知財部の平均年収は〇〇万円!年代別の平均年収と年収アップのポイントを紹介!
企業の知財部で働くなかで、「年収アップに向けて転職したい」とお考えの方もいるのではないでしょうか。転職は年収を上げるために効果的な手段であり、実際に前職よりも高年収の勤務先への転職を遂げた方は多くみられます。
ただし、転職をすれば必ず年収が上がるわけではありません。まずは知財部の平均年収や年収アップのポイントを把握し、しっかりと準備したうえで転職活動に臨むことが大切です。
そこで、今回は企業の知財部における年収相場をはじめ、知財を扱う「特許事務所」との年収比較や知財部での年収アップのコツ、転職成功に向けたポイントをまとめました。さらには、士業に特化した転職エージェントの「MS Agent」における知財部の求人例もあわせてご紹介します。
知財部の平均年収
まずは、知財部の年収相場をざっくりと押さえておきましょう。ここでは、参考事例として2021年4月~2024年3月にMS Agentに登録された知財担当者の年収データをご紹介します。
年代 | 平均年収 | 中央値 |
---|---|---|
20代 | 447万円 | 450万円 |
30代 | 603万円 | 600万円 |
40代 | 760万円 | 710万円 |
50代 | 974万円 | 950万円 |
全年代 | 725万円 | 650万円 |
上記のデータにおいては、全年代の平均年収は700万円程度です。ただし、知財部担当者の年収は年齢や役職によって大きく異なり、300万円ほどの方もいれば1,000万円以上稼ぐ方もみられます。
キャリアごとの知財部の年収
続いて、知財部におけるキャリアごとの年収相場を見ていきましょう。所属する企業の給与体系によって異なりますが、一般的には以下の相場感となっています。
キャリア | 年収相場 |
---|---|
新卒 | 300~500万円 |
入社数年の中堅社員 | 500~700万円 |
主任クラス | 700~1,000万円 |
課長クラス | 1,000~1,200万円 |
部長クラス | 1,200万円以上 |
なお、知財部では知的財産に関する専門的な知識や経験を要するため、社内の他部署における同じ役職よりも高めの年収に設定されているケースが一般的です。
知財部と特許事務所の年収はどちらが高い?
現在、企業の知財部で勤務している方のなかには、「知財部と特許事務所の年収はどちらが高いのか」と気になっている場合もあるでしょう。そこで、ここでは2021年4月~2024年3月にMS Agentに登録された特許事務所所属者の年収データをご紹介します。
年代 | 平均年収 | 中央値 |
---|---|---|
20代 | 352万円 | 350万円 |
30代 | 455万円 | 430万円 |
40代 | 547万円 | 420万円 |
50代 | 624万円 | 575万円 |
全年代 | 453万円 | 400万円 |
前述の知財部における年代別平均年収と比較すると、特許事務所よりも知財部のほうが高年収であることがうかがえます。ただし、特許事務所においても事務所規模やポジションによって年収に大きく差がみられ、例えば所長に次ぐ役職の「パートナー」であれば1,000万円以上に達するケースも少なくありません。
また、弁理士資格を保有している場合は給料が優遇されたり、毎月数万円程度の資格手当が付与されたりすることが多い印象です。
知財部で年収アップするには
知財は専門性が高い職種ですが、例えば企業の知財部門で働く場合、若くして年収1,000万円を超えるのは簡単ではないと言われています。
知財部門の専門職とはいえ企業の給与体系に沿って年収が上がっていくため、急に年収をアップさせるのはやはり難しいわけです。
少しでも早く年収を上げていくには、幅広い業務経験に加え、①弁理士資格の取得②語学力を身に付けるとよいでしょう。
①弁理士資格の取得
弁理士とは知的財産の専門家であり、資格を取得するだけで、別途手当を出してくれる企業もあります。
ただし弁理士資格は難関といえる資格であり、2023年度の弁理士試験では、受験者数が3,065人で合格者は188人。
合格率はわずか6.1%です。直近3年は6%台前半の合格率が続いており、合格するには覚悟を持って取り組む必要があります。
ただ、もし取得することができれば、勤務先の評価が上がるのはもちろん、転職をする際も有利になるでしょう。
②語学力
知財においては、話す力よりも明細書などの特許関連の書類を読み解く力が求められます。
