税務申告とは?税務申告の種類や作成の流れを解説!
税務申告とは、法人が必ず行わなければならない税金の申告業務のことです。
確定申告という言葉は聞き馴染みがあると思いますが、税務申告については難しい内容も多く、すべてを理解することは難しいため、税理士に依頼して代理申告を行うケースがほとんどです。
本記事では、税理士の業務でもある税務申告について、初めて聞いた方でも分かるように解説します。
税務申告とは?
税務申告とは、法人が行うべき税金申告業務のことであり、個人の確定申告の法人版ともいえます。
法人はその年度の利益に応じて法人税、消費税、都道府県税、市町村税などを納税する必要があります。
決算月から2か月以内に申告及び納税を行う必要があると定められており、期限厳守での対応が求められます。
法人には一年に一度行う税務申告だけでなく、毎月行う税務申告も存在します。
その代表的なものは「源泉徴収税」です。
源泉徴収税は毎月の従業員の給与から所得税と住民税を徴収し、その徴収した額を翌月の10日までに納める税金のことをいいます。
年に一度の税務申告であっても、月に一度の税務申告であっても、期限内に納付しないと無申告加算税や追徴課税、重加算税などのペナルティが課せられる場合があるため、注意が必要です。
税務申告は納税義務の遂行、透明性の確保、法令遵守などが求められますが、これらを適切に行うことはコンプライアンスに厳しい視線を社会が向ける今日、法人経営にとって企業の信用の向上を図り、社会的責任を果たすための重要な業務に他なりません。
税務申告のプロセスは専門的知識が必要となるため、税理士などの専門家に依頼することが一般的です。
近年では、電子データでの申告も可能になっており、その利用が広がっていることから、申告の効率化と迅速化が進んでいます。
中小企業の場合、税務申告の負担が大きいことから、各自治体や経済団体によって支援を行うための相談窓口やセミナーなど、申告に必要な情報提供を行う場も設けられており、これらを利用することでスムーズな税務申告が可能となります。
税務申告の種類を解説
税務申告は、自分で税額を計算して申告する申告納税方式と、届けられた納付書などに従って納税をする賦課課税方式に分かれています。
申告納税方式とは、納税者が自身で税金の課税所得から納めるべき税額を計算し、申告書を作成して納税する方法です。
国税としては、事業者であれば法人税、所得税、消費税があり、一定の資産を持つ個人には相続税が該当します。
地方税では、法人県民税、法人市民税などが対象となります。
申告納税方式となっている場合、申告の仕組みやプロセスに精通していれば節税対策を講じることもできます。
例えば法人税の申告を行うとき、法人税は申告納税方式の税金であることから、経営者自ら積極的に申告作業に関わりながら節税対策を講じることで、支払う必要のない税金をカットできるため、税負担を軽減できます。
税理士などの専門家に税務申告を依頼する場合でも、その法人の状況に合わせた節税対策の提案を受けられます。
賦課課税方式は、国や地方公共団体が納税者に対して納めるべき税金を計算し、納税通知を送る方法です。
国税では罰金の性質を持つ加算税や過怠税などが該当し、地方税では固定資産税、不動産取得税、自動車税、個人住民税、個人事業税などがあります。
賦課課税方式は支払い期限が明記された納税通知書が送られてくるのみであり、決定された税額を支払うしかありませんので、申告納税方式のように節税対策を講じることはできません。
賦課課税方式への対応においては、納税の時期を把握して行動することが大切です。
納税時期を把握しないままでいれば、突然、納税通知が来て困惑する場合もあるでしょうし、その時期に高額な設備投資などを行ってしまったなら納税資金のための資金繰りに追われる可能性も生じるためです。
税務申告の代理は税理士の独占業務
税務申告の代理は、税理士によって行われる独占業務として定められています。
税理士はクライアントからの依頼に沿って、専門的な知識と経験をもとに、法人税、所得税、消費税などの税務申告や、税務相談、各種申告書類の作成などを行います。
税務申告を税理士に任せるメリットとして、まず正確かつスムーズに税務申告を済ませられる点が挙げられます。
税制はもともと複雑であり、毎年のように税法が改正されているので、最新の税法に精通している税理士に任せることで、専門的な知識と経験をもとにした申告が可能になります。
法令遵守を確保しつつ、納税の負担を最小限にできる点も税理士に税務申告を任せるメリットです。
