2025年01月31日

IT法務とは?仕事内容や転職で役立つ資格、求人例など

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近年、ITサービス・システムを提供する企業は、ビジネスの幅を広げ続け、毎年のように新しい技術が提供されています。
その一方で、新しい技術を提供・導入するにあたっては、現行法に抵触していないかどうかチェックするための法的知識も求められます。

この記事では、「IT法務」に焦点を当て、ニーズが高い理由や仕事内容、転職に役立つ資格に加え、求人例などを解説します。

IT法務とは

IT法務とは、IT関連のサービス・システムの開発にあたって必要な法務業務、またその業務に必要な能力・経験を備えた人材を意味します。

システム等を開発するベンダーと、システム等を導入するユーザーのそれぞれの企業において、IT法務人材が必要とされます。
以下では、ベンダー・ユーザーそれぞれの立場で、IT法務が必要な理由を簡単にまとめました。

<ベンダーの場合>

・ユーザー側の要求(要件定義)に基づいてシステム等を開発するにあたり、契約書内で要求を厳密に定義するため
・要求のエスカレートや仕様変更・修正などに備え、自社に有利な条件で契約を結ぶため

<ユーザーの場合>

・要求を満たしていない成果物を納品された場合に備えて、損害賠償などの対応を検討するため
・関連法律の反映や成果物納品後の保守管理などの監督を行うため

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IT法務が求められる業界とは

IT法務のニーズが高い業界としては、主に次のようなものがあげられます。

システム開発業界

システム開発業界とは、主に業務効率化や情報の一元管理、サービス品質の向上などを目的として、ソフトウェアやシステムの設計・開発・実装などを行う業界です。
ユーザーの要求(要件定義書)に基づいてシステムを開発し、納品して利益を得るビジネスモデルであるため、取引開始前に契約を結びます。

契約書類に不備があった場合、法的な要件を満たさないシステムを開発してしまったり、検収後にユーザーからの大幅な修正や機能追加に対応せざるを得なくなったりなど、自社に不利益を被る可能性があります。
そのため、システム開発業界のIT法務には、自社の利益を守り、万一のトラブルにも速やかに対応するための「防波堤」としての働きが期待されています。

Web制作業界

Web制作業界では、Webサイト・Webアプリケーション等の制作・開発をする業界です。
企業の公式コーポレートサイトやECサイト、ユーザー向けのサポートサイトなど、様々なサイトを扱います。

Web制作業界においては、著作権商標権に関する対応シーンでIT法務の知見が求められます。
同業他社と酷似する文章をサイトに掲載したり、商用利用できない画像を使用したりすれば、著作権に関するペナルティが発生してしまうでしょう。IT法務には、著作権違反を防ぐ役割が求められます。

Web広告業界

Web広告業界は、Webサイト・SNS・メール等に表示される広告を取り扱う業界です。
広告内で誇大な表現や読み手の誤解を招く情報を与えてしまうと、景品表示法に抵触する可能性があります。2023年10月には、ステルスマーケティングが規制されるなど、SNSやインフルエンサーによるマーケティング手法も厳しく規制されるようになりました。

景品表示法に違反してしまえば、企業や商品のイメージダウンにもつながるため、IT法務には表現の工夫・訂正など「チェック機構」としての役割が求められます。

ゲーム業界

ゲーム業界とは、ゲームセンターや家庭用ゲーム機、スマートフォンなどで遊ぶためのゲームソフトを開発する業界です。

ゲーム業界におけるIT法務は、新しいゲームのアイデアを現実化するために、他社商品との類似性を判断する役割が求められます。
また、景品表示法や資金決済法の対応など、ユーザーの課金に関するシステムにおいて、法的な問題がないかどうかのチェックも必要です。

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IT法務の仕事内容とは?他業種の法務との違いは?

IT法務は、各種ITサービスに特化した法律業務であるため、重視するポイントが他業種と異なる傾向です。
以下、IT法務の仕事内容について、他業種の法務との違いに触れつつ解説します。

契約書の作成・リーガルチェック

IT業界は、契約書・仕様書に基づいて開発を進めていくケースが多いため、「最初が肝心」な業界です。
明確な「仕事の完成」を定義せずに契約を結んでしまうと、ベンダー側は顧客の要望に振り回され続ける恐れがあります。
また、ユーザー側では、想定とは異なる成果物が納品されたり、不具合について修正依頼が不可能であったりなど、トラブルが発生する可能性があるでしょう。

そのため、IT法務は他業種と比較して契約書作成やリーガルチェックが特に重視される傾向にあります。
納品する成果物は何か、業務の範囲はどこまでか、賠償責任が生じるケースはどのようなものかなど、詳細を詰めた上で契約書を作成することが、IT法務の重要な役割です。

成果物と契約書・要件定義書・仕様書などの照合

IT業界では、納品した成果物と契約書や要件定義書、仕様書との整合性が重要です。万が一、食い違っていれば、検収は完了しません。
ユーザー側のIT法務では、成果物の品質挙動納期遵守率などを細かくチェックします。
ベンダー側では、所定の期日までに検収が終わるよう、手綱を引く役割をになうケースもあるでしょう。

また、仕様を理解できず運用できないなど、ユーザー側の事情で検収が認められないケースも想定して、所定の期日までに連絡がなければ検収とみなす「みなし規定」なども盛り込むなど、IT業界ならではの対応も求められます。
IT法務は、「こうなったらこうする」というケースを詳細に想定して決める点は、他業種と比較して緻密であると言えるでしょう。