ただ、英語力の指標としては、リスニング等を含むTOEICや英検などが主流です。
語学力があることを証明すると、外国特許出願などの業務にも携われるので、仕事の幅が広がり、年収・待遇アップが見込めます。
知財部の転職を成功させるには
もし「転職によって年収アップを達成したい」とお考えの場合は、転職成功に向けて入念に対策を練ったうえで活動を進めるとよいでしょう。というのも、知的財産を扱う企業の数が限られていることから、知財部の求人数は法務などの近接職種に比べて非常に少ないほか、知財部を設けているのは待遇面に魅力が大きい大企業が多く、競争倍率が高くなりやすいためです。
そういった厳しい状況下で転職成功を勝ち取るためには、以下のような対策を取り入れながら転職活動に挑むことをおすすめします。
知財部で優遇されやすい資格を取得する
知財部の転職成功に向けて、関連資格の取得は大変有効な手段です。一般的には、次のような資格を保有していると知財部門で優遇されやすいといわれています。
- ・弁理士
- ・知的財産管理技能士
- ・知的財産アナリスト
- ・ビジネス著作権検定
- ・知的財産翻訳検定
各資格の概要について、以下で詳しく見ていきましょう。
弁理士資格
弁理士資格は“知的財産に関する専門家”であることを証明する資格であり、知的財産に関する手続きの代理業務を行う際に必要不可欠です。企業の知財部で働くうえで必須の資格ではありませんが、保有していると毎月数万円程度の資格手当が付与されるケースが多く、年収アップにつながります。
なかには弁理士の登録費用や月会費を負担してくれる企業もあるため、事前に確認してみるとよいでしょう。ただし、弁理士は合格率数%の難関資格であり、受験者の多くがかなりの勉強時間を確保して受験に備えていることから、勤務時間外の大半を資格対策に費やす覚悟が必要です。
知的財産管理技能士
知的財産管理技能士は、知財を管理する能力を公的に証明する資格です。試験には企業の知財部における知財管理を想定した設問が多く出題されており、保有していると知財部での転職時に優遇されやすい傾向があります。
また、企業によっては知的財産管理技能士の取得を昇進や報奨金の条件としているところもあり、社内での年収アップを図る際にもおすすめです。難易度ごとに1~3級の3つのレベルに区分されているため、まずは難易度が最も低い3級からチャレンジしてみるとよいでしょう。
知的財産アナリスト
知的財産アナリストは「知的財産教育協会(AIPE)」が認定する資格で、主に企業の知財戦略に貢献する情報処理能力を養えます。企業において知的財産権を経営戦略に活かそうとする動きが年々活発化していることから、「知財」と「経営」への高い知見があることを証明できるこの資格は転職時に有利となる可能性があるでしょう。
ビジネス著作権検定
ビジネス著作権検定は、その名の通り著作権に関する知識や実務スキルについて評価する検定試験です。特に出版業界や広告業界への転職を希望している方は、事前に取得しておくと転職時に優遇される傾向があります。
なお、ビジネス著作権検定は学歴・年齢等を問わず誰でも受験可能となっており、BASIC・初級・上級の3段階から自由にランクを選べます。どのランクもリモートWebテストによる在宅受験となっており、気軽にチャレンジしやすい点もおすすめポイントです。
知的財産翻訳検定
知的財産翻訳検定は、知的財産翻訳能力認定専門機関が実施している検定試験です。具体的には、「特許明細書」などの知的財産文書に関する翻訳能力を客観的に測定するもので、特許出願の翻訳業務が発生する企業への転職時に提示すると大きなアピールポイントになります。
対象言語は「英語」「ドイツ語」「中国語」の3種類で、英語のみ1級~3級の3つのレベルに分かれています。まずは英語での取得を目指すことをおすすめしますが、近年は中国でのPCT出願件数が増加傾向にあるため、志望企業の出願状況に応じて中国語の資格取得にチャレンジするのもよいでしょう。
知財部で評価されやすいスキルを身につける
採用担当者から「即戦力になりそう」と注目してもらうためには、知財部での業務に役立つスキルを身につけることも重要なポイントです。知財部は社内の開発者や経営陣のほか、委託している特許事務所の弁理士や提供企業などと信頼関係を構築する必要があることから、高いコミュニケーション能力を有する方は担当者の目に留まりやすいです。
また、知財部では国際的な業務を行う機会も多く、高い語学力も転職時に大きな武器となります。知的財産権の調査時には英語または中国語で書かれた文書を取り扱うケースが多々あるため、資格取得などで英語・中国語のスキルをアピールできると有利です。
