2024年01月15日

ストックオプション導入企業に転職するメリットは?リスクと注意点も解説!

管理部門・士業の転職 管理部門・士業の転職

収入アップを目的とした転職で、ストックオプションを導入している企業が注目されています。

この記事では、ストックオプションについて分かりやすく解説し、ストックオプション導入企業のデータ転職のメリット、リスクや注意点を取り上げていきますので、是非今後の参考にしてください。

ストックオプションとは?

ストックオプションとは?

ストックオプションは、従業員や取締役が自社株を事前に定められた価格で購入できる権利です。
会社は従業員に対し、特定の価格(権利行使価格)で株式を取得する権利を付与します。
権利行使価格で自社株を購入し、株価が上昇した際に市場価格で売却することが可能です。
この結果、生じる差額が利益となり、従業員の業績向上へのインセンティブとして機能します。

ストックオプションの仕組み

ストックオプションは、定められた期間内に予め設定された価格で株を購入できます。
例えば、「今後5年間に限り、1株1,000円で購入可」というストックオプションを付与されると、4年後に株価が上昇し市場価格で1株2,000円になった場合でも、従業員・取締役は1株1,000円で購入することが可能です。
ストックオプションを行使して1株1,000円で100株購入し、すぐに売却することで、市場価格と権利行使価格の差額1,000円×100株で10万円の利益が生じます。

逆に、株価が下落した場合は、ストックオプションの権利行使をしなければ、損失を回避できます。

ストックオプションの種類

ストックオプションには以下のような種類があります。

無償税制適格ストックオプション 金銭的負担なしで取得可能。適格要件を満たしているため、給与課税が発生しない。
無償税制非適格ストックオプション 金銭的負担なしで取得可能。適格要件を満たしていないため、給与と見なされ、最大55%の給与課税が適用される。
1円ストックオプション 権利行使価格が1円の非適格オプション。退職金として利用されることが多く、税率が異なる。
有償ストックオプション 公正価値に基づく発行価格を支払って株式の購入権を予約する(新株予約権)。行使条件を満たすと、実際に株式を購入・保有できるようになる。譲渡課税が低め。
信託型ストックオプション 全員分のオプションを信託に預け、ポイントに応じて割り当てる。株式の希薄化防止が可能だが、企業側は導入コストがかかる。

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ストックオプションの利用方法

ストックオプションの利用方法は、企業の発行と付与、従業員や役員による権利行使、そして株式の売却または保有という流れで進行します。
各工程について、詳しく見ていきましょう。

ストックオプションの発行と付与(企業)

まず企業側が、ストックオプションの価格(行使価格)を決定します。
行使価格は、現在の株価と将来の株価予測に基づいて算出しますが、業績達成条件や行使時の制限などの条件を設けることで、公正価格よりも低く設定することも可能です。
次に、付与する対象者と割当比率を決め、権利を付与します。

ストックオプションの権利を行使する(従業員・取締役)

従業員や取締役が行使価格を支払って、自社株式を取得し、ストックオプションの権利を行使します。
株式はストックオプション専用の口座に入庫され、取得した従業員や取締役が株主となります。

自社株を売却する・保有し続ける(従業員・取締役)

ストックオプションを行使して株式を取得した後、すぐに売却する必要はありません。
株価上昇を見込んで保有し続けることで、キャピタルゲインを増やすことが可能です。
逆に、会社の業績悪化等で株価が下落した場合、権利を行使しなければ損失を回避できます。


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ストックオプションを導入している企業データ

次に、2023年におけるストックオプションの導入状況を解説します。

東京証券取引所が取りまとめた「コーポレート・ガバナンス白書2023」によると、ストックオプションを導入している企業の割合は以下の通りです。

企業区分 導入率
全社 29.3%
プライム 23.5%
スタンダード 20.2%
グロース 79.7%
JPX日経400 22.1%

グロース上場企業での導入割合が高いことから、ストックオプションはスタートアップ企業に向いている制度だと言えるでしょう。
ストックオプションであれば、資金不足のスタートアップ企業でも報酬を与えられるだけでなく、人材不足の解消や従業員のモチベーション向上につながるため、スタートアップ企業での導入が多いと推察できます。

しかし、これらのメリットはスタートアップ企業に限らず、多くの企業にとって魅力的です。
上記のデータにおいても、JPX日経に選出される企業やプライム上場企業も2割強が導入しており、大企業に普及していることが読み取れます。

以下は、監査役会設置会社、監査等委員会設置会社、指名委員会等設置会社ごとにストックオプション付与対象者を同資料より抜粋したデータです。

組織形態 社内取締役 従業員
監査役会設置会社 95.4% 71.5%
監査等委員会設置会社 91.4% 78.9%
指名委員会等設置会社 71.4% 71.4%

いずれも従業員にストックオプションを付与する割合は7割を超えており、従業員として転職した場合でも、導入企業であれば高い割合でストックオプションの付与が期待できます。


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企業がストックオプションを導入する理由

企業がストックオプションを導入する理由

企業がストックオプションを導入する理由は、優秀な人材の確保、従業員のモチベーション向上、経営意識の醸成、人材の流出防止にあります。

まず、ストックオプションは優秀な人材を引き付けることができます。
従業員が将来的に大きなキャピタルゲインを得る可能性があるため、初期の低報酬でも、ストックオプションの存在が魅力的なインセンティブとなり、優秀な人材の確保につながります。

