40代弁護士の転職市場は?法律事務所と企業別の評価基準を解説!



転職市場というと20代・30代など若手のイメージが強いですが、弁護士の場合は多少事情が異なります。40代の転職活動も珍しくなく、ポジションや転職先の職種なども多様化しています。
一方で即戦力となる経験やスキルが求められることの多い40代弁護士の転職活動では、しっかりと対策をしないと思うような結果が得られないこともあるのです。
そこでこの記事では40代弁護士の転職活動の実態や成功のポイント、体験談などを紹介します。
40代弁護士の転職市場
40代弁護士の転職市場について、「割合」と「転職理由」の観点から説明します。
弁護士の転職市場における40代の割合
実際、弁護士の転職市場における40代の割合はどれくらいなのでしょうか?
2023年、転職エージェントであるMS Agentに登録した弁護士のうち、40代の割合は30代の51.1%についで多く、19.85%でした。転職市場のおよそ半数は30代ですが、40代も少なくないことがわかります。
また、転職に成功した弁護士の年代別割合でも40代は13.4%と、求職者割合は下回っているものの、40代弁護士に需要はあるのです。
☑
関連記事
【2024年最新版】弁護士の転職市場動向を徹底解説!
40代で転職活動を開始した弁護士の転職理由
40代の弁護士の多くは10年程度の経験を経て、スキルアップを目的として転職を検討しています。「専門性をもちたい」や「インハウスでより挑戦的な働き方をしたい」などが具体的な理由です。
一方で40代の弁護士で、キャリアチェンジを目的に転職する割合は大きく下がります。
法科大学院制度の導入によって、法律以外の分野から法曹界に参入する人も増えています。一般企業や教職、理系の研究者など、さまざまな業界から弁護士に転身しており、40代の弁護士が全員、キャリア豊富なベテランとは限りません。
弁護士のバックグラウンドは多様化しており、転職活動においても、希望や条件などが複雑化しています。ただし、40代の弁護士の転職において、企業は「即戦力としての経験やスキル」を求めているケースが多いことも事実です。
ある程度の経験に加えて、一定以上のコミュニケーション能力や組織適応能力などがあれば、40代でも弁護士としての転職は決して難しいものではありません。
経験を積んだ弁護士におすすめの求人事例
管理部門・士業特化型転職エージェント「MS Agent」では、法律事務所や企業内弁護士、コンサルなどさまざまな弁護士のキャリアに合わせた求人を扱っています。この章では、40代弁護士に向けてスキルアップを目指せる求人と働き方を改善できる求人をご紹介しています。
【60期台の弁護士募集】企業法務や知財案件の弁護士求人
仕事内容 |
・企業法務 ・IT関連法務 ・知財/技術関連紛争業務 |
必要な経験・能力 |
・弁護士 ・知財関連業務経験 |
想定年収 |
840万円 ~ 1000万円 |
【安定した働き方】東証プライム企業の弁護士求人
仕事内容 |
・契約書等のリーガルチェック ・社内の各種法律相談への対応 ・新規事業の適法性チェック |
必要な経験・能力 |
・弁護士資格 |
想定年収 |
800万円 ~ 1300万円 |
法律事務所が40代弁護士に求めているもの
法律事務所に転職しようと思えば、弁護士としての純粋な法的スキルや正確な知識が求められるだけでなく、クライアントの話を聞き出す力や、その意図を汲み取って的確にコンサルティングする技術までのコミュニケーション能力が問われます。
チームを組む他の弁護士やスタッフに配慮をしつつ、自らの意思や課題などを共有しながら、事務所が一体となって取り組むチーム戦において、戦力になるであろうと感じさせる必要があります。
法律事務所の先輩弁護士には、法学部出身で業界内では主流派ともいえるタイプの方々が多数所属しているはずです。