知財業界に精通した転職エージェントを利用する
先述のように知財部の求人はそもそも数が少なく、転職のハードルが高い傾向があることから、転職にあたっては「転職エージェント」を利用するとよいでしょう。その際は知財業界に精通したエージェントを選ぶことで、年収アップが叶う転職先を見つけやすくなります。
また、知財人材の転職実績が多いエージェントであれば、業界の特徴を踏まえた的確なアドバイスを得られることも大きな魅力です。応募書類の添削や面接対策、年収交渉などをサポートしてもらいながら、安心して転職活動を進められるでしょう。
高年収(年収800万円以上)の知財部求人事例
弊社が運営する転職エージェントの「MS Agent」は管理部門や士業の転職に特化しており、知財部の求人も取り扱っております。具体的にどのような案件があるのか、ここではMS Agentが取り扱う実際の求人事例をいくつか見ていきましょう。
【働き方◎】プライム上場グローバルメーカーの知財部求人
仕事内容 |
・自社発明発掘(知財相談対応等)、発明促進 ・他社知財(特許や商標等)の調査、侵害時の対応 ・社外弁理士及び弁護士との連携 など |
必要な経験・能力 |
必須 ・管理職経験(人数不問) ・機械、電気、物理いずれかの知識 ・メーカーまたは特許事務所での知財経験 ・英語力(読み書きレベル) |
想定年収 |
800万円 ~ 900万円 |
設立50年のシステム開発会社で法務・知財担当の求人
仕事内容 |
・国内および海外案件のコンサルティング ・知財相談対応 ・法務相談対応 など |
必要な経験・能力 |
必須 ・企業法務の実務経験(6年以上~目安ですが絶対ではありません) ・契約書レビュー経験 ・Microsoft Office(Word、Excel、PowerPoint)のスキル ・英語に抵抗がない方 |
想定年収 |
1000万円 ~ 1200万円 |
大手電機メーカーの知財課長クラス求人
仕事内容 |
・知的財産関連の渉外活動に伴う契約対応 ・英文契約の対応 ・社会インフラ事業の知財契約支援 など |
必要な経験・能力 |
・特許ライセンス契約のドラフト・レビューの実務経験(5年目安) ・IT関連のビジネス構造について知見 ・プロジェクトマネージメントの経験 |
想定年収 |
900万円 ~ 1100万円 |
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法務・知財の求人情報
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サイト上で公開されている求人はごく一部です。そのほかの求人情報は会員登録することでご確認いただけます。
まとめ
今回は「企業の知財部の年収」をテーマに、特許事務所との比較や年収を上げるコツ、年収アップに向けた転職を成功させるポイントをご紹介しました。
知財部の一般的な年収は700万円ほどといわれていますが、勤める企業や年齢、ポジションなどの要素で大きく異なります。弁理士資格や高い語学力を有しているとキャリアアップ・年収アップしやすいといわれているため、まずは資格取得や語学学習にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
また、より年収の高い職場への転職を希望している場合でも、資格取得や語学力強化は大いに役立ちます。さらに知財業界に精通した転職エージェントを利用することで、条件に合った転職をスムーズに叶えられるでしょう。
ぜひ今回ご紹介した内容を参考にしながら、知財部での年収アップや転職成功を目指してみてください。
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この記事を監修したキャリアアドバイザー
大学卒業後、新卒でITベンダーに入社し、営業としてエネルギー業界のお客様を担当。その後、損害保険会社で法務業務に従事。
キャリアアドバイザーとしてMS-Japanに入社後は、法務、弁護士、法科大学院修了生などリーガル領域を中心に担当。
人事・総務 ・ 法務 ・ 法律・特許事務所 ・ 役員・その他 ・ 弁護士 を専門領域として、これまで数多くのご支援実績がございます。管理部門・士業に特化したMS-Japanだから分かる業界・転職情報を日々更新中です!本記事を通して転職をお考えの方は是非一度ご相談下さい!
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