3分でわかる最新人事コラム

第120回2017/11/24

働き方改革とは?~第二回:「長時間労働の是正」~

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前回に続き、最近、紙面やテレビニュースで良く取り上げられる「働き方改革」について、人事・総務の皆様向けに重要なポイントを2回にわたってご紹介します。
第一回の「非正規雇用の処遇改善」に続き、第二回は「長時間労働の是正」です。
※第一回「非正規雇用の処遇改善」はこちら

長時間労働の是正

昨年、大手広告代理店で新入社員の過労自殺が大きなニュースとなりました。このニュースから過度な残業時間に世の中の注目が集まるようになったことも追い風となり、特に労働時間の規制・管理に対して企業に厳しい目が向けられることになりました。
長時間労働を抑制するための労働基準法改正案は既に国会に提出されているものの、「残業代0法案」等への批判もあり、依然として審議中です。ただ、労働基準法改正案が成立すれば、早くも来年度から施行準備に入る予定ですので、企業は準備が急がれます。
長時間労働に関する働き方改革の方向性としては下記の通りです。

現行の残業規制

・36協定により、原則月45時間以内かつ年時間以内

・但し、罰則などの強制力はない

・繁忙期等の場合、特別条項を設け、上限なく残業が可能(年6ヶ月まで)

今後

・36協定の規定を法律に格上げ

・罰則による強制力をもたせる

・繁忙期など関係なく残業時間の上限を定める


※参考:上記図は「首相官邸ホームページ-働き方改革実行計画」を元に株式会社MS-Japanが作成

特に長時間労働が問題視されている業界は「自動車運送事業(タクシー会社など)」、「トラック運送事業」、「建設業」、「医師」、「IT業」です。

「残業時間を減らすと繁忙期の業務対応が厳しくなりそうだ」、「重要な取引先からの依頼に応えられなくなるかもしれない」等、労働時間を減らすということが事業にマイナスの影響を及ぼす可能性が考えられます。その為、法改正までに生産性を上げ、社員を増員し仕事を分散させるといったことが対処法になるかと思いますが、一体どこから手を着ければ良いのでしょうか。
これを考える為に、「残業時間の削減」「生産性向上」の二つのポイントに焦点をあてて見てきたいと思います。

働き方改革への一つのアプローチ方法~1. 残業時間の削減~

いくら制度を変えても、社員の意識や企業の姿勢が変わらないことには制度も運用されないままになってしまいます。残業時間を減らすためには、社員の意識改革と制度改革の両輪で進めていく必要がありそうです。
社員の意識改革としては、上司から部下への呼びかけ、取締役会や経営会議で36協定の徹底について討議し、それを全社に通達すること等が挙げられます。まずは「残業を減らすべき」という認識を社内に広めることが重要です。
具体的な制度改革については、下記のような取り組みが挙げられます。

■大同火災海上保険「早帰りデー」(毎週18時退社)、「全社一斉消灯」
導入の効果として、平成21年度と平成25年度の所定外労働時間が1人当たり年15時間の減少が実現できたそうです。

■AGS株式会社「インターバル出勤」(退勤から翌日出勤するまでの間に、11時間以上の休憩時間を確保する)
具体的な効果は今後の運用状況を見ながら測定していくようですが、制度の導入後、同社の社員からは圧倒的に賛成の声があがっているようです。
※参考:厚生労働省-勤務間インターバル 事例6 AGS株式会社

各企業の取り組み・成果を紹介しているサイトなども出始めているので、調べてみて頂くことをお勧めします。

上記でご紹介した、インターバル出勤等は働き方に大幅な変化をもたらす可能性があります。そのような制度に関しては、まずは数か月の試行期間を設定・運用し、具体的な就業規則改定をした後に、本格運用に至るというのが望ましいでしょう。

