3分でわかる最新人事コラム

第121回2018/02/15

「女性活躍推進の実態」

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女性活躍推進法の背景

女性の活用が日本社会で叫ばれて早5年。日本政府として女性の活用・社会的活躍を推奨する背景には、少子高齢化に伴う労働者不足の加速化、女性の潜在的能力の活用が求められてきたこと、産業構造の変化により、多様な人材を活用していこうという社会風潮の高まりが挙げられるでしょう。
具体的な目標としては、男女共同参画推進本部において「社会のあらゆる分野において、2020年までに指導的地位に女性が占める割合が少なくとも30%程度になるよう期待する」と掲げられています。5年経った今、現状はどのようになっているのでしょうか。
現状

いくつかの調査結果データより、女性活用の実態を垣間見ることができます。

1. 最終目標指数に対する現状(指導的地位に女性が占める割合)
まずは、ずばり目標指標としている「指導的地位に女性が占める割合」についてです。

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前述の通り、こちらの最終目標は平成32年までに30%ですが、目標を掲げた5年から経過した現状(平成28年)は、9.3%という状況です。安倍政権に発足時は6.9%(平成24年)だったため、向上はしているものの、現状の年0.6%の成長ペースが継続したとしても、期限までの達成は厳しいことが見込まれます。


会社における男女別人員構成比(役職別)

2016年と2017年においての企業の人員構成比を詳細に表したものは、以下のデータです。

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データ1に表れている通り、管理職・役員においては、「全体の30%以上が女性」という企業は微増しています。

今後の課題 ~施策・制度導入の実態を踏まえて~

今後、指導的地位に占める女性の割合を上げていくには、仕事と育児を両立できる環境整備が一番に挙げられるでしょう。その一つの要素として、企業の育児休暇の取得率や制度の導入率について見てみましょう。
1. 男女別 育児休業取得率の推移


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女性の育児休暇取得実績は、平成24年に減少したものの、その後緩やかではありますが、微増傾向にあるように見えます。
一方で、男性は平成25年度を境に3年で2%の上昇となっています。

2. 育児参加のための休暇制度の利用者がいた事業所割合

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総数に関しては、今まで制度利用をした人がない事業所において、初めて制度を利用した人が増加しています。
しかし、有期契約労働者の割合は、総数に比べて微増という結果となっております。この推移から考えられることとしては、派遣や契約社員をはじめとした有期労働者は、制度を利用しづらい、利用したいという声を上げることにためらいを感じているのではないかということです。
数年前から、『マタニティハラスメント』という言葉を聞くようになった方は多いのではないかと思います。妊娠・出産に際して休みをとろうと申請すると、雇用契約が打ち切りになる、退職を勧められるといったことがあります。このことから、長期休暇を申請することに対して不安を感じている有期労働者は決して少なくはないのではないでしょうか。こうした現状が表にはなかなか出づらいことも、女性の活用を進める障壁になっているのかもしれません。

3. 育児休業制度の規定がある事業所割合の推移

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会社の制度として育児休暇制度を設ける事業所は増加傾向にあります。

上記の数値的結果からも、「仕事と家庭(育児)の両立支援」は重要課題であると考えられます。実際に課題解決に向けた制度導入は少しずつ進んでいるようですが、「会社内での男女均等支援」の重要性も忘れてはなりません。なぜならば、育児休暇制度・時短勤務の充実など、育児と仕事の両立支援施策を重視すると、女性の定着は進むものの仕事の内容や役割は補助的なものなり、キャリア形成支援が進まないでしょう。従って、会社内での男女均等支援を重視する必要があるのですが、今度はこちらばかりを重視してしまうと、働ける一部の女性のみに昇進が限定されてしまいます。相互の施策をバランスよく連動させ、実行していくことが必要なのです。

転職コンサルタントとして日々求職者の方のお話を伺う中で、求職者の方から次のような意見は今でもよく聞きます。
「産休・育休の制度利用を“良し”としない空気」、「男性が育児参加し辛い環境」、「男性は仕事、女性は家庭という意識」といったものが、まだまだ日本企業の職場にはあるようです。
労働人口が減少する中で、多様性や様々な人材の活用が叫ばれている昨今、柔軟な考え方を取り入れていかなければ女性の活躍推進は思うように伸びていかないのではないかと思います。

まとめ

今回のデータを読み解いた結果、女性活用の推進に向けて、現在社会の風潮は徐々に高まっていることが分かりました。しかし、残念な点は障壁となっている要因が、昔も今も変わっていないことです。今でも「男性は仕事、女性は家庭」のような風潮はしっかりと存在感を持って企業の中にあり続けており、さまざまな場面で女性の活用を推し進める障壁となっているようです。
働く方のキャリアを支援する転職コンサルタントとして、いつか「女性活用」や「女性活躍推進」という言葉が使われなくなり、性別に関わりなく全ての人が自然に活躍できる社会が実現するように願っています。


<出典>
・データ1
総務省 女性活躍の推進に関する政策評価(概要)
・データ2
株式会社帝国データバンク『特別企画 : 女性登用に対する企業の意識調査(2017年)』
・データ3、4、5、6
厚生労働省『「平成28 年度雇用均等基本調査」の結果概要』

(文/キャリアアドバイザー 井原美菜子)

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