【総務の資格一覧】受験資格や難易度など総まとめ!向いている人の特徴やキャリアパスも併せて解説



総務の役割は企業運営を円滑にし、社員が快適に働ける環境をつくることです。
業務内容が多岐にわたるため、「キャリアアップのために資格を取りたいが、どんな資格が役に立つのかわからない」と悩んでいる方が多いのも事実です。また総務として転職を考えている方の中には「転職活動で有利になる資格を取りたい」と考えている方もいることでしょう。
この記事では総務におすすめ資格を、各資格の特徴や難易度などと併せてご紹介します。資格取得を検討している方や総務の仕事に興味がある方は、ぜひ参考にしてみてください。
総務とは?
総務は、他部署が担当しない多岐にわたる業務を請け負う、いわば何でも屋です。
その仕事の範囲の広さゆえに専門性を打ち出しにくいこともあり「明確なスキル」「目的意義」が見えにくい職種でもあります。
総務の役割を端的に表すならば、「会社としてのレベルアップ・業務をスムーズに行える環境作り」です。社内全体を見渡し、経営陣と現場・部署と部署をつなぎ、社員全員が経営陣の目指す目標へ向かってもらうための「縁の下の力持ち」とも言えます。社内全体に目を光らせながら、効率化、安定化を実現する為に率先して取り組んでいく仕事が総務です。
仕事内容は非常に幅が広く、社内文章の作成や来客対応など、社内外と関わりをもっていることが特徴です。社員がより働きやすい環境を整える為の仕事が多く、自ら積極的に行動する姿勢が必要です。
総務は「資格なし」でもOK
総務の業務を行う上で、何か資格が必要なわけではありません。資格よりも実務経験を重視される場面も多いでしょう。
しかし、総務の仕事は機器・備品・施設などの管理業務、社内外慶弔、文書管理、株主総会・取締役会の事務局、社内行事の企画・運営、社内・社外広報の発行、郵送物の発送・仕分け、来客応対、契約書管理、福利厚生業務など多岐にわたります。そのため、自身の能力や得意分野をアピールすることが難しいとも言えます。
そこで役に立つのが資格です。資格の勉強を通して業務に必要な知識を体系的に整理できるため、キャリアアップにつながる可能性は大きいでしょう。
また、資格を所有していれば知識の豊富さや向上心を客観的に証明できるので、転職の際に有利に働くケースもあります。
総務におすすめの資格一覧
総務のキャリアアップや転職に役立つ、総務担当者におすすめの資格を紹介します。難易度の目安となる合格率や、合格までに必要なおおよその勉強時間も参考にしてください。
衛生管理者
資格分類 | 国家資格 |
試験スケジュール | 毎月1〜10回程度(受験地によってスケジュールが異なる) |
受験料 | 第一種・第二種ともに8,800円 |
受験資格 | 指定の学歴を有し、1年以上の労働衛生の実務経験をもつ者など、複数あり ※詳しくは 公式サイトを参照 |
難易度 (合格率・目安勉強時間・合格基準など) |
合格率(令和4年度) 第一種:45.8% 第二種:51.4% 目安勉強時間:50〜100時間 |
衛生管理者は、労働者の健康被害を防止するため、作業環境管理や作業管理、健康管理、労働衛生の教育、健康の保持増進措置などを行います。
常時50人以上の労働者を使用する事業場では、衛生管理者の選任が法律によって定められているため、需要がある資格の1つです。
合格者の数に制限はありません。第一種・第二種ともに合格条件は「科目ごとの正答率が40%以上かつ全体の正答率が60%以上」です。
【公式サイト】
公益財団法人 安全衛生技術試験協会
社会保険労務士
資格分類 | 国家資格 |
試験スケジュール | 毎年8月ごろ |
受験料 | 15,000円 |
受験資格 | 「学歴」「実務経験」「厚生労働大臣の認めた国家試験合格」の中の1つを満たす者 ※詳しくは 公式サイトを参照 |
難易度 (合格率・目安勉強時間・合格基準など) |
合格率(2023年10月4日発表) 6.4% 目安勉強時間:1,000時間程度 |
社会保険労務士は、企業における労働や社会保険、雇用保険などに関する専門家です。社会保険や年金、雇用保険の書類作成など、社会保険労務士だけが行える業務も少なくありません。転職や独立の際に、大いに役立つ資格の1つでもあります。
試験は全8科目で、それぞれの科目ごとに定められた合格基準点をすべて満たした場合のみ合格になります。合格率が低く取得の難易度は高い資格ですが、合格できれば大きなキャリアアップが望めるでしょう。
【公式サイト】
社会保険労務士試験オフィシャルサイト
中小企業診断士
資格分類 | 国家資格 |
試験スケジュール | 第1次試験:毎年8月ごろ 第2次試験:毎年10月ごろ |
受験料 | 第1次試験:14,500円 第2次試験:17,800円 |
受験資格 | 特になし |
難易度 (合格率・目安勉強時間・合格基準など) |