税理士は、節税対策や税務上のリスク管理なども提案しながら、最適な税務戦略を構築してくれますので、支払う必要のない税金を納めてしまうこともなくなり、納税資金の資金繰りも楽になります。
自分で税務申告を行うデメリットとしては、税法の知識が不足している場合、誤った申告をしてしまうリスクがあります。
また、最新の税法の変更を追うのが困難で、時にはペナルティが科されることもあります。
さらに、自分で申告する場合には、多くの時間と労力がかかってしまうのも難点です。
法人税の申告を行う際、申告書を作成するには決算書をもとにしなければなりません。
税務署、各自治体や経済団体によって設けられている税務申告の相談窓口では申告書の作成の仕方は教えてくれても、決算書の作成まではサポートしていないことが多いので、すべて自力で行うのであれば決算も自分で組む必要が出てきます。
以上より、税務申告の代理を税理士に任せることは、その専門性と経験により、正確かつ効率的な税務申告を実現できます。
自分で申告することのリスクや労力を考慮すると、税理士への依頼は経営者にとって合理的な選択であるといえるでしょう。
税理士が税務申告を作成する流れ
税務申告は非常に複雑であり、それぞれのステップにおいて専門的な知識が要求されます。
以下に、税理士が税務申告を作成する流れについてご紹介します。
決算手続き
決算手続きは、税務申告の基礎となる部分です。
会社の財務状態を正確に把握するため、売上、費用、資産、負債などのデータを集計します。
税理士は、該当期間の会計帳簿の整理しながら、決算書を構成するそれぞれの項目について集計して取りまとめ、貸借対照表や損益計算書をはじめとする財務諸表の作成などを行い、その年度の経営状態を反映した決算書を作成します。
税務申告手続き
税務申告手続きは、決算手続きで作成した決算書、およびその作成時に得られた情報をもとに、税金の申告を行うための申告書類を作成します。
■消費税の申告
消費税の申告は、売上に対して課される税金であり、販売価格に含まれています。
税理士は、課税売上の計算、免税売上の区分、入力消費税の控除などを考慮しながら、消費税申告書を作成し、税務署に提出します。
■法人税の申告
法人税の申告は、会社の純利益に対して課される税金です。
決算手続きで得られた財務諸表から、課税所得を計算し、法人税法に基づいて税額を算出します。
所定の様式に沿って申告書を作成し、決算書をはじめとする必要な添付書類とともに税務署へ提出します。
法人税の申告内容は、法人二税の税額にも影響してくるため、節税対策もこの段階で検討され、最適な申告が行われます。
■法人二税の申告
法人二税とは、法人市民税と法人県民税の総称であり、法人税の申告内容に基づいて計算されます。
法人市民税は、所在地の市町村に、法人県民税は所在地の県に対して申告・納税します。
まとめ
税務申告とは、法人が納税すべき税額を計算し、国や地方公共団体に対して申告する重要なプロセスであり、適切に対応することで納税の義務を果たすとともに、企業の信用の向上へとつながっていきます。
税務申告は決算手続きから始まり、課税所得の計算、各種税金の申告書作成に至るまで、複雑なステップを経て行われるものであり、いずれのステップも専門的な知識と経験が要求されるのに加え、期限内に正しい申告と納税を行うことが求められます。
自力で対応できないこともありませんが、正確かつスムーズに税務申告を済ませたいのであれば、やはり
税理士をはじめとする専門家に依頼するのがおすすめです。
申告納税方式である法人税の申告においては節税対策も講じられるので、専門家に依頼することで適切な節税も可能となります。
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この記事を監修したキャリアアドバイザー
大学卒業後、不動産会社にて個人向けの営業を経験。その後MS-Japanへ入社。会計事務所・コンサルティングファーム・監査法人・法律事務所・社会保険労務士事務所等の法人側担当として採用支援に従事。現在はキャリアアドバイザーも兼務し一気通貫で担当しております。
会計事務所・監査法人 ・ 公認会計士 ・ 税理士 ・ 税理士科目合格 ・ USCPA を専門領域として、これまで数多くのご支援実績がございます。管理部門・士業に特化したMS-Japanだから分かる業界・転職情報を日々更新中です!本記事を通して転職をお考えの方は是非一度ご相談下さい!
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