3分でわかる最新人事コラム

第42回2008/07/08

「社員が会社を辞める理由」~環境に不満がある~

昔、民政の人と言われた武田信玄が「人は城 人は石垣 人は堀・・・」
と言ったとされていますが、まさに会社にとって社員は血や肉や骨と同じです。
会社から社員が消えていけば、当然その機能は失われていきます。
とりわけ規模の小さな中小企業や株式公開を目指すベンチャー企業では、
社員一人一人が担う役割が大きいので、
一人欠けただけで会社全体に影響を及ぼすケースもあります。
そのため、経営者や管理者・監督者は、社員の考えを理解しつつ経営に活かすことが重要です。
そこで今回より、「社員が会社を辞める理由」と題し、
社員が転職を考える動機、そして無為な退職を防ぐ策について三回に分けて解説していきます。


社員の年齢や性別、志向によってもさまざまではありますが、
現代の主な「退職理由」を大きく分類すると以下の三つになります。
  1.環境に不満がある
  2.キャリアアップ
  3.経営者(もしくは上司)との意見相違


現在在職しているということは、これらに該当していない、
もしくはこれらのいずれかに当てはまるものの、
それを凌駕するだけの別の魅力があるということだと言えます。


今回は上記三項目の中から
「環境に不満がある」という項目をクローズアップして解説していきます。


「環境」とは

仕事をする上での「環境」とは何を指すでしょうか。
物理的側面と精神的側面がありますので下記に例を挙げてみます。


《物理的側面》
 ・オフィスの立地やオフィス内の空気環境・温熱条件・休憩室等の施設の有無、
   トイレ等職場生活において必要な施設の状況、コミュニケーションを取りやすいレイアウト等。
 ・時間外労働のボリューム、
   年間休日の日数(プライベートとのバランス)や給与等の待遇面 等


《精神的側面》
 ・社員同士のコミュニケーション、上司部下・同僚との人間関係
 ・やりたい仕事をさせてもらえるか等


「給料が安い」「やりたい仕事ができない」「就業条件が劣悪」等、
人によって何に重きをおいて仕事をしていくかは様々ですので、
それに伴って退職を考える理由も様々です。
そしてこのような「環境」を理由にした退職動機は、
特に社会経験の浅い社員に多く見られる傾向があります。
これは、彼等が表層的な問題のみにフォーカスしがちであることにも起因しており、
経営者・監督者が、納得感のある説明を行う必要性を示しています。


満足できる環境とは

満足できる環境=社員が気持ちよく働ける職場環境です。
オフィス環境だけが整っている、
または給与などの待遇面だけが整備されているというのでは不十分です。
経営者や管理者・監督者が社員に経営方針・経営計画を適切に伝え、
個々の役割を明確にしてやる気を引き出すこと、
仕事の悩みを上司に相談できる環境をつくることが必要です。
社員のやる気を育てることが出来る職場環境とは、
「設定された目標達成に社員自身が参画しているという自覚を得られ、
成長を実感でき、さらに問題がおきた際には上司に相談できる環境」と言えるでしょう。


若者はなぜ会社を辞めるのか

昨今、新卒入社の人材が入社後三年で三割辞めるという「三年三割」問題が提唱されています。
その中にも「環境に不満がある」という具体例がありますので、着目してみたいと思います。


下記は以前、新聞に掲載されていた人材会社が実施した
「若手社員が会社を辞める理由」の調査結果です。
  1位 自分が成長している実感が持てない
  2位 上司・先輩を尊敬できない、指示や指導に不満がある
  3位 入社前のイメージと実態が大きく違っていた


さらに具体的な内容では、
  ●先輩を見ていると、自分が成長するとは思えない。
  ●ここにいたら時間がもったいない。
  ●自分が必要とされているようには思えない。


などの理由が挙げられていました。
この記事では若手社員の忍耐力の無さを責める前に、
社員を育てられない会社の問題をクローズアップすべきと結んでいます。
これも、経営側と社員のコミュニケーション不足から生まれる問題なのです。


なお、上記の不満・悩みの裏返しとして、
「仕事を通じて得たいものは何か?」との質問への回答が、
  1位 成長、自分の価値向上
  2位 充実感を得る
  3位 良い給与


となっており、単純に給与ということだけではなく、
自分の成長や価値向上が若者の意識の中で、高く位置付けられていることが判ります。
この部分を、経営に活かすことができれば、必然的に退職は減ると考えられます。


「成長実感を得られる環境」とは

昨今は若者の価値観が多様化し、
自分の価値観とマッチする仕事への願望が強いという現象があります。
特に若手の優秀層にみられるこの現象ですが、
その本質は「急いで成長しようと突き動かされている姿」です。
急ぐ若手に対して、会社は当然ながらしばらくの間「修業期間」と見なし、
基礎的なルーチン業務を与えがちです。
しかし若手優秀層の意識のありようは、自らを「即戦力」と考え、
そのような仕事は忌避しがちです。
このように会社に入ってすぐに
「やりがいのある仕事がしたい」と自分の能力に自信を持つ若手と、
「まずは基礎から」と考える上司・先輩との間に大きなズレが生じていることが原因です。
成長実感を得られる仕組みを作るためには、上司や先輩社員が、
「基礎的なルーチン業務が成長に重要である」ことを理解させる、
そして部下の現在の能力の過不足をきちんと理解した上で仕事を与えることで、
一つでも二つでも上記の要望を実現していくことが絶対に必要なのです。


「尊敬できる上司・先輩」とは

ロールモデルの不在を退職理由にする若手は少なくないという事実があります。
それにはまず、上司自身が前向きになることが大切です。
社員にとっては、上司イコール会社です。部下に対して仕事上の上下関係はあるとしても、
対等な人間としての思いやりや礼儀正しさを持って接することも当然必要です。
また、上司自身が機知に富み、仕事にひたむきに取組む姿勢が重要であり、
上司の日常的な前向きさこそ部下の前向きさや成長への意欲を引出します。
そして何よりも大事なのは、部下を育てることで自分も成長すると信じることです。


「入社前後のミスマッチ」を防ぐには

これは世に言われる「ミスマッチ」の典型です。
この解消に関しては、企業側が人材に対して極力本当の仕事像を伝えるべき、
と言うしかありません。
しかし学生の就職活動においても中途社員の転職活動においても、
すっかり定着したネット就職を放置していてはこの問題の完全解消は困難です。
ネットの利便性は手放せなくても、
いかに手間をかけてプラスアルファの本当の仕事像を伝えられるか、
やりがいと表裏一体の関係にある仕事の厳しさや試練についてどこまで語れるか、
ミスマッチの解消は企業のその努力にかかっています。


まとめ

成果主義を導入している、若い人にチャンスを与えている、女性が活躍できるなど、
従来に比べ、働く環境に影響を及ぼす要因そのものが増え、
要因ごとに企業間格差が広がっています。
特に中途採用の比率の大きい中小企業・ベンチャー企業では、
「採用してからマッチさせていく」というのではなく、
その人材に見合った社風・人材が求める評価・人材の転職動機と、
企業が求めるポジション・人物像を「マッチングした上で採用する」べきです。
人材が求める環境が与えられるか、この問いと正面から向き合える企業こそが、
良い採用さらには定着性のある会社を作ってゆけるのです。


次回は「社員が会社を辞める理由~現職への満足・さらなるキャリアアップ~」
について解説します。

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