3分でわかる最新人事コラム

第110回2016/05/23

「3分でわかるストレスチェック」

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皆様は、「ストレスチェック」という言葉を聞いたことがありますか?
ストレス社会と言われるような時代背景もあり、常日頃から「ストレス」という言葉をよく耳にするかと思います。「ストレス」は、病気の温床となったり、就業上でのトラブルの原因となったりしています。
そこで、2015年12月より一定要件以上の事業者に対し「ストレスチェック」が義務化されました。この制度により、自己の精神状態を把握することや、メンタル不調を未然に防ぐことが期待されています。既に施行されている企業もあるかとは思いますが、まだ詳細を知らない方も多いと思います。そこで、今回のコラムでは「ストレスチェック」についての概要をお伝えしたいと思います。

「ストレスチェック」の概要

「ストレスチェック」とは、ストレスに関する質問票に労働者が記入し、それを集計・分析することで、自分のストレスがどのような状態にあるのかを調べる検査です。「労働安全衛生法」の改正により、2015年12月から義務化されました。

対象となる事業場
常時50人以上の労働者を雇用する事業場が実施対象となります。頻度は毎年1回、全ての労働者が対象となります。この場合の「労働者」には、パート労働者や派遣労働者も含まれています。また、それ以外の事業場(常時50人未満の労働者を使用する事業場)については、ストレスチェックは当分の間、努力義務とされていますが、労働者のメンタルヘルス不調をできる限り未然に防ぐのに実施することが望ましいとされています。

義務化の背景
昨今、職場での人間関係や日々の業務を通して、悩みやストレスを抱えながら働く労働者が増加しており、ストレスは私たちの生活から切り離せないものとなっております。
また、業務による心理的負荷を理由に、精神障害を発症したとして労災認定を求める件数及び実際に労災として認定される件数は年々増加しています。平成27年6月25日に発表された厚生労働省の資料によれば、平成26年度の労災請求件数は1,456件、同年度の支給決定件数は497件と、過去最多の件数となったとのことです。
このような状況を踏まえ、各事業場で労働者の心理的負担を把握し、働きやすい環境づくりや職場改善を行うことで、労働者のメンタルヘルス不調を未然に防ぐことを目的にストレスチェックが制定されました。

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実施フロー
では、具体的に導入~実施に至るまでになにをすればいいのでしょうか。
初回の実施は、2015年12月1日から2016年11月30日までの間となっているため、まだ準備をされていない企業は、早々に準備を進める必要があります。

まず、社内でどのような方針で行うか話し合います。情報の取り扱い、ストレスチェックの結果の保存方法の検討、結果の運用目的および利用方法等を明確にしていきます。また、情報の取り扱いに関しての事項やその対応方法、結果の不利益な取り扱い防止への対策等、実施体制を確立していきます。
次に、労働者への説明を行います。方針が固まったら、労働者にストレスチェックの目的、実施体制、実施方法等の情報を提供し、実施へと移行して頂きます。実際に決定したことは、社内規定で明文化しておくことも大事です。

ストレスチェックは、第三者や人事権を持つ職員が、記入・入力済のアンケートの内容を確認することは禁止されていますので、ご注意が必要です。

実施後
実施者はストレスチェック結果を労働者に直接通知し、必要に応じて相談窓口の情報を提供し、労働者がセルフケアを行えるように援助します。回収したアンケートをもとに、実施者がストレスの程度を評価し、高ストレスで医師の面接指導が必要かどうかの判断をします。また、事業主への結果の通知ですが、労働者の同意無しに通知することは禁止されております。
次に、集団分析を行います。こちらは、努力義務となっており強制力はございませんが、より良い環境をつくる為に、実施されることをお勧めします。集団分析とは、実施者が集団(部署やグループ等)の分析評価を事業者に通知し、分析結果をもとに、事業者が職場環境の改善、労働者の健康リスクの早期発見等へ繋げていく取り組みを指します。

高ストレス者へのフォロー
実施者は、高ストレス者に面接指導の申し出の勧奨を行い、面接指導を実施していきます。
産業医を通じての面接指導の申し出も可能です。高ストレス者の状態に応じて、必要な専門機関や相談機関を紹介します。事業者は、医師からの意見を聴取し、必要な措置やストレス軽減策を検討していきます。以後は、経過観察をしっかりと行い、再発・悪化の防止に努めていかなければなりません。

導入後の効果への期待

ストレスチェックの制度は、多少なりともご理解頂けましたでしょうか。
まだ導入後間もない制度のため、結果を分析し改善していくのは今後に期待する部分ではありますが、一般的に、どのような効果が見込まれるのでしょうか。

現在の社会全体では、少子高齢化が進んでいます。若い働き手が減ってきており、労働力不足が危惧されています。また、終身雇用制度という概念が希薄になってきたことに伴い、短期での転職をする方も増えてきています。その原因の一つとも言えるのが、今回のテーマでもある「ストレス」ではないでしょうか。「ストレス」によって、就業困難になる方も少なくありません。だからこそ、ストレスチェックには期待がかかります。「ストレス」を抱え続けながら就業する方を減らし、必要であれば配置転換等を積極的に行い、適材適所を慣行することにより、会社としての生産性が向上することに期待したいところです。今までは、気付いていても気付かぬ振りや目をそらしてきた部分もありますが、制度化したことで、徹底し環境改善に積極的になる企業が増えることを望むばかりです。

まとめ

国が指導し導入に至った今回の制度ですが、効果をしっかりと可視化する為には、企業努力が欠かせないと思います。ただ義務づけるだけでは、何の解決にもなりません。ちょうど、小学生や中学生のイジメ問題と似ているように思います。イジメを顕在化させようと、教師一同・保護者一同手を尽くしていますが、結局当事者が変わらないことには解決には繋がらないと思います。
「ストレスチェック」も同様で、全員が参加意識をもち、同制度の意義を理解し、少しでも自身の精神状態の把握や改善、引いては企業体質改善に繋げていくという姿勢が重要になってくるのではないでしょうか。

(文/リクルーティングアドバイザー 岩本直也)

【参考】
※厚生労働省労働基準局安全衛生部 労働安全衛生法に基づくストレスチェック制度実施マニュアル
http://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/anzeneisei12/pdf/150507-1.pdf
※厚生労働省 ストレスチェック制度導入マニュアル
http://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/anzeneisei12/pdf/150709-1.pdf
※厚生労働省 平成26年度「過労死等の労災補償状況」を公表
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000089447.html
※株式会社 iCARE 【図でわかりやすく説明】ストレスチェックの運用
https://www.icare.jpn.com/stresscheck-operation/

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