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公認会計士

海外で公認会計士の独立性に関する研究が発表-日本でも起こりえるか?

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公認会計士の独立性は担保されていないのか?

米国のビジネス誌「CFO」が、公認会計士の独立性ルールは不十分だったという研究を紹介しています。

公認会計士の独立性は、監査人の企業倫理のひとつで、監査人は独立した第三者として監査意見を表明するため、
・監査の実施にあたって公正不偏の態度を保持すること(精神的独立性)
・特定の利害関係を有さず、その疑いを招く外観を呈さないこと(外観的独立性)

これらが強く要求されています。
日本も含め、多くの欧米諸国は、監査事務所を退職後1~2年ほど経過し、監査していた企業の役員に就任するのを公認会計士の独立性には抵触しないとされています。
日本では、かつてカネボウ元社長と共謀して、2002年および2003年3月期の決算についてそれぞれ800億円を超える粉飾を知りながら、有価証券報告書に虚偽の記載をしたことから、2005年に4人の公認会計士が証券取引法違反で逮捕され、そこで「公認会計士の倫理観の欠如」が指摘された過去があります。
今回は、この現行ルールで本当に公認会計士の独立性が担保されているか検証した実験について、ご紹介したいと思います。

公認会計士の独立性の厳格化背景と、独立性検証の実験内容

そもそも、公認会計士の独立性に対して厳格になったのは、どのような背景があるのでしょうか。
まず挙げられるのは、2001年に起こったエンロン事件でしょう。米国の総合エネルギー会社だったエンロン社は、デリバティブなどの金融技術とITを駆使した革新的なビジネスモデルを確立し、一時は優良企業とみなされていました。
しかし2001年に、いわゆる「飛ばし」と呼ばれる特定目的会社を利用した巨額の粉飾決算が発覚し、あえなく倒産に至りました。この事件をきっかけに、コーポレートガバナンスが重視されるようになります。2002年には企業の不祥事に対する厳しい罰則を盛り込んだ企業改革法(SOX法)が導入され、監査人の非監査サービスとの同時提供の禁止、ローテーション期間の短縮など、コーポレートガバナンスと監査の改革を通して、会計と監査に大きな影響を与えました。

あれから16年ほど経った今日、米国のAmerican Accounting Association(米国会計学会)が発行するAccounting Horizon誌3月号に掲載されたある論文のなかで、公認会計士の独立性が担保されているかを検証した実験結果を紹介しています。

4大監査事務所のマネージャーが、グレーゾーンにある会計上の問題に関して、クライアントの立場を採用するかどうかを検証した結果が、下記になります。

■クライアント側の立場を支持する割合
・クライアント側のCFOが監査人の元同僚の場合は76%
・クライアント側のCFOが監査人と無関係の場合は44%

このことから、元クライアント企業のCFOに就任可、というルールの効果は会計上の意思決定に影響するとわかりました。

日本でも同様の結果となるのか?

上記の実験結果が実際に日本で起こっているかはわからないですが、人材の流動化が比較的多い海外とは異なり、日本では職場内外で「先輩後輩」関係が強く存在します。
先日、インターネット上で騒がせた有名ブロガーが会社員時代に受けた先輩からのセクハラ、パワハラ問題。先輩からの理不尽な要求を聞かないと、仕事上での関係が継続できなくなるおそれがあったり、その先輩と関係を断とうとした際は「業界で生きていけなくなる」と脅されたこともあったそうです。
このように、上下関係が悪い方向へはたらいてしまうことは、程度の大小を問わず、誰でも経験があるのではないかと思います。上記のケースは少し極端かもしれませんが、こういった日本独自の事情を考慮すると、海外より厳しい独立性を守るルールを課したほうが良いのかもしれません。

また、公認会計士の独立性といっても、クライアントに監査報酬の交渉や請求をしたり、監査結果が良くなければ厳しい監査意見を付けなければならないため、独立性を維持していくのはそう簡単なことではありません。ですので独立性を保つためには、注意や仕組みの存在が重要になってくるわけです。


日本公認会計士協会の「独立性チェックリスト」と公開草案

日本でも、2003年に改正公認会計士法が公布され、
・非監査サービスとの同時提供の禁止
・ローテーション期間の短縮など
・被監査会社の役員などへの就業制限
・監査クライアント株式への直接投資の全面禁止
などが設けられています。
そして、独立性を保つための品質管理の手続きとして、日本公認会計士協会が2005年に「独立性チェックリスト」を発表しました。監査事務所や業務従事者たちが、独立性の保持に関する方針と手続を策定する際の参考になるように、監査人の独立性に関する法令などが集約されています。

チェックリストは大きく「法令編」と「倫理規則編」に分かれています。さらに、公認会計士用のほか、監査法人用、監査法人・社員用、監査補助者用、会計事務所等用、チーム構成員用、会計事務所等のその他の構成員用と細分化されています。
たとえば公認会計士用の場合、役員等関係、使用人関係、公務員関係、株主・出資者・債権者・債務者、経済的利益供与、税理士業務等、同時提供が禁止されている非監査業務、監査責任者の交替、単独監査等などのチェック項目があり、それぞれ根拠規定が添えられています。

2017年1月、国際会計士連盟の国際会計士倫理基準審議会の倫理規程が改正されました。この改正を受け、日本公認会計士協会でも「独立性に関する指針」および「職業倫理に関する解釈指針」に改正すべき点がないかどうかについて検討を行い、2018年1月に草案を公表しました。具体的には、監査パートナーのローテーションに関する規定や、インターバル期間のほか、関与の中断がある場合(7会計期間を連続して関与せず、累積した7会計期間の範囲内でいったん関与を外れ、再度関与する場合)の関与期間のカウント方法、インターバル期間中の関与の制限(禁止される活動)などが改正の範囲となっています。会員からの意見募集はすでに締め切られていますが、今回の草案でより広い意見が集められ、また日本の慣習に沿ったものになることを期待したいと思います。

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