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第26回2007/01/18
昨今、景気回復の兆候が見られ、企業で積極的な採用活動が行われています。一般的には、労働者の増加に伴い会社の成長促進が期待できますが、多くの人間が集まって一緒に働く職場に統一したルールがなければ、各人が勝手な判断・行動をすることにつながり、かえって経営効率が悪くなる場合も考えられます。時には、職場の秩序を維持するために、制裁というペナルティを科す必要もありますが、そのような際、根拠になるルールが明文化されていないと労使間でのトラブルに繋がりかねません。
従来の日本型人事システム崩壊により、労働者側の就業意識や就業形態が多様化する中、経営者・労働者ともに統一のルールに則った労務管理を行っていくことが、経営の効率を高めると言っても過言ではないでしょう。そのルールを定める文書が「就業規則」です。
今回の人事キーワードでは、この「就業規則」について焦点をあて解説します。
1.就業規則とは
就業規則とは、労働者に支払う賃金や労働時間などの労働条件及び職場秩序を維持するために労働者が職場内で守るべきルールなどについて、使用者(企業側)が明文化した職場の決まりごとをいいます。
2.就業規則の作成義務
労働基準法によって、常時10人以上の労働者を使用する使用者は就業規則を作成し、労働基準監督署に届出なければなりません。
「常時10人以上の労働者を使用する」とは、労働者が退職し一時的に10人未満になるような場合であっても、すぐに新たな労働者を補充するような場合は、常時10人以上の労働者を使用しているものとして扱います。また、正社員の人数だけをカウントするのではなく、パートやアルバイト、嘱託社員などであっても常時使用している場合は人数に含めます。なお、この就業規則の作成義務に違反した場合、30万円以下の罰金が課せられます。
常時10人未満の労働者を使用している小さな会社では、同法上、就業規則の作成義務はありません。しかし、労働条件や労働者が守るべきルールについて統一して定められた就業規則を作成することによって、労使間でのトラブルを予防することができ、効率的かつ合理的な労務管理が実現するというメリットがあります。よって労働基準法が適用されない小さな会社でも、就業規則を作成し、それに基づいた労務管理を行うことが望ましいといえます。
3.就業規則の記載事項
■必ず記載しなければならない事項・始業及び終業の時刻、休憩時間、休日、休暇に関する事項。 労働者を2組以上に分けて交代就業させる場合における就業時転換に関する事項・賃金(臨時の賃金等を除く)の決定、計算及び支払の方法、賃金の締切り及び支払の時期、 昇給に関する事項・退職に関する事項(解雇事由を含む)
■各会社に定めがあれば記載する事項・退職手当の適用される労働者の範囲。退職手当の決定、計算及び支払いの方法。 退職手当の支払時期に関する事項・臨時の賃金等(退職手当を除く)及び最低賃金に関する事項・労働者の食費、作業用品その他の負担に関する事項・安全及び衛生に関する事項・職業訓練に関する事項・災害補償及び業務外の傷病扶助に関する事項・表彰及び制裁の種類及び程度に関する事項・その他当該事業場の全労働者に適用される定めに関する事項
■任意の記載事項法令上は記載することは義務づけされていませんが、一般的に就業規則で規定されていることが多い、・就業規則の目的・経営に対する基本的理念・服務規定などが任意的記載事項に該当します。
4.就業規則の効力が発生するとき
就業規則の効力は、労働者に周知したときに発生します。よって、実際に就業規則を作成し、労働者の意見を聴いて労働基準監督署に届出ただけでは、効力は発生しません。
就業規則は作成後に全社員に周知することが必要ですので、以下の方法で必ず周知しましょう。
・常時各作業場の見やすい場所へ就業規則を掲示するか備え付ける。・就業規則の写しを労働者に交付する。
労働者への周知がない場合は、就業規則の効力も発生せず、拘束力も生じないため注意が必要です。
5.就業規則の注意事項
■法制度が変更する都度、改定しているか最近は労働基準法が頻繁に改正されております。また、男女雇用機会均等法、育児介護休業法、高年齢者雇用安定法の改正、個人情報保護法も施行され、このような法改正に就業規則が対応していないと、不測の事態が起こり得ます。
■市販の雛型のものを使っていないか。会社個々に社風、理念、個性があります。会社それぞれの事情を反映した独自の就業規則を作成することにより、労働者が仕事に打ち込み、モチベーションを高く維持し、生産性を向上させることができます。また、一般的な会社に通用する市販の雛型をそのまま活用したのでは、それぞれの会社に則さない内容が記載されている場合があり、リスク管理上多くの問題を抱えています。
■制定・改定した就業規則を労働者に周知しているか。新たに作成、変更した就業規則を周知徹底することにより、労働者の処遇を公平、公正に行うことができます。さらに、このことは労使の信頼関係強化につながり、会社の業績向上にもつなげることになります。
■就業規則が曖昧な内容ではないか。また重要事項が欠落していないか。少なくとも、それに関連したトラブルが発生し、会社にとって不利な結果をもたらすこともあります。そして、一度トラブルが発生すると、後ろ向きで非生産的な対応のために時間や労力を費やすことになり会社が損失する結果となります。従って、会社を守る、会社の損失を防ぐための就業規則を作成する必要があります。
■時代の変化に対応しているか。労働者の働く意識が大きく変化しており、労働者としての権利意識が従来よりも高くなってきていますので、権利意識の変化に適応するよう就業規則の内容を構成し、見直さなければならなくなってきました。例えば、社員を解雇する場合、解雇事由を明文化しておかないと解雇できないケースがありますので、この場合は起こりうる事態をできるだけ想定して解雇事由を規定しておく必要があります。
■形式よりも使い勝手のよいものになっているか。就業規則は、運用がうまく行われてこそ意義があります。企業運営を効率的に行うという観点で見直してみてはいかがでしょうか。
6.総括
「就業規則」が会社に必要なのは、法律で作成するよう義務付けられているからではありません。労働者が安心して働ける環境作りや会社の業績を上げる効果もあるからです。
採用時に、労働者に就業規則を見せておけば、就業後の労働条件面でのトラブルを未然に防ぐこともできます。逆に、しっかりと定めておかないと、労働者は労働条件に不満を感じて会社を辞めてしまう可能性もあります。また就業規則の本に載っている雛形等をそのまま活用し、そのまま何年も放置していたのでは大きなリスクを抱えているということを再認識することが大切です。
労働者にモチベーション高く、安心して長く働いてもらうためにも、社内のルールを明確にし、労働者に自信をもって見せられる就業規則の整備が必要不可欠であると思われます。
就業規則が適正なものであるかどうかをもう一度見直していただき、労働者が安心して働ける明るい職場づくりを目指してみてはいかがでしょうか。
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