税務申告書の作成 ・法人設立、開業の支援 ・資金調達サポート、FP業務 ・経営計画策定、助成金申請サポート ・資産税や相続税の申告・シミュレーション |
必要な経験・能力 |
<必須> ・会計事務所経験1年以上 <歓迎> ・営業経験・税理士科目合格者、ITリテラシーの高い方歓迎 |
想定年収 |
406万円~800万円 |
優良会計事務所の税務スタッフ【働きながら資格取得者多数】※退職金・試験休暇有
仕事内容 |
・月次巡回監査、決算申告業務 ・経営計画策定支援業務 ・法人担当業務 ・国際税務、資産税業務 ・企業組織再編、連結納税申告業務 ・事業承継対策、相続税申告 |
必要な経験・能力 |
・税理士試験受験経験(未経験可) ・簿記2級程度の知識 |
想定年収 |
380万円~500万円 |
優良会計事務所の税理士・税務スタッフ※フレックス
仕事内容 |
・法人顧客の担当業務(5~10件) ・組織再編/株価算定などのスポット案件 ・個人確定申告(投資家や事業主など) ・資産税分野(相続税申告、譲渡・贈与案件の対応) ・未経験者は先輩が指導 |
必要な経験・能力 |
・簿記2級以上、または同等の知識 <歓迎> ・会計事務所勤務経験者優遇 |
想定年収 |
350万円 ~ 600万円 |
まとめ
「会計事務所・税理士事務所はやめとけ」と言われる主な理由としては、小規模事務所における人間関係の狭さや独自ルールの多さ、業務量が多くプレッシャーが重い仕事であることなどが挙げられます。
もちろんすべての会計事務所(税理士事務所)が該当するわけではなく、俗に呼ばれる「ブラック事務所」を避けて就職・転職することで充実した税理士業務を遂行できるでしょう。
ブラック事務所の特徴としては、所長がワンマン気質であることや離職者が多いこと、みなし残業時間が多いことなどが挙げられますが、ブラックかどうかを自力で判断することは難しい傾向があります。
そこで、税理士の転職に強い転職エージェントを利用し、プロの視点からのアドバイスを受けながら求人探しを行うのがおすすめです。
弊社MS-Japanが運営する転職エージェント「MS Agent」では、今回ご紹介した求人以外にも、数多くの優良な会計事務所(税理士事務所)の求人を保有しています。
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この記事を監修したキャリアアドバイザー

大学卒業後、新卒でMS-Japanに入社。法律事務所や会計事務所、監査法人、社労士事務所、FAS系コンサルティングファームなどの士業領域の採用支援、及びその領域でのご転職を検討されている方の転職支援を行っています。
会計事務所・監査法人 ・ 法律・特許事務所 ・ 公認会計士 ・ 税理士 ・ 弁護士 を専門領域として、これまで数多くのご支援実績がございます。管理部門・士業に特化したMS-Japanだから分かる業界・転職情報を日々更新中です!本記事を通して転職をお考えの方は是非一度ご相談下さい!
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