よって、他分野から法律業界へ転職をしてきた弁護士は、「他の弁護士との違い」「他の弁護士には実現できない、自分の強み」ばかりをアピールすべきではありません。
まずは、ずっと一貫して法律畑でキャリアを重ねてきた弁護士のプライドを傷つけず、尊重し、敬意を表する意思を示すことも忘れないようにしましょう。
他分野の貴重な経験を法曹界に活かし、新風を吹かせるアピールをするのなら、順番としてはその後です。他の弁護士をリスペクトする言動を心がけていれば、早晩きっと、仲間として迎え入れてくれる法律事務所が現れるでしょう。
40代弁護士が企業内弁護士になるには
40代の弁護士が企業内弁護士に転職するための必要なポイントを、企業内弁護士の需要が高まっている理由、企業内弁護士の働き方の特徴などとともに解説します。
企業内弁護士の需要が高まっている背景
近年、コンプライアンス違反によって、SNSやインターネットの記事などで批判を受ける企業も珍しくありません。健全な運営のためには「コンプライアンスの遵守」が必須条件です。企業法務のスキルを向上させるために、企業内弁護士の需要が高まっています。
また、グローバル展開や国際競争の激化に伴う海外の法律への適応、NFTなど新ビジネスに対応するための法対応などを目的に自社内に一定の経験を積んだ弁護士を置く企業も少なくないようです。
40代弁護士に企業内弁護士がおすすめの理由
必ずというわけではありませんが、一般的には法律事務所よりも一般企業の方が働き方改革に力を入れている傾向にあります。そのため、残業時間の削減や福利厚生の充実などを求める方には企業内弁護士が向いているといえます。
また、案件数に収入が左右される法律事務所よりも給与が安定しやすいのも特徴です。40代で家庭を持ち、「仕事と家庭を両立したい」「ワークライフバランスを大切にして働きたい」という方には企業内弁護士をおすすめします。
企業内弁護士に求められるもの
企業内弁護士は法律知識だけでなく、自社商品やサービスの知識、企業が関係する業界への理解なども必要です。また、財務や会計に関する知識やスキルなどが求められることも少なくありません。そのため、意欲的に学習する姿勢が欠かせません。
また法律事務所よりも、多様な職種の人と接する機会が多くなります。ときには法律にそこまで詳しくない人に、わかりやすく説明しなければならないこともあるため、コミュニケーションスキルがあれば活躍の幅が広がるでしょう。
40代の新米弁護士は転職できる?
40代の弁護士が転職する場合に、難しいケースを挙げると、40代で、実務経験が2~3年ほどしかない、ほぼ「新米」というべき弁護士です。弁護士としての業務経験ではアピールできる要素が少ないため、転職を成功させるには、経験以外の要素でも勝負しなければなりません。
では、40代の弁護士が「新米」ではいけないのか?というと、そのこと自体はまったく問題ないのです。
その理由の一つとして、かつて2004年に法科大学院制度を日本に導入した本来の目的は、法律ジャンル以外の学問を修得し、別の領域で社会人経験を重ねた人々を法律実務家として積極的に登用していき、多様な視点やスキルをもつ法曹を育てていくことであるからということが挙げられます。
そのため、異業種から法科大学院を目指し、司法試験に挑戦して、見事高い壁をクリアした方は、国策にかなった道を歩まれています。その点で、40代にして新米弁護士である事実をまったく恥じる必要はなく、むしろ誇るべきであるといえます。
40代で法律分野での実務経験が少ない弁護士の場合、転職活動時には、法学部からストレートに法科大学院へ進んだタイプの弁護士にはない、別のフィールドでキャリアを積んできた強みやアピールポイントを的確に伝えることが大切です。
40代弁護士の転職成功事例
転職に成功した40代弁護士の事例を3つ紹介します。
ブティック型法律事務所への転職成功

