会計事務所のこんなところに不満を抱いている!
会計事務所にお勤めの税理士の皆さん、クライアント(依頼者)との関係性は良好ですか。しかし、税理士が関係良好だと思っていても、クライアントはそう思っていないケースもあるようです。この記事では、知られざる「クライアントの不満」についてまとめてみました。
顧問先(会計事務所)に不満を言えないクライアントも多い?
特に日本では、顧問契約のような継続的な関係性を構築しなければならない相手方に対しては、波風を立てずに事を進めたいという傾向が、依然として強いです。
よって、顧問を依頼している会計事務所に対して、「不満があっても何も言わない」というクライアントも少なくないのです。一見すると、スムーズに契約を継続できてよさそうですが、何の前触れもなく突然、顧問契約が解除されるリスクがあります。
しかも、顧問のような委任契約の解除に理由は不要ですので、会計事務所サイドではなぜ解除されたのか原因がわからないまま、根本的な悪弊を改善せずに業務を続けて、さらに他のクライアントの不満を高めている場合もあります。
クライアントが顧問先に抱くよくある不満あるある
オフィス訪問が少ない
クライアントの事業所に訪問して、具体的なアドバイスを送る税理士が一般的ですが、近ごろでは、記帳情報をウェブで共有することができ、資料もデータ化されていることが多いために、訪問を省略する税理士もいます。訪問がないことを気楽に思うクライアントもいれば、コミュニケーションが困難になる点などを理由に不満に思うクライアントもいます。
連絡がつかない
肝心のときに電話がなかなか繋がらないだけでなく、後での折り返しすらもなければ、クライアントは不安を募らせます。あるいはメールなどの返信が遅かったりすることも、クライアントの不満に繋がります。
訪問や連絡はあるが、コミュニケーション不足
税務に関する専門用語を注釈なしに多用し、しかも態度が旧来的で横柄なために、クライアント側から素朴な質問を投げかけられず、軽くあしらう雰囲気が漂っている税理士がいます。それはコミュニケーション面で不満に思われる一因です。
クライアント側から要求しなければ新情報が提供されなかったり、領収書の処理や記帳代行などについて税理士側からほとんど問い合わせがなかったりすることも、コミュニケーションにおいて不満が溜まる原因となります。
税務コンサルティング業である税理士にとって、クライアントとのコミュニケーションが円滑に行われないことは致命的ともいえます。税理士自身は「十分なコミュニケーションを取れている」と思っていても、クライアントが「コミュニケーション不足」だと認識していれば、そうした認識のズレが存在していること自体がコミュニケーション不足の現実を露呈しているのです。
現状の追認が多い
また、クライアントの税務処理の進め方を「これでいい」と肯定するばかりで、経営指導や節税などの積極的アドバイスがほとんど出てこなかったりすることも、クライアントが不満を溜める原因になります。
税務調査が入った際、税務署側からの意見や指摘に追随するばかりで、ほとんど反論をしなければ、その税理士は「頼りない」とみなされることもありえます。
仕事が遅い
高度情報化社会に対応するビジネスを進めているクライアントのスピード感に付いていけず、ペースが合っていない会計事務所も少なくありません。スピードを重視するクライアントへの対応で、納期ギリギリに処理したり、連絡が滞ったりすると、不満に繋がる可能性があります。
確定申告などで、期限に間に合わなさそうだからといって、手を抜いた処理を行うことなどもクレームに繋がります。
もっとも、クライアントの社風や業務ペースに合っていれば、仕事が遅くても問題はありませんが、いわゆる「働き方改革」の一環で、各企業、各従業員の業務効率が重視されている時代背景においては、会計事務所にも十分な業務速度が求められるでしょう。
報酬が高い
会計事務所による業務アウトプットの水準に対して、支払うべき顧問報酬が高すぎる、あるいは割に合わないと感じさせてしまえば、必然的にクライアントの不満に繋がるでしょう。
クライアントに満足してもらうために、顧問として気を付けるべきこと
まずは、業務内容に見合った報酬体系を、クライアントの立場で戦略的に組み立てることが重要です。
オフィス訪問は不要で、資料送付と記帳代行のみで十分というクライアント向けに、リーズナブルなコースを設定することは、クレーム回避の有効な方法です。一方で、税理士としてクライアントの記帳から決算までフルコミットするコースでは、業務リソースを十分に振り向ける代わりに、安売りすることはやめるようにしましょう。
安易な安売りは、長い目で見たときに個々の会計事務所、ひいては税理士業界全体の疲弊をもたらし、しかも、税理士としての社会的価値向上やブランディングにも繋がりません。
また、最初の面談の段階で、クライアントが会計事務所に何を求めているのかを見極めるようにしましょう。節税から経営戦略まで、税理士に尋ねたいことが山ほどありそうなタイプのクライアントに対しては、決して連絡を途切れさせてはなりません。
もちろん、税理士にすべてを丸投げしたいタイプのクライアントも少なくありません。会計事務所への業務負担がかかる分、報酬も高くせざるを得ない点を、文書も含めてあらかじめ丁寧に説明しておけば、後々のクレームを牽制できます。
まとめ
会計事務所に対してクライアントが抱く不満は、期待の裏返しです。まずは、不満を言えずに抱え込んだままにしたり、突然契約を切られたりする前に、お互いに腹を割って話せる関係性を、粘り強く構築することが重要です。クライアントの率直な不満にこそ、会計事務所として今後大いに飛躍するチャンスが秘められています。
<参考>
・佐藤茂税理士事務所 4.税理士事務所の不満ランキング
・林義章税理士事務所 税理士への不満を税理士側の都合から考える
・えびな税理士事務所 よくある税理士の不満と解決法
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