2018年05月08日

「終活」は税理士にも顧客獲得のチャンス!同居していない親の家の相続依頼を受けるには?

管理部門・士業の転職

「終活」という言葉はご存じでしょうか?終活とは、「人生の終わりについて考える活動」から生まれた造語です。関連書籍も数多く出版され、終活の手順をマニュアル化した「エンディングノート」なるものも販売されています。
高度経済成長期に社会人となり、がむしゃらに働いてきた団塊の世代(1947~49年生まれの第一次ベビーブーム世代)が定年退職を迎え、これまでの生き方を振り返り、残りの人生を豊かに過ごしたいと考えはじめたことが背景にあるようです。
終活の範囲は、死後の手続きに必要な情報の整理や、医療・介護の方針、葬儀とお墓に関する希望(場合によっては生前予約も)、財産の所在や相続に関する手続きなど多岐にわたり、税理士が活躍できる機会が多くあります。

さらに団塊の世代より下の世代には、男女とも「おひとりさま」と呼ばれる単身者が増えています。こうした非婚化、少子化によって法定相続人となる伴侶や血縁者は必然的に減少し、相続人不在という形で、相続問題が複雑化していく可能性があります。そして、自分の意思で人生をコントロールすることに慣れたおひとりさまにとっては、おそらく終活もごく当然の備えとして考えるでしょう。すなわち、今後ますます終活の需要は増えていくものと考えられ、税理士へ相続に関する相談が舞い込むことも増えていくことが予想できます。

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平成29年度の税制改正で変わった「非居住者相続」の注意点

被相続人等が海外に居住している場合、相続税や贈与税の課税範囲が国内居住の場合と異なることはもちろんご存じかと思います。平成29年度の税制改正では、相続税・贈与税の納税義務範囲が見直されました。終活について相談を受ける際、税理士としてこういった点にも留意する必要が出て来るかもしれません。ここではその変更点について確認しておきましょう。

(1)海外居住期間の拡大
財産を譲る側(被相続人、贈与者)と財産を取得する側(相続人、受贈者等)の双方の海外居住期間(日本国内に住所がない期間)が5年を超える場合、相続税・贈与税の課税対象は日本国内にある財産のみでした。それが今回の税制改正で、5年超から10年超に拡大されました。
つまり、5年超の非居住であれば、国外財産は相続税・贈与税の課税対象とならなかったのが、非居住の期間が10年を超えなければ課税対象となるということですね。

(2)一時的な海外居住による租税回避への対応
財産を譲る側(被相続人、贈与者)が相続(贈与)開始時に国内に住所がなく、財産を取得する側(相続人、受贈者等)が日本国籍を持たない、国内に住所がない場合、国外財産は相続税・贈与税の課税対象にはなりませんでした。しかし今回の改正では、財産を譲る側(被相続人、贈与者)が過去10年以内に国内に住所があった場合は、国外財産にも相続税・贈与税が課税されるようになりました。この改正の背景には、改正前の要件が国外財産の贈与税の課税を回避する手段として利用されていたことがあります。

たとえば、改正前は相続人である子どもが日本国籍なし、国内の住所なしの要件を満たしている際、被相続人である親が一時的に住所を海外に移すことで、国外財産は贈与税の課税対象外となっていました。それが今回の改正によって、親が一時的に海外移住するだけでは贈与税の課税対象からは外されなくなります。

これらの改正は、平成29年4月1日以降の相続税または贈与税が適用対象となります。

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生前売却と相続後売却の違いは?

相続に伴う不動産の売却は大きく分けて「生前売却」と「相続後売却」があります。

生前売却は被相続人の生前に不動産を売却して、相続に備える方法ですが、被相続人がその不動産に所有者として居住している場合は、3,000万円の特別控除の適用を受けることができます。売却した金額から取得費や譲渡費用などの経費を差し引いた金額から、最大で3,000万円が控除されますので、物件の価格にもよりますが、譲渡所得にかかる税金が0円になるケースもあります。これは実際に居住していないと適用されない特別控除であり、相続後に売却する場合には、相続人自身が、所有者としてその不動産を生活の拠点として利用していなければなりません。注意しなければいけないのは、被相続人の生前からその不動産に居住していても「所有者として」でなければ適用が受けられない点です。

相続後売却でも、軽減措置が用意されています。不動産に係る相続税を納めた後で不動産を売却した場合に「相続税の取得費加算の特例」という軽減制度があります。この制度の適用には、相続が発生した日(被相続人が亡くなった日)から3つの条件があります。
1. 相続や遺贈によって財産を取得した者(相続人)である
2. 相続税が課税されている
3. 相続が発生した日から3年10ヵ月までに譲渡している

この特例は、相続人一人ひとりに適用されますので、高額な不動産を複数の相続人で相続する場合などに適しています。

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相続の条件と家族のニーズを満たせる終活アドバイスができる税理士になろう

不動産の相続は、単純に税務に関する問題だけを考えても、相続人の状況や相続する物件内容によって条件が異なり、ケースごとにベストな対応も違ってきます。しかも、不動産相続の選択肢は、相続税の問題だけでなく、相続人の生活や価値観、家族の思い出などにも大きく左右されます。つまり、税理士にとっての税務的に有利な方法とクライアントの終活における満足度が必ずしも一致するとは限らないということです。
もちろん、税理士の職務としては、税務に関するアドバイスが最優先になりますが、相続税や手続きに関する方法論を提示するのと並行して、オーナーと相続人双方の要望や意思と折り合いをつけられてこそ税理士ならではの“良いサービス”といえるのではないでしょうか。
税理士は税務上のアドバイスをするだけでなく、関係者すべてが満足できる終活の備えを模索し、それを実現するためのアドバイスや提案ができれば、ほかにはないサービスとして差別化していけるかもしれません。そのためには税務の話だけでなく、不動産活用など、より多くの選択肢が必要になるでしょう。そのためには、税理士だけで対処することにこだわらないことも有効と思われます。

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