合格率(令和4年) 第1次試験:28.9% 第2次試験:18.7% 目安勉強時間:1,000時間程度 |
中小企業診断士は、中小企業の経営に関する専門家です。経営課題を把握し、適切な助言を行うことが求められます。成長戦略の策定から具体的な経営計画の立案、企業と行政や金融機関との仲介など、幅広い活動に対応できる必要があるでしょう。中小企業診断士は総務としてキャリアアップを目指す人や独立願望のある人は取得を目標とする人気資格の1つです。
筆記形式の第1次試験と、口答(面接)形式の第2次試験があります。第1次試験の合格者には、翌年の第2次試験の受験資格も与えられます。
【公式サイト】
一般社団法人 中小企業診断協会 中小企業診断士試験
ビジネス・キャリア検定試験
資格分類 | 民間資格 |
試験スケジュール | 毎年2月ごろと10月ごろ |
受験料 | 1級:11,000円 2級:7,700円 3級:6,200円 BASIC級:3,300円 |
受験資格 | 特になし |
難易度 (合格率・目安勉強時間・合格基準など) |
合格率(令和5年度前期) 2級総務:55% 3級総務:73% ※合格率と目安勉強時間は、受験等級および試験分野・区分によって異なる |
ビジネス・キャリア検定試験は、職務を遂行するうえで必要な知識の習得と実務能力の評価を目的とした試験です。民間試験ですが厚生労働省が後援しており、客観的評価指標としての信頼度もあります。
8分野41試験から自分の職種に合った受験が可能で、「総務」も試験分野に含まれています。
等級は基礎的な知識を問うBASIC級からマネジメント能力を問う1級まで、4段階に分かれているのが特徴です。各級に受験資格はなく、自分の能力やポジションに合わせた等級を受験可能です。
【公式サイト】
JABADA 中央職業能力開発協会
メンタルヘルス・マネジメント検定
資格分類 | 民間資格 |
試験スケジュール | 毎年3月ごろと11月ごろ(Ⅱ種、Ⅲ種のみ) |
受験料 | Ⅰ種(マスターコース):11,550円 Ⅱ種(ラインケアコース):7,480円 Ⅲ種(セルフケアコース):5,280円 |
受験資格 | 特になし |
難易度 (合格率・目安勉強時間・合格基準など) |
合格率(2023年11月5日実施) Ⅰ種(マスターコース):20.5% Ⅱ種(ラインケアコース):56.5% Ⅲ種(セルフケアコース):71.9% 目安勉強時間:受験コースによって異なる |
メンタルヘルス・マネジメント検定は、職場内での役割ごとに必要なメンタルヘルスケアに関する知識や対処法を取得するための試験です。
総務の仕事には他の社員の管理も含まれており、人間関係の構築やメンタル面でのサポートに関する能力が求められるケースも多くあります。近年では心の不調による離職者および求職者が増えていることもあり、メンタルヘルス・マネジメントができる総務は活躍の場が広がることでしょう。
コースは、一般社員向けのⅠ種(マスターコース)、管理監督者(管理職)向けのⅡ種(ラインケアコース)、人事労務管理スタッフ、経営幹部向けのⅢ種(セルフケアコース)に分かれています。
【公式サイト】
メンタルヘルス・マネジメント 検定試験
マイナンバー実務検定
資格分類 | 民間資格 |
試験スケジュール | 毎年3月・6月・9月・12月ごろ |
受験料 | 1級:11,000円 2級:8,800円 3級:7,700円 ※学割制度あり |
受験資格 | 特になし |
難易度 (合格率・目安勉強時間・合格基準など) |
合格基準:1級・2級・3級すべて正答率70%以上で合格 ※合格率は非公開 |
マイナンバー実務検定は、社会基盤として導入されたマイナンバー制度を正しく理解し、特定個人情報の保護と適切な取り扱いに関する能力を高める目的で実施されています。
従業員のマイナンバーの管理や取り扱いを行うことが多い総務において、重要な知識やスキルを身につけられる資格です。また社内に資格取得者がいるだけで、社員の安心感も芽生えるでしょう。
検定はマイナンバー制度の基礎的な知識を問う3級と、実務にてマイナンバーを取り扱う方の受験を想定した1級・2級の3つに分かれています。
【公式サイト】
マイナンバー実務検定
キャリアコンサルタント
資格分類 | 国家資格 |
試験スケジュール | 毎年3月・7月・11月ごろ |
受験料 | 学科試験:8,900円 実技試験:29,900円 |
受験資格 | 厚生労働大臣が認定する講習の課程を修了した方など ※詳しくは 公式サイトを参照 |
難易度 (合格率・目安勉強時間・合格基準など) |
合格率(第24回) 学科試験:51.6% 実技試験:64.5% 同時受験:45.8% 目安勉強時間:200時間 |
