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第21回2006/08/11
昨今、終身雇用制度や年功序列などの従来型の人事システム崩壊により、労働者側の就業意識や就業形態が多様化する中、人材の流動化も加速しております。その背景と共に働く側の意識は企業依存型から企業独立型へと変化しています。人材の採用に時間・費用・労力がかかる反面、企業から人材が様々な理由で去ってしまう事も当然起こってきます。
退職・解雇は企業にとっても従業員にとってもデリケートな事柄であり、従業員が辞めるという「行為」は同じでも退職と解雇では意味に大きな差がある為、取り扱いを一歩間違えるだけで大きな問題に発展する恐れもあり、実際解雇に関するトラブルも増えている現状があります。そこで企業側としては退職・解雇について正しく理解し対応する事が必要となります。
今回は、この【退職・解雇】について解説いたします。
1.「退職・解雇」の定義
【退職】退職とは「雇用した労働者がその契約の中で職を退く」という位置づけになります。退職はあくまで労働者の意思によるものか、労働継続が困難な状況下におかれた場合にのみ職を退く行為であり、「労働者の意思に基づく任意退職」と「労働者の意思とは関係なく生じる当然退職」の2つがあげられます。
まず「労働者の意思に基づく任意退職」の場合は、民法上では労働者はいつでも退職の申し出ができ、原則として申し出後2週間が経過すれば、退職の効果が生じるとされています。
つまり労働者が2週間前に「辞める」という意思表示をした場合、使用者が強く引き止めようとしても法律上ではそれが許されないのです。また、「労働者の意思とは関係のない当然退職」には、定年・雇用期間満了・従業員自身の死亡等の理由が該当します。
【解雇】解雇は退職とは異なり、「使用者つまり企業側の一方的意思表示による労働契約の解約」のことを指します。つまりは労働者側には労働契約を終了するという意思がなく、さらに労働契約を自動的に終了させるといった原因も該当しないにも関わらず、事業主の一方的な意思表示によって労働契約が解約されることを指します。
これには労働者の意思が反映されることは極めて低く、同時に解雇には退職よりも労働者側に重大なリスクを与える危険性が潜んでいるとされる為、使用者が濫用をするのを妨げるよう、解雇に対する条件は規制により制限されています。
このように退職・解雇では意味が異なり、使用者と労働者が置かれる状況も大きく変わってきます。そこで注意しなければならないのが、退職と解雇における規制も異なるということです
2.規制の違い
【退職】労働者の退職までの期間については雇用契約上での期間の定めがある場合と無い場合でケースが変わってきますが、基本的に正社員雇用で期間の定めが無い場合、民法上では申し出て2週間を経過すると退職が成立することになっています。
ただし、労働者を受け入れる際に就業規則によっても定めることができる為、もし2週間では業務上に不都合が生じると予想される場合、予め就業規則で1ヶ月前に申し出る等の規則を設けておくのも対処の方法です。
ただしあくまで就業規則よりも法令、労働協定が優先され不当な拘束に当たる長期的な期日は設けられません。また期間を定めた契約の場合(例:契約1年等)であっても労働者、使用者双方が一方的に雇用契約を解除することは禁じられています。
【解雇】解雇の場合には前提として、社会的に相当とみなされる理由が必要となり解雇理由が相当と認められない場合には無効となります。更に、労働者はその解雇にあたっての解雇理由証明書の発行も求めることができる権利があります。
それを踏まえたうえで労働者を解雇する場合、 (1)30日前に解雇の予告を行う (2)平均賃金30日分の解雇予告手当を支払うことが労働基準法で定められています。また更に解雇にあたっては労働者が業務上の疾病・負傷において療養休業の期間とその後の30日間、または産前産後の休業期間とその後の30日間にあたる場合、解雇ができないことになっています。
以上のように退職・解雇では法律上で設けられている規制にも違いがあるのです。
先にも述べましたように、退職・解雇は非常にデリケートな事象であるにも関わらず軽視したばかりに大きな問題へと発展する恐れもあるのです。
3.解雇にまつわる注意点
労働基準法第18条の2に「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。」と規定されました。この考えは、最高裁判所の判決で既に明らかにされていましたが、一般に広く周知されておらず、解雇に関する紛争は増加しています。そこで、解雇のルール及び手続きを予め明確にし、トラブルを防止するため新たに追加されました。
以下は解雇にまつわる注意点として念頭におく必要があるでしょう。
1.解雇トラブルを回避するためには何よりも労働者と話し合う事が大切 です。
2.労働基/準法等の法令にのっとった誠実な対応をすること、法令上の 解雇制限等に違反していないかを確認することが重要です。
3.就業規則に退職に関する事項として、解雇の事由を記載することが、 法律上明確にされました。ですから、労使当事者間において、どのよ うな場合に解雇になるのかということについて事前に明らかにし紛争 を未然に防止するため就業規則において「退職に関する事項」欄に解 雇事由を明記する必要があります。
4.企業としての姿勢
退職・解雇は必ずしも後ろ向きな話ばかりではありませんが、デリケートな問題である為、軽視してはならない事項です。退職者・解雇者が多い企業=離職率が高いということは、企業のイメージダウンに繋がりかねません。ブランド・信用・イメージは一夜で築けるものではないのと同様に人材育成や企業姿勢も同じではないでしょうか。
雇用・解雇についての認識を新たにすると共に、社内のニーズや外部環境の急激な変化への対応をするためにも柔軟な組織作りと労働者一人ひとりへの適切な対応が求められています。また、未然に不本意な退職者・解雇者を増やさない為には、そもそもの採用ミスマッチをおこさないよう採用から慎重に行うことも重要です。
退職者・解雇者を出さないことは不可能であり、どんなに事前対策をとっても人材の流出は完璧に防げるものではありません。だからこそ、その時に如何なる対応もできるよう体制を整えることが企業としては望ましい姿ではないでしょうか。就業規則の解雇事由を整備するなど含め、退職・解雇に対しての対応ができているかを再度検討してみては如何でしょうか。
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