電子会計実務検定とは?試験概要や難易度、簿記との違いなど
近年、デジタル技術の発展により、電子化が進んでいる状況は会計分野でも例外ではありません。
多くの企業では、経理・会計業務において、会計ソフトを用いる知識とスキルが求められるようになっています。
そこで注目されているのが「電子会計実務検定」という資格です。
気になる電子会計実務検定の試験概要や難易度、簿記との違いなどを追ってみましょう。
電子会計実務検定とは
「電子会計実務検定」とは、会計ソフトを用いた電子会計の実践能力と簿記の理論・知識を組み合わせ、実務に役立つスキルを評価する資格試験です。
この検定が創設された背景には、デジタル技術の普及に伴って会計業務も従来の紙ベースから電子化されるニーズが高まっていることが挙げられます。
経理・会計は、あらゆる企業活動において欠かせない業務ですが、企業が時代の変化に対応するためにも、電子会計システムを適切に活用できる人材が求められているのです。
特に中小企業では、正確な会計情報の分析・把握が経営の基盤となるため、電子会計の導入が不可欠となっています。
電子申告や電子文書法など、ネット社会に適応した会計実務のスキルも重要視されており、これを実践できる担い手の確保が急務です。
このようなニーズに応じて、電子会計実務検定では、電子会計データを活用する基礎から応用まで幅広い内容を学びます。従来の会計知識に加え、会計ソフトの操作技術や会計情報の分析・活用能力が試されます。
実践に必要なスキルを磨くことで、会計データを正確に処理し、経営に活かす能力として養われるのです。
電子会計実務検定は、幅広い業界・分野で活かせるため、さまざまなビジネスパーソンにとって価値のある資格と言えます。
企業の経営者や経理担当者だけでなく、これから経理職を目指す人にとっても有用でしょう。
電子会計実務検定と日商簿記検定の違い
電子会計実務検定と日商簿記検定は、ともに会計にかかわる検定資格ですが、異なる点は「会計ソフトの知識」が求められているかどうかです。
電子会計実務検定では操作方法を含めた会計ソフトの知識が必要とされる一方、日商簿記検定では簿記の技術や会計の理論が問われます。
日商簿記検定は伝票から財務諸表の作成までのプロセスを紙ベースで学びますが、電子会計実務検定では会計ソフトを使って実際のデータ入力と経理処理を行う能力が評価されます。
この点が大きな違いであり、電子会計実務検定は、IT技術と会計知識を組み合わせた新時代の会計人材を育成することを目指しているのです。
電子会計実務検定の試験概要
電子会計実務検定の試験概要を整理すると、以下のようになります。
検定級 | 1級 | 2級 | 3級 |
---|---|---|---|
受験資格 | 年齢、学歴、性別、国籍を問わず、 誰でもどの級からでも受験可能 (ただし、受験にあたっては 簿記の理論・知識が必要) |
||
申込方法 | 近くのネット試験会場に問い合わせの上、試験開催予定の会場で申し込む | ||
受験料(税込) | 10,480円 | 7,330円 | 4,200円 |
出題形式 | 記述式中心 | 択一式・数値記入式 | |
試験時間 | 90分 | 60分 | 40分 |
合格基準 | 100点満点中70点以上 |
電子会計実務検定の試験内容
次に、検定級ごとの試験内容を見ていきましょう。
電子会計実務検定「3級」の試験内容
3級の試験は、電子会計の基本知識を問われます。試験形式は択一式と数値入力式で、電子会計データの流れや活用方法に関する理解が求められます。
具体的には、原始証憑の取り扱いや会計データの入力、電子帳簿書類の出力などがテストされます。出題によっては、会計ソフトを実務操作として用いる場面もあるでしょう。
3級受験者は、これらの基本的な知識を身につけ、実際の操作に慣れる必要があります。
電子会計実務検定「2級」の試験内容
2級で求められるのは、電子会計における高度な知識と技術です。択一式と数値入力式の形式で行われ、関連業務からのデータ活用や電子会計情報の効果的な利用、データの保管と管理に関する理解が必要です。
また、データのインポートやエクスポート、複雑な取引の記帳など、より高度な会計ソフトの操作スキルも求められます。
2級受験者は、基本知識と併せて、電子会計の複雑な流れやデータ活用方法を理解し、会計ソフトを円滑に操作する技能を身につけることが重要です。
電子会計実務検定「1級」の試験内容
検定級で最上位の1級は、記述式問題が中心となっており、電子会計の総合的な理解と実践力が要求されます。
試験内容も幅広く、電子会計情報の活用から会計ソフトの運用支援、電子会計データの取り扱い、電子申告と納税システムの理解まで多岐にわたります。
また、NPOや公益法人など企業以外の会計システムについても理解が求められます。1級を目指す受験者は、会計全般に通じる知識やスキル、現場対応力を磨く必要があります。
電子会計実務検定の難易度は?
電子会計実務検定の難易度は、受験者の経験や学習の進度によって異なります。
合格率が非公開であるため、正確には把握しづらいですが、1級から3級までの対象者層から試験の難易度を推定してみましょう。
階級 | 対象者層 | 試験難易度 |
---|---|---|
1級 | 経営者や経営の助言を行う人 | 電子会計の包括的な理解と実務スキルが求められるため、難易度は検定級の中で最も高いレベル |
2級 | 会計実務や財務の責任者 | 実務経験の差が難易度を左右するレベル |
3級 | 経理担当者や一般社会人、学生など | 基本的な会計知識とスキルがあれば受験可能なレベル |
各級の合格基準が100点満点中70点以上であることも、難易度の指標の一つになります。
また、受験にあたって必要とされる簿記の理論・知識がない場合、個々に難易度が上がるでしょう。
難易度を下げる対策としては、各級の試験範囲や要求されるスキルに基づいて学習計画を立て、着実に自信をつけていくことが肝要です。
まとめ
電子会計実務検定は、ビジネス環境で重要性が増す会計の電子化において、実践能力を評価するための試験です。
会計ソフトの操作技術やデータ分析も含めて、電子会計の基礎から応用まで幅広い内容を学びます。
これらのスキルを身につけることで、企業にとって必要な人材として迎え入れられやすくなり、自身のキャリアアップにも役立ちます。
難易度は1級〜3級の受験者によって異なりますが、ビジネスに活かせる検定資格として、挑戦する価値は十分にあるでしょう。
この記事を監修したキャリアアドバイザー
大学卒業後、製薬会社へ勤務。主に病院、クリニックのお医者様へ新薬の情報提供に従事。MS-Japanに転職後は、キャリアアドバイザーとして転職活動を支援。
経理・財務 ・ 人事・総務 ・ 法務 ・ 経営企画・内部監査 ・ 会計事務所・監査法人 を専門領域として、これまで数多くのご支援実績がございます。管理部門・士業に特化したMS-Japanだから分かる業界・転職情報を日々更新中です!本記事を通して転職をお考えの方は是非一度ご相談下さい!
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