会計事務所の仕事はきつい?業務の実態と向かない人、働くメリットを解説



会計事務所の仕事は、給与計算や税務など、失敗が許されない業務内容が多い傾向にあります。
そのため、アルバイトやパートであっても仕事がきついと感じるケースがあるでしょう。
会計事務所での仕事に興味を持っているものの、ハードワークになじめるかどうか不安で、決心がつかないという人も多いのではないでしょうか。
現在会計事務所に勤めていて、厳しい環境だから離れたいと考えている人もいるはずです。
この記事では、会計事務所の業務の実態と、会計事務所の業務がきついと言われる理由について解説します。
次回、転職する際のヒントになれば幸いです。
会計事務所がきついと言われる理由
会計事務所がきついと言われる理由は、その労働環境の厳しさにあります。
以下、具体的な理由をいくつかご紹介します。
業務量の多さ
会計業界には、繁忙期と閑散期があり、概ね半年単位のサイクルです。
法人のクライアントを多数抱えていると、決算・所得税・法人税・消費税の確定申告が必要になり、償却資産税や年末調整なども同時期に重なってきます。
具体的には、12月~翌年5月までの間が繁忙期となり、残業や土日出勤が増える事務所も多い傾向にあります。
また繁忙期ほどではありませんが、閑散期も月次の業務をこなす必要があり、常に忙しいとされています。
ただ忙しい分、実務経験を多く積むことができるため、税理士としての成長は早いと考えられます。
また、事務所によっては資格試験勉強に向けて、業務量を調整してくれる事務所もございますので、自分にあった働き方のできる会計事務所を選びましょう。
緊張感のあるシビアな仕事
もともと、会計の仕事には几帳面さが求められるため、仮に決算書や申告書の内容に1円でも誤りがあれば、そのせいでクライアントが損害を被るおそれがあるのです。
万一、クライアントに損害を与えてしまった場合、契約解除や損害賠償請求もあり得る話です。
それを防ぐためには、常に仕事に集中して、新しい情報もキャッチアップしていかなければなりません。
会計業界で身に付けた細かい点までチェックする習慣は、会計・税務に関わるビジネスパーソンの基礎となります。
人間関係にも配慮しなければならない
会計事務所は少数精鋭でスタッフを回しているところが多いので、事務所内での人間関係に難があると、仕事がスムーズに進みません。
特に、他スタッフとの年齢差が生じている環境の場合、若いスタッフが相談しにくいケースもあります。
また、会計事務所内だけではなく、クライアントとの人間関係を良好に保つことも必要です。
多様な人と協調して働くことで、必然的にコミュニケーション能力を養うことが出来ます。
常に専門知識のブラッシュアップが必要
会計分野の仕事は、必ずしも経理に関する分野だけが対応すべき範囲とは限りません。
特に、税法関連は毎年変更がかかる分野のため、毎年新しいルールに適応できるよう勉強する必要があります。
他には、例えば社労士や行政書士の管轄にあたる分野に関しても、理解を深めておくことが求められます。
というのも、クライアントの中には、税理士を「税務の専門家」としてだけでなく、バックオフィス全般の専門家というイメージで捉えている人も多いからです。
社会保険関連、給付金・助成金関連など、管轄外の知識を頭に入れておくことで、提案できる幅も広がります。
ただ、その分だけ情報を収集すべき範囲が広くなってしまうので、勉強することに抵抗がある人にとっては負担が大きくなるでしょう。
会計事務所に向いていない人の特徴
会計事務所で働く場合、自分の職務経歴やスキルではなく、自分の性格・適性面での向き不向きを意識した方が、かえってうまくいく場合があります。
以下、会計事務所での勤務に向いていない人の特徴について、いくつかご紹介します。
柔軟なコミュニケーションができない人
会計事務所でのコミュニケーションでは、もちろんスタッフ間でのコミュニケーションも大切ですが、同様に対クライアントのコミュニケーションも重要です。
多くのクライアントは、中小企業の経営者や個人事業主になるため、個性的・エネルギッシュ・マイペースといった3拍子をそろえているものと考えてよいでしょう。