Sさん(41歳・男性)
大手事業会社
年収:2300万円


ブティック型法律事務所
年収:1800万円
約15年間法律事務所にて企業法務全般を担当したのち、大手事業会社を経たうえでその会社の顧問として勤めていたSさん。現職への大きな不満はなかったものの、担当していたプロジェクトが一段落したことを節目とし、弁護士としてあらためて法律事務所でのキャリアにチャレンジするために転職を決意されました。
「これまでの経験が正当に評価された年収」と「経験を一番活かすことができる国際法務に携わりたい」という2軸で転職活動を進めました。
Sさんは経歴をアピールすることで、小規模ながら渉外案件に強みをもつブティック型法律事務所から内定をもらいました。中堅や大手の法律事務所と比較すると業界での認知度は高くないものの、業務内容や財務体制が非常に優良な事務所で、クロスボーダー案件に強みを持っている優良法律事務所でした。
積極的な転職活動で内定を勝ち取る

Aさん(40代前半・男性)
法律事務所
年収:1000万円


法律事務所
年収:1300万円
4大法律事務所からキャリアをスタートし、ファイナンス分野を軸に、着実にキャリア形成をしていたAさん。その後、一般企業を経て再度法律事務所に転職するものの、面接時の説明と労働実態が違う事務所ばかりに入所してしまい、転職を繰り返していました。
転職回数の多さがネックとなり、40代での転職活動がなかなかうまくいかないAさんでした。そこで転職エージェントを活用して、応募先の弁護士事務所の代表と直接面会するなど、自身の実務能力や人間性を伝えるために積極的に行動しました。
結果、Aさんを高く評価した事務所から、現職よりも高い年収でのオファーをもらったのです。
家庭と仕事の両立ができる環境に

Fさん(40代・女性)
事業会社
年収:時短で650万円程度


事業会社
年収:フルタイムで900万円程度
時短勤務を活用して一般事業会社で企業内弁護士として働いていたFさん。「法務職としてキャリアアップしたいし、とくに海外案件に携わってみたい。将来的にマネジメントにも興味があり、欲を言えば弁護士が複数いる環境で成長していきたい」という思いで転職を決意しました。
子育てと両立するために、組織の人員体制/人事制度がしっかりと整った、歴史ある大手企業へ応募し、内定を受けました。この企業はグローバル展開をしているうえに弁護士採用にも力を入れているため、Fさんの希望も叶う環境です。
結果、仕事と育児が両立できる職場への転職に成功しました。
まとめ
2023年のMS Agentのデータによると、弁護士の転職市場における40代の割合は約20%であり、また採用実績もあります。このことから、40代の弁護士の転職は珍しいものではなく、また需要があることもわかります。
40代というとベテランのイメージがあるかもしれませんが、法科大学院制度の導入によって弁護士のキャリアをスタートする年齢は上昇傾向にあり、40代の新米弁護士も増えてきました。転職を成功させるためには各自のバックグラウンドと合致した転職先を見つけることが重要です。
近年は法律事務所だけでなく、企業内弁護士という働き方も一般的になりました。それぞれの経験を活かせたり、希望が叶いやすかったりする働き先も見つかりやすいでしょう。
40代の弁護士の転職活動では転職エージェントを活用することで、成功率が高まります。
- #40代弁護士の転職
- #40代弁護士のキャリア
- #企業と法律事務所の違い


この記事を監修したキャリアアドバイザー

大学卒業後、大手サービス会社にて法人営業を経験、その後人材紹介会社にてキャリアアドバイザー経験を経て、MS-Japanへ入社。
主に会計事務所、弁護士事務所の担当を持ちながら士業領域での転職を検討している方のカウンセリングから案件紹介を担当。
会計事務所・監査法人 ・ 法律・特許事務所 ・ 税理士 ・ 税理士科目合格 ・ 弁護士 を専門領域として、これまで数多くのご支援実績がございます。管理部門・士業に特化したMS-Japanだから分かる業界・転職情報を日々更新中です!本記事を通して転職をお考えの方は是非一度ご相談下さい!
あなたへのおすすめ求人
同じカテゴリの最新記事

弁護士の転職ならMS Agent|弁護士の転職成功のポイントを徹底解説!

税理士の転職情報|税理士転職のプロMS Agentが徹底解説!

USCPA受験に必要な英語力とは?現状の英語力に不安がある方へ

【令和6年司法試験予備試験】口述試験の合格率は?過去の試験結果や推移もご紹介

経理の転職情報|最新の経理転職市場や転職成功の秘訣を徹底解説!

IRへの転職で役立つスキルとは?業務内容や転職のコツも紹介

弁護士法人とは?法律事務所との違いや年収・待遇など分かりやすく解説

法務の転職・求人|最新の転職市場や転職成功のポイントを解説!

【人事の転職】完全版|今すぐ知りたい転職市場と厳選求人をチェック!
特集コンテンツ
サイトメニュー

業界最大級の求人数・転職支援実績!管理部門・士業の転職に精通した専門アドバイザーがキャリア相談~入社までサポートいたします。
新着記事
求人を職種から探す
求人を地域から探す
セミナー・個別相談会

業界最大級の求人数・転職支援実績!管理部門・士業の転職に精通した専門アドバイザーがキャリア相談~入社までサポートいたします。