従業員や就職者に向けて職業選択や職業能力の開発、キャリアアップなどに関するアドバイスやコンサルティングなどを行います。最新の知識や情報を取得する目的で5年ごとに更新する必要がありますが、その分、世間的信頼度も高い資格です。
総務は人事業務に携わり、従業員のキャリア形成、制度構築、環境整備などを行う機会も非常に多いものです。キャリアコンサルタントの資格が活かせるシーンは多岐にわたるでしょう。
試験は学科と実技(論述および面接)に分かれており、同時受験も個別での受験も可能です。受験資格にはいくつかの要件が定められていますが、いずれか1つを満たせば受験でき、各要件のハードルが高いわけでもないので、挑戦しやすい資格試験と言えます。
【公式サイト】
キャリアコンサルタント試験
外国人雇用管理士
資格分類 | 民間資格 |
試験スケジュール | 毎年9月ごろ |
受験料 | 9,900円 |
受験資格 | 特になし |
難易度 (合格率・目安勉強時間・合格基準など) |
合格率非公開 ビデオによる試験直前対策講座あり(有料) |
外国人を受け入れる企業の人事・総務担当者が、新在留資格制度を活用するための要点や必要な知識、ノウハウなどを習得するために創設された資格が「外国人雇用管理士」です。グローバル展開中、あるいは検討している企業の総務や外国人を雇用している企業の総務には特に向いている資格でしょう。
試験は択一(50問4肢択一)のマークシート方式です。合格率は公表されていませんが、有料の試験直前対策講座があるので、勉強方法には困りにくい試験でしょう。
【公式サイト】
一般社団法人 東京都外国人就労認定機構
日商簿記検定
資格分類 | 公的資格 |
試験スケジュール | 毎年2月・6月・11月ごろ |
受験料 | 2024年度(2024年4月)以降 1級 8,800円 2級 5,500円 3級 3,300円 |
受験資格 | 特になし |
難易度 (合格率・目安勉強時間・合格基準など) |
合格率(第165回) 1級:16.8% 2級:11.9% 3級:33.6% 目安勉強時間:受験級によって異なります |
財務や会計、帳簿などに関する知識とスキルを体系的に学べ、知名度、人気ともに非常に高い資格です。総務に必須な資格ではありませんが、お金の流れを正しく把握する能力は普段の業務においても非常に役に立つでしょう。
また、企業によっては経理業務の一部を総務が担当することもあります。日商簿記検定を持っていることで、転職の際に有利になることもあるでしょう。
日商簿記検定は原価計算初級、簿記初級、3級、2級、1級の5段階に分かれています。総務としてビジネスレベルの知識を身につけたい場合は、2級合格を目指してみてはいかがでしょうか。
【公式サイト】
商工会議所の検定試験
マイクロソフトオフィススペシャリスト(MOS)
資格分類 | 民間資格 |
試験スケジュール | 毎日実施(会場によって異なる) |
受験料 | 一般レベル:10,780円 上級レベル:12,980円 ※学割制度あり |
受験資格 | 特になし |
難易度 (合格率・目安勉強時間・合格基準など) |
合格率 一般レベル:約80% 上級レベル:約60% |
MOSはExcel・Word・PowerPointなどのMicrosoft Office製品の知識や操作スキルを客観的に評価・証明するための資格試験です。総務はデスクワークを行うことも多いため、Officeソフトが搭載されたPCを使いこなせる必要があります。資格を取ることで業務が効率化できるとともに、自身の評価アップにもつながります。
試験日は全国約1,500カ所の会場ごとに設定されており、ほとんど毎日どこかの会場で試験が実施されています。
【公式サイト】
マイクロソフト オフィス スペシャリスト(MOS)
人事総務検定
資格分類 | 民間資格 |
試験スケジュール | 毎年3月・10月ごろ |
受験料 | 1級:11,000円 2級:7,640円 3級:5,090円 |
受験資格 | 1級:2級合格者 2級:3級合格者 3級:特になし |
難易度 (合格率・目安勉強時間・合格基準など) |
100点中70点以上で合格 ※合格率は非公開 |
人事総務検定はその名の通り、人事部および総務部の業務遂行に必要な知識やスキルを総合的に学ぶための資格試験です。労働保険や給与計算、年金、労務管理などに関することが問われます。
難易度の高い1級から、基礎的な知識を求められる3級まで3段階に分かれています。総務経験を重ねた指導的な立場の方から、基礎レベルを学びたい未経験者まで、ステージに合ったレベルの受験が可能です。
【公式サイト】
LEC東京リーガルマインド 人事総務検定
いずれの資格も各領域での専門知識を付けることが出来るため、総務の転職やキャリアアップに有利と言えますが、どの資格を取るべきなのかはキャリアによって違います。どの資格を取るべきか悩んでいる場合は、一度キャリア相談をしてみてはいかがでしょうか。