一般人とは違う道を歩んでいる分、コミュニケーションが円滑に進まない可能性もありますが、反面懐に入れば親しくなれるチャンスがあります。
よって、社会人経験が豊富であったり、営業の経験があったりする人だと、共感を得やすいでしょう。
他のスタッフに協力を頼めない人
仕事量が膨大になる会計事務所では、一人の力だけですべてを片付けるのにも限界があります。
そのため、外勤者が内勤者に仕事を頼むなど、スタッフが何らかの形で連携を取り合いながら仕事を進める必要があります。
また、スタッフが担当するクライアントは、一人ではなく複数人存在します。
法人の場合、決算のタイミングが企業で違うことも珍しくありませんから、同時に担当する中でミスが生じる可能性は高くなるでしょう。
必要なタイミングで、協力をお願いできる人がそばにいないと、いつまでも仕事を抱えたまま過ごすことになります。
仕事が滞れば、事務所の中で自分の評価も下がってしまいますから、誰かに協力を頼む意識が低い人は、かなりの苦労が予想されます。
ルーティンワークの適性がない人
仕事に対して柔軟に取り組まなければならない一方で、会計事務所のデスクワークはルーティンワークに分類されます。
細かい部分は違えど、基本的には「会計」というルールの中で仕事をすることになるため、同じような作業を続けることに抵抗がない人の方が、会計事務所の仕事にはなじめるかもしれません。
特に、内勤でデスクワーク中心に働く人の場合は、地味な作業を継続して行うことに達成感が得られないと、ストレスがたまってしまう一方でしょう。
かんたんな計算ミスや初歩的な誤りに気付けない人も、ルーティンワークへの適性があるとは言えません。
責任感が強い人
「自分がやらなきゃ」という責任感が強い人は、一般的に社会人・ビジネスパーソンとして好ましい適性と捉えられがちです。
しかし、過度に責任感が強い人は、かえって心身に大きなダメージを負うことになるでしょう。
何でも人のせいにするのは論外ですが、すべて自分の責任として背負い込むことも、あまり好ましい傾向ではありません。
特に、クライアントの個性が強い場合、理不尽な注文や意見に振り回されてしまうおそれがあります。
極力仕事や相談事をため込まず、随時先輩スタッフに相談できる人間関係を構築できる人の方が、かえって責任感のある仕事ができます。
また、日ごろから不安を抱え込んでいるようなら、吐き出せる相手がいないとパンクしてしまうでしょう。
その他、経理関連の向き・不向きについて、より詳しく知りたい方は、以下の記事もご覧ください。
【参考URL】
・
経理に向いてないかも…そう思った時はどうする?対処法と合わせて紹介!
会計事務所で働くメリットはあるのか?
会計事務所の仕事内容がきついと言われる中、それでも働くメリットはどこにあるのでしょうか。ここでは考えられるメリットの中から、現時点で注目すべき三つを紹介します。
キャリアの可能性が広がる
会計事務所で実績を積むことには、税理士としてのキャリアが広がるというメリットがあります。転職する場合には、ほかの会計事務所に移籍する以外にも、一般企業の経理やという選択肢があります。
会計のスペシャリストというキャリアは、以前よりも幅広い業界でニーズが高まっているため、今後はさらに活躍の場が広がるでしょう。
保有資格が給与に反映されやすい
スキルや資格が収入に反映されやすいのも、この業界の特徴です。特に現在は業務の多様化と専門分化が進み、たとえば海外企業とのやりとりや、M&Aの準備のように特殊なスキルが求められています。会計事務所でも、積極的に資格取得をサポートしています。
そのため特別な資格を取得することが、対応できる業務の幅を広げ、収入アップにつながるのです。
売り手市場で転職しやすい
公認会計士や税理士は、現在受験者が減少傾向にあります。その反面で、会計事務所では人材が不足しています。これが、いわゆる売り手市場を形成している理由です。
会計事務所側も人材不足に配慮して、職場環境の改善に努めています。転職を考える場合には、より条件のよい会計事務所を選ぶことができ、仕事内容がきついと言う声も聞こえなくなるかもしれません。
会計事務所の1年間のスケジュールは?
