弁護士が過剰...現状を打開するためには

更新日:2018/11/02
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弁護士が過剰...現状を打開するためには

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司法制度改革の一環で、司法試験合格枠が拡張され、日本の弁護士人口が急増しています。2017年の統計によれば、全国で38,980人が弁護士として登録しており、法科大学院制度が開始する直前である2003年に比べても倍増しています(弁護士白書より)。
それに伴い、弁護士間の顧客獲得競争も熾烈になっています。なぜ、このような事態が起きているのでしょうか。

弁護士人口が過剰とされる理由

司法制度改革で司法試験の合格枠が拡大されたのは、弁護士人口を増やす目的に主眼が置かれていました。
アメリカ合衆国政府からの要望で、外資系の企業が日本へスムーズに進出するため、渉外系・国際系の弁護士を増員する必要があったこと、また、組織内弁護士を増やして、法曹の多様性を確保したり、地方での法律事務所開業を促進することで、弁護士の偏在を解消しようとしたりする狙いがあったのです。
ただ、その狙いに反して、司法試験合格者の多くは、都市部で働き、法廷に立つ一般民事系の弁護士を志望したため、世間の需要に対して弁護士の供給が過剰になり、全体のバランスが崩れてしまったのです。

過剰な中、評価されている弁護士の特徴

まず、外国語や外国法に長けた渉外系・国際系の弁護士、あるいはM&Aや倒産などの大型案件を処理できる企業法務系の弁護士は、クライアントとなる国内外の大手企業からも高く評価され、破格の報酬を得ている例が多いです。数百人単位の弁護士を抱える、いわゆる四大法律事務所(アンダーソン・毛利・友常、長島・大野・常松、西村あさひ、森・濱田松本)では、企業法務案件や渉外案件を多く抱えています。

ただし、こうした渉外系事務所は志望者に対して採用枠が狭いので、高学歴で司法試験や司法修習の成績が抜群であることなど、弁護士としてのポテンシャルが高い人でなければ、その狭き門をくぐれません。また、渉外系事務所に入った後も、契約書チェックやデューデリジェンスなど、膨大な量の正確な事務処理を中長期的にこなさなければならないため、知力と体力がともに充実していなければ耐えられないでしょう。名実ともに、弁護士の中でも選び抜かれたエリートといえます。

従来の「法廷に立つ」「都市部で働く」という固定観念にとらわれず、会社の法務部などで勤務する組織内弁護士も評価されています。企業は顧問契約やスポットの法律相談で弁護士と関わることができます。しかし、企業内部でビジネスの当事者・参加者として、あるいは法的サポートの担当者として働いてくれる組織内弁護士は、その企業の内部事情や社風にも精通しており、コミュニケーションを採るのもスムーズに進みやすく、心強いと思ってもらえるものです。

また、専門性の高い少数精鋭のブティック型事務所に勤務する弁護士も、クライアントから選ばれ、頼りにされやすいです。ベンチャー企業のCLO(最高法務責任者)や、多くの人々が泣き寝入りしてきた少額未弁済債権の回収を請け負う法律事務所など、今まで弁護士がほとんど進出してこなかった新たな分野へ進出する「ファーストペンギン」も評価されやすいといえます。世間の埋もれた需要を掘り起こすため、法的サポートを諦めてきたクライアントから感謝をされやすいです。

ただし、クライアントとなりうる層の人々と積極的に交流し、素朴な声を聞きとるなど、世間の潜在的需要を正確に測ってから進出しなければ、「空振り」に終わってしまう危険性もあります。

今からでも間に合うスキルや経験とは?

弁護士がスキルアップするために汎用性が高いのは、語学力です。特にビジネス界での国際語である英語については、会話力と読解力ともに磨いておきたいものです。

また、弁護士業はサービス業であることを意識できると、顧客からの支持を得やすく、評価されやすくなります。接客に関するセミナーやコンサルティングを受けたり、信頼関係を築くためNLPなどの実践的心理学を学んだり、実際に副業を立ち上げて試行錯誤したりする経験などは、弁護士としてスキルアップするのにも役立つでしょう。

法律事務所と一般企業、どちらへ行くべきか

弁護士人口が過剰で競争が激しくなっているとして、法律事務所に勤めるか、一般企業などでインハウスローヤーとして活躍するか、どちらが有利なのかは一概に言えません。たとえライバルの多い「レッドオーシャン」の職域であっても、民事事件での法廷審理や和解交渉などが得意と自負があれば、その道を突き進めばいいのです。競争が激しいからこそ、スキルアップへの強い動機付けにもなりえます。

一方で、たとえルーチンワークが多くても、粛々と決められた仕事をこなしていくほうが得意だと考えていれば、従来型の弁護士像にとらわれず、組織内弁護士を目指したほうが幸せでしょう。

まとめ

たしかに、国内の弁護士は供給過剰な状態となっており、競争も激化しています。ただ、それは「都市部で一般民事を扱う法廷弁護士」という、従来型の法曹像を想定しているから厳しく思えるのかもしれません。自分の本心に従って、競争の少ない「ブルーオーシャン」へ飛び込めば、弁護士という職業の可能性は、まだ無限大に広がっているのです。

<参考>
日本弁護士連合会 弁護士白書 2017年版 弁護士人口

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