総務のキャリアパス
総務には主に以下3つのキャリアパスがあります。
- ①社内において総務として経験を積む
- ②社内で他の管理部門と兼任する
- ③これまでの経験を活かして転職を検討する
総務だけでなく、バックオフィスの職種は企業規模によって業務範囲や立ち位置が変わることが多いです。
一般的な傾向として、大手企業は狭く、中小企業は広く業務を割り当てられることが多く、総務として専門性を磨いていくのか、人事総務など他部門との兼任として広く業務経験を積んでいくかによってもキャリアが変わってくるかと思います。
また、企業体制に不満を感じている管理部門の方は、環境を変えることで自分の理想のキャリアを実現しやすくなったり、キャリアアップを目指しやすくなったりすることもあります。
自身のキャリアの棚卸しをして、今後どういった道に進んでいきたいかを明確にしましょう。そうすることで、キャリアの選択肢や可能性を広げることができます。
総務に向いている人の特徴
総務の転職やキャリアアップを目指している場合、必要なのは資格だけでなく、総務への適性も重要です。
総務に向いている人には、以下のような特徴があります。
裏方で人の役に立つのが好き
総務は、縁の下の力持ちと呼ばれる裏方の仕事です。そのため、裏方で人の役に立つことが好きな人は、総務が向いています。人から頼まれごとをした時に気持ちよく取り組める人も向いていると言えるでしょう。
裏方として会社を支えたい人は、総務が合っています。細かいことによく気が付く力がある人も、総務がおすすめです。
物事を同時に進めていける
総務の仕事は多岐にわたっており、並行処理能力が必要です。そのため、物事を同時に進めていける人は、総務でも仕事をスムーズに進められる可能性が高いと言えます。一点集中型よりは、同時に複数の業務をこなしていける人が向いています。
協調性がある
総務は、社内外と連携し、調整しながら業務を行う力が必要です。協調性があると総務が向いていると言えます。1人で黙々と作業をしたい人よりも、複数の人と協力して業務をこなしたい人におすすめです。
社内で顔が広い
総務においてコミュニケーション能力は必要です。仕事柄、経営陣含め会社のすべての部署と関わるので、顔が広いと仕事がやりやすいと言えます。人付き合いが良く、フットワークが軽い人は総務が適している可能性が高いです。
会社のことに詳しい
会社のことに詳しい人も、総務が向いています。総務は多くの部署と関わるので、会社の細かいところまで情報を持っていると、仕事がやりやすいです。
総務の転職はエージェント活用がおすすめ!
総務職への転職を検討している場合、転職エージェントがおすすめです。
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内定を獲得し選択肢を持たせるためにも、的を絞って前もってポイントを把握しておくことが転職成功の最短ルートと言えるでしょう。
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まとめ
総務において必須な資格はありませんが、取得することで知識の幅が広がり、業務効率やスキルが向上する資格はあります。まずは自分の得意分野や担当分野、今後担当したい分野などを中心に資格取得にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
総務の仕事の目的は「従業員が気持ちよく働ける環境をつくり出すこと」です。「この資格を取ったら、どんなふうにサポートできるかな?」とワクワクできる方は総務に向いていることでしょう。
また、総務部は多くの企業に存在するため、転職によってキャリアの可能性が広がることも十分にありえます。転職して総務としてのキャリアアップを目指している方は、候補先の総務の仕事内容や活かせるスキルなどを事前に把握しておきましょう。


この記事を監修したキャリアアドバイザー

大学卒業後、現職(MS-Japan)へ入社。
入社後は、RA(リクルーティングアドバイザー)として100社以上を担当し、業界問わずスタッフクラス~管理職クラスまで幅広い中途採用支援に従事。
異動の機会をいただき、2021年4月からCA(キャリアアドバイザー)として、管理部門及び士業領域幅広い方の転職支援に従事しています。
経理・財務 ・ 人事・総務 ・ 法務 ・ 経営企画・内部監査 ・ 役員・その他 ・ 社会保険労務士事務所 ・ 公認会計士 ・ 弁護士 を専門領域として、これまで数多くのご支援実績がございます。管理部門・士業に特化したMS-Japanだから分かる業界・転職情報を日々更新中です!本記事を通して転職をお考えの方は是非一度ご相談下さい!
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