社内外のセキュリティ対策

IT業界では、システム開発等において、ユーザー側の事業に関する情報や、ベンダー側の技術に関する情報を双方が共有するため、秘密保持契約(NDA)を締結するケースが多い傾向です。
また、社内外における口頭でのやり取りで情報が漏れたり、操作を誤って情報を外部に漏らしたりなどのリスクを想定し、セキュリティ面の強化もIT法務に求められます。

運用ルールの設定・社内周知

成果物を運用するにあたって、ルールの設定や社内周知もIT法務の重要な役割です。
例えば、ベンダー側では、契約にシステム納品後の定期的な運用・保守サポートが含まれている場合、契約書通りの運用がされているかどうか確認します。

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IT法務への転職で役立つ資格

IT法務への転職で役立つ資格IT法務への転職において、必須資格はありませんが、以下で紹介する資格を取得していると、転職成功率を高めることができるでしょう。

ビジネス実務法務検定

ビジネス実務法務検定では、様々なビジネスシーンで必要とされる法律知識を網羅して学ぶことができます。
難易度に応じて1級・2級・3級と分かれていますが、すべての級に受験資格はなく、誰でもどの級からでも受験可能です。

司法書士

司法書士は、登記・供託手続きの代理などの独占業務を持つ国家資格です。一般的には不動産登記に携わる士業と理解されていますが、近年では企業法務の分野でリーガルサポートに携わるケースも増えています。

他の士業と比較して合格者数が少なく、司法書士の転職市場は売り手市場だと言えるでしょう。
IT法務への転職においても、法的知識をアピールする上では、高評価につながる資格の一つです。

弁護士

弁護士は、日本における最難関国家資格の一種であり、法務としても最高位の評価を得られる資格です。

近年は、コンプライアンス強化や不正防止などの影響を受け、弁護士有資格者を「企業内弁護士(インハウスローヤー)」として採用する企業が増加しています。IT業界においても、弁護士のニーズは高いと言えるでしょう。

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IT法務として活躍できる転職先とは

これからIT法務の経験を積みたい、IT法務として活躍したいと考えている人は、以下の転職先を検討するとよいでしょう。

IT企業の法務部門

IT法務の経験を専門的に詰める環境としては、IT企業の法務部門が最適と言えます。自社のIT分野に特化した法務経験を積むことか可能です。
ただし、企業規模によっては、IT法務以外の管理部門業務などを兼務するケースもあります。転職前に担当業務の範囲や管理部門の人数構成など、詳しく確認することが重要です。

IT法務分野に特化した企業法務系法律事務所

企業の外からIT法務に携わる選択肢としては、IT法務分野に特化した企業法務系法律事務所が挙げられます。
法律事務所では、クライアント企業の企業法務に携わるため、様々な業界・規模の法務経験を積むことが可能です。

ただし、どの領域まで踏み込んで対応するのかについては、法律事務所の方針によって異なるため、求人情報の内容をよく確認した上で応募を検討しましょう。

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IT法務の求人例

弊社MS-Japanは、管理部門と士業に特化した転職エージェント「MS Agent」を運営しています。
ここでは、「MS Agent」で取り扱っているIT法務求人の一部をご紹介します。

IT・ベンチャー系企業法務・渉外案件に強い法律事務所の弁護士

仕事内容
・企業法務(会社法、金融商品取引法、労働法、IT関連法など)
・M&A、IPO法務、知的財産法
・グローバル法務、先端法務(ドローン、仮想通貨)
必要な経験・能力
・弁護士資格
・企業法務経験(法律事務所または事業会社)
想定年収
700万円~1,500万円

ITベンチャー企業の法務マネージャー(管理職候補)

仕事内容
・契約審査、法律相談対応
・知的財産権関連業務、社内法務教育
・M&Aや子会社の法務対応
・法務部門の効率化施策実施、外部弁護士連携
必要な経験・能力
・上場企業での法務経験(課長レイヤー3年以上)
・契約レビューや渉外業務の実務経験(5年以上)
・著作権法の実務経験
想定年収
750万円~1,000万円
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まとめ

IT法務は、主にシステム開発やWeb業界、ゲーム業界などのベンダー企業や、それらのITシステム・サービスを導入するユーザー企業において、法務としての知見が要求されます。
「契約締結前のやり取り」が職務上重要になるため、IT法務の業務では、特に契約法務が重要視される傾向です。

IT業界は今後も成長し続ける業界であるため、法務人材のニーズも高まり続けると考えられるでしょう。
法務としてキャリアアップや、業務幅を広げていきたい方は、IT業界への転職をご検討されてみてはいかがでしょうか。

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この記事を監修したキャリアアドバイザー

町田 梓

大学卒業後、新卒でMS-Japanへ入社。企業側を支援するリクルーティングアドバイザーとして約6年間IPO準備企業~大手企業まで計1,000社以上をご支援。
女性リクルーティングアドバイザーとして最年少ユニットリーダーを経験の後、2019年には【転職する際相談したいRAランキング】で全社2位獲得。
2021年~キャリアアドバイザーへ異動し、現在はチーフキャリアアドバイザーとして約400名以上ご支援実績がございます。

経理・財務 ・ 人事・総務 ・ 法務 ・ 法律・特許事務所 ・ 役員・その他 ・ 社会保険労務士事務所 ・ 弁護士 を専門領域として、これまで数多くのご支援実績がございます。管理部門・士業に特化したMS-Japanだから分かる業界・転職情報を日々更新中です!本記事を通して転職をお考えの方は是非一度ご相談下さい!

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