働き方改革への一つのアプローチ方法~2. テレワークによる生産性向上~

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労働時間が減ると事業の停滞につながってしまうのでは、と不安をお持ちの方にお勧めしたい生産性向上のための施策として、「テレワーク」をご紹介します。
テレワークとは、「離れたところ」を指すteleと「働く」を指すworkを掛け合わせ、特定の「勤務地」、「勤務時間」にとらわれない柔軟な働き方を指す、造語です。

テレワークのメリット・デメリット

メリット
自宅にいながら業務を行うことも可能にするテレワークは、産休・育休後の離職や介護離職を減らす手立てとなるかもしれません。また、柔軟な働き方を認めることで、被雇用者側の要望に応えることができ、優秀な人材を確保できる可能性が高まると言えます。

テレワークのデメリット・課題
同じ時間に同じ空間にいない分、上司は部下の仕事の管理が難しく、また労務管理も難しくなることが考えられます。離れていても社内コミュニケーションが簡単にとれるシステムの導入といった環境作りが必要になりそうですが、それよりも企業と労働者との信頼関係が重要になります。ある程度自走できる社員向けの制度として、指導が必要な若手は除外するなど、テレワークを導入する際は、まずはある程度の条件を満たす社員のみに適用することで、円滑に運用できるのではないかと思います。

生産性向上・成果主義に向けてのテレワーク

ここまでテレワークの概要を説明しましたが、テレワークは何故働き方改革において有効なのでしょうか?それは、テレワークを導入することで、「生産性向上・成果主義に沿った人事制度」の構築が容易になることが期待できるからです。
テレワークの場合、上司と顔をあわせて仕事をする機会も少なくなるため、人事評価の際には、業務態度等よりも「成果・実績」の評価に重きが置かれるようになります。そうなると、必然的に給与制度も成果を重視するものとなるため、成果に見合った給与制度の構築を行うことができます。
結果的に、テレワーク制度を使った場合は成果主義に則って社員を評価する比重が高くなります。そうなれば、企業として社員それぞれが集中しやすい環境を提供することができ、成果や実績の評価が重視されるようになる為、業務の生産性を上げる動きが高まることが期待できます。


士業におけるテレワーク

事務所で働く会計士や税理士、弁護士をはじめとした士業の方々には、テレワークという働き方はマッチしやすい職業ではないでしょうか。法律事務所や監査法人など、労働時間が長くなりがちな業界なので、柔軟な働き方ができるということは働き手にとっては大きな魅力です。
現に、当社に相談に来る士業の方の中には、大手事務所で勤務経験のあるママさん税理士・会計士なども多くいらっしゃいます。彼女らが求めている求人とは、主に「時短勤務可能」、「残業なし」、「テレワーク可能」な求人です。しかしながら、現状ではテレワークを許容する企業・事務所はまだまだ多くはありません。
このような状況だからこそ、もしテレワークが可能であればそれが自社のアピールポイントとなり、優秀な人材からの応募が増えることが期待できるかと思います。

まとめ

「働き方改革」は労働環境の向上、女性やシニアをはじめとした多様な人材の社会参画が更に促進されるなど、働き手にとってはより良い環境が実現されるように感じます。その反面、企業側にとっては、就業環境の整備、労働時間の制限など、場合によっては大きな負担になるかもしれません。しかし、十分な準備期間を設け、初期投資を行い、労働環境を向上させることができるならば、離職者を減らし、有能な人材が採用できる可能性を広げられるのではないでしょうか。

また、働き方改革は政府が改革の目玉としている政策ということもあり、助成金・補助金などの制度も予定されています。その為、今は環境整備を行う絶好のタイミングであるとも言えます。環境整備に向けて組織の中で人事・労務制度の重要性が高まることが予想されます。企業によっては大きな変革が必要となり、人事業務のボリュームが今後増加していくであろうことを考えると、人事総務の体制強化や、人事のポジションがまだ無い企業は、今のうちに制度の創設・人材の採用を始めるなどして、今後の働き方改革に乗り遅れないように備えておくことをお勧め致します。

(文/リクルーティングアドバイザー 浅沼 恵美)

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