株価上昇に直結するストックオプションは、従業員のモチベーション向上効果もあります。
従業員自身の努力にってり、企業の業績が上がれば、株価も上がり、行使価格との差額が広がります。従業員は自身の努力が直接的な報酬に結びつくことを実感できるため、モチベーション向上につながります。
さらに、ストックオプションは従業員に経営意識を持たせる効果もあります。 自社株を保有することで、従業員は自らが企業の一部として経営の成長に貢献することを意識できるでしょう。

最後に、人材流出の防止にも寄与します。
ストックオプションの権利は一定期間内にのみ行使できるため、従業員は長期的な視点で会社に留まる傾向が強くなるでしょう。
また、社外協力者へのストックオプション付与により、長期的な関係維持や、外部の専門知識・技術の確保が可能です。

これらの理由から、ストックオプションは企業にとって多面的な利益をもたらす制度であり、今日の経営戦略の重要な要素のひとつとなっています。


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ストックオプション導入企業に転職するメリット

ストックオプションを導入している企業に転職するメリットとして、大きな資産形成の可能性、仕事へのモチベーション向上、資産リスクの低減の3つが挙げられます。

まず、ストックオプションは将来的に大きな資産を得るチャンスとなります。
自社株が上昇すると、ストックオプションの行使により得られる利益(キャピタルゲイン)も増加します。
特に、成長が見込まれる企業や新興企業では、株価の大幅な上昇によって、通常の給与では得られないような大きな資産を築ける可能性があるでしょう。

仕事へのモチベーション向上もストックオプション導入企業に転職するメリットです。
自身が保有するストックオプションの価値は企業の業績に連動するため、従業員は自社の成功に向けたモチベーションを維持しやすくなります。
この結果、個々の目標と企業の目標が同期し、より積極的かつ創造的な働き方を促進する要因となり得ます。

さらに、ストックオプションは資産リスクが比較的低いというメリットもあります。
直接株式を購入する場合と異なり、ストックオプションでは、株価が下落した場合に権利を行使しなければ、損失を被ることはありません。
これにより、従業員は株価の変動リスクを最小限に抑えつつ、株価上昇の恩恵だけを受けることができます。


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ストックオプション導入企業への転職における4つの注意点

ストックオプションを導入している企業に転職する際の注意点を4つご紹介します。
まず1つ目は、基本給が高くない可能性があることです。
ストックオプションは将来的な利益を見込んで提供されるため、基本給が低めに設定されるケースも少なくありません。
したがって、現在の生活レベルや将来の計画を考慮し、給与体系全体と照らし合わせることが重要です。

2つ目は、ストックオプションが必ずしも利益につながるとは限らない点です。
特に非上場企業の場合、上場が実現するまでは、ストックオプションを行使しても金銭的な利益にはつながらないことが多いでしょう。
また、権利行使には条件が設けられることも多く、これらの条件を満たさないと株式を購入することができません。

3つ目は、ストックオプションの存在が退職の意思決定を難しくさせることもあります。
行使期間内に退職すると権利が消滅するため、退職をためらう原因となるでしょう。特に株価が上昇している状況下では得られるはずの資産の放棄につながります。
トックオプションの行使や売却に対し、高額な税金が課せられるケースがあるため、現金が不足している場合は、退職を見送る理由となるでしょう。

4つ目は、売却後のモチベーション低下につながることもあります。
ストックオプションを目的として働いていた場合、売却を経てその目的が達成されると、仕事への達成感が薄れ、モチベーションの低下に繋がるリスクがあります。

これらの点を理解し、転職を検討する際には、ストックオプションの条件、税制面、そして自身のキャリアプランとの整合性を総合的に考慮することが重要です。


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まとめ

ストックオプション導入企業への転職は、単にストックオプションを目的とするのではなく、企業の事業内容やビジョンに真の興味・関心を持つことが重要です。
ストックオプションを行使することで、将来的に大きな資産を得られる可能性があります。その実現には不確定要素が多いことも事実です。上場の可否や行使条件の厳しさによって可能性は大きく左右されるでしょう。
したがって、ストックオプションは努力のご褒美として捉え、主要な転職動機とするべきではありません。
ストックオプション導入企業へ転職する場合は、自分のキャリアの方向性に沿った企業選びと、事業に対する熱意・やりがい、社会的意義などをトータル的に考えることが重要です。
これらを踏まえて転職先を選べば、後々から見て成功したといえる転職へとつながるでしょう。

この記事を監修したキャリアアドバイザー

佐藤 颯馬

大学卒業後、新卒でMS-Japanに入社。
法律事務所・会計事務所・監査法人・FAS系コンサルティングファーム等の士業領域において事務所側担当として採用支援に従事。その後、事務所側担当兼キャリアアドバイザーとして一気通貫で担当。

会計事務所・監査法人 ・ 法律・特許事務所 ・ コンサルティング ・ 金融 ・ 公認会計士 ・ 税理士 ・ 税理士科目合格 ・ 弁護士 を専門領域として、これまで数多くのご支援実績がございます。管理部門・士業に特化したMS-Japanだから分かる業界・転職情報を日々更新中です!本記事を通して転職をお考えの方は是非一度ご相談下さい!

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