会計事務所は繁忙期と閑散期が明確に分かれており、それらは企業の決算時期によって決まります。
日本国内の企業は3月決算が多く、3月から5月までが会計事務所にとっては最も忙しい時期といえます。
税理士業務は例年12月から忙しくなり、まずは企業の年末調整に対応します。そこから翌年の1月にかけては、源泉徴収票や給与支払い報告書などの作成に追われます。
さらに1月には個人事業主やフリーランスなどから、確定申告の依頼が続々と舞い込みます。この繁忙期が、確定申告期限の3月15日まで続くのです。
そして3月は企業の決算月でもあるため、クライアントから1年の総まとめの仕事が集中します。会計事務所の仕事内容がきついといわれるのは、この繁忙期が激務になることがその一因でしょう。ただし3月決算以外の企業もあるので、担当するクライアントによっては繁忙期が異なる場合もあります。
閑散期にはクライアントの巡回監査や、月次決算処理などを行います。またこの時期はそれぞれのスキルアップのため、資格取得などの勉強に取り組むタイミングでもあります。
未経験から会計事務所に転職するには?
会計事務所では税理士のほかに、税理士補助というスタッフも働いています。未経験で会計事務所に転職する場合は、この税理士補助の求人を探してみるとよいでしょう。
以下に税理士補助の概要を紹介します。
必要な資格・スキル・年齢制限は?
基本的な会計に関する能力は必須なので、日商簿記2級以上の資格は取得しておくべきでしょう。できれば税理士試験の科目合格があると、転職には有利になるはずです。
資格以外にも、経理業務の実務経験があれば評価が上がります。転職に年齢制限はないものの、未経験の場合20代後半までが一つの目安です。
税理士補助や未経験者が受け持つ仕事内容とは
税理士補助が担当する業務は、仕訳の記帳代行などデータ入力が中心です。会計ソフトを使ったデータ処理は必須のスキルです。ほかにも税理士の補助をしながら、クライアント企業の書類管理や、給与計算や勤怠管理なども任されるようになるでしょう。
税理士補助の年収や待遇
税理士補助でも一定レベルの収入が保証されます。たとえば個人会計事務所では、年収目安は300~400万円程度で、税理士事務所では300~350万円程度です。税理士試験の科目合格者になると、400~600万円程度にまで待遇が上がります。
会計事務所では、全体的に人材が不足しています。そのため税理士資格がない未経験者でも、求人案件は増える傾向にあります。税理士補助として働きながら、税理士資格の取得を目指すことは、非常に効率的な働き方になるといえるでしょう。
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まとめ
近年企業のビジネス環境が変わり、それに伴って会計事務所の役割も変化しています。国際税務やM&Aのように、特別なスキルを要する新しい業務も増えています。そのため会計事務所全般で、人材へのニーズが高まっている状況です。
安定的な人材確保のため、会計事務所でも職場環境の改善が進み、仕事内容がきついという不満の声も、徐々に小さくなりつつあります。またキャリアの幅を広げられる点からも、会計事務所で働くメリットが注目されています。
今後も会計事務所の求人数は安定すると予測され、未経験者でも転職のチャンスは十分にあります。自身の目標や希望に合った転職先を探すためには、転職エージェントを利用すると効率的です。転職を検討する場合、まずは相談することをおすすめします。


この記事を監修したキャリアアドバイザー

大学卒業後、カーディーラ・小売業を経験し、2008年からMS-Japanでリクルーティングアドバイザーとキャリアアドバイザーを兼務しております。
会計事務所・監査法人 ・ コンサルティング ・ 公認会計士 ・ 税理士 ・ USCPA ・ 弁護士 を専門領域として、これまで数多くのご支援実績がございます。管理部門・士業に特化したMS-Japanだから分かる業界・転職情報を日々更新中です!本記事を通して転職をお考えの方は是非一度ご相談下さい!
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