2025年07月25日

経理求人の年収調査(2025年版)|年収から考えるキャリア戦略

経理職の平均年収について、令和6年賃金構造基本統計調査では「509万円」と発表されています。
しかし、実際に経理への転職を検討している方にとっては、この平均値だけでは参考にならないケースが多いのが実情です。

というのも、経理の年収は年齢・職位・企業規模・上場区分などによって大きく異なり、単なる平均値では、自身の立ち位置や適正な報酬水準を把握しづらいためです。
他職種との比較を目的とする場合には平均年収も一定の参考になりますが、「自分の市場価値を知りたい」「転職で年収アップを目指したい」方にとっては、より具体的な視点とデータが不可欠です。

そこで当社では、実際の経理職の求人情報をもとに、年代・職位・企業属性別の年収中央値を分析しました。

20代経理の想定年収中央値

20代×非管理職(スタッフ・リーダークラス)

市場区分
/企業規模
100名未満
小規模
100~
1,000名未満
中規模
1,000名以上
大規模
上場 499万円 517万円 578万円
上場子会社
未上場 450万円 510万円

20代のスタッフ〜リーダー職では、未上場企業と上場企業(子会社含む)との間で、約50万円の年収差が見られました。
上場企業(子会社含む)では、従業員100〜1,000名規模の中規模企業でも想定年収の中央値が517万円となっており、冒頭の経理職全体の平均年収である509万円を上回っています。
経理職としては、上場企業の会計基準に基づいて実務を行う方が、業務の難易度が上がり、それに比例して報酬も高くなる傾向があります。

とくに年齢を重ねると、管理職としての経験が求められるようになります。
そのため、組織に馴染みやすく、成長の機会も得やすい若手のうちに、上場子会社N-2期以降のIPO準備企業などで、上場基準で経理実務を経験できるチャンスがあれば、積極的にチャレンジすることをおすすめします。
こうした経験は、年収アップだけでなく、将来的なキャリアの選択肢を広げるうえでも大きな意味を持ちます。

また、企業規模が大きくなるほど年収が高くなる傾向があり、1,000名以上の上場企業(子会社含む)と未上場企業とでは、年収に約70万円の差があることも確認されています。
ただし、企業規模が大きくなると、経理業務は主計全般ではなく担当分野が細分化される傾向があるため、自身のキャリアビジョン到達に向けて、どのようなルートで経験を積む方が良いのか、しっかりと考える必要があります。

まとめると、「上場企業 > 未上場企業」「大企業 > 中小企業」という傾向は、他の職種や年代でも共通して見られます。
近年では転職時に限らず、賃上げの勢いとしても温度感に違いがあり、より一層、格差が広がることが予想されます。

20代×管理職(課長・次長クラス)

市場区分
/企業規模
100名未満
小規模
100~
1,000名未満
中規模
1,000名以上
大規模
上場 627万円 677万円
上場子会社 583万円
未上場

20代で課長・次長クラスとなるケースは少数派ですが、ポストが存在する企業では上場企業の方が高い年収帯を提示する傾向にあります。
上場区分が、若手のハイクラス採用においても年収差を生み出す要因となっています。

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30代経理の想定年収

30代×非管理職(スタッフ・リーダークラス)

市場区分
/企業規模
100名未満
小規模
100~
1,000名未満
中規模
1,000名以上
大規模
上場 524万円 637万円 657万円
上場子会社
未上場 496万円 563万円

30代の非管理職(スタッフ・リーダークラス)では、上場企業(子会社含む)と未上場企業、大規模企業と小規模企業の間で、20代以上に年収の差が広がっています。
また、未経験歓迎の求人が減り、前職での実務経験がより重視されるため、セグメントを跨いでスケールアップする転職の難易度が上がってきます。

とはいえ、30代であればまだチャンスは残されています。
未上場企業から上場子会社へ、上場子会社から上場企業へ、小規模企業から中規模企業へ、あるいは中規模企業から大規模企業へといった「スケールアップ型」の転職も不可能ではありません。
競争倍率は高くなりますが、30代はラストチャンスと捉え、積極的に挑戦する姿勢が重要です。

また、30代に入ると、非管理職よりも管理職求人の割合が徐々に増えていきます。
将来的なキャリアビジョンとして役職に拘りがある方は、入社後にマネジメント経験が積めるかどうかも、重要な判断材料になってきます。

30代×管理職(課長・次長クラス)

市場区分
/企業規模
100名未満
小規模
100~
1,000名未満
中規模
1,000名以上
大規模
上場 700万円 720万円 777万円
上場子会社 643万円 731万円
未上場

30代の中間管理職層においても、上場企業の方が未上場企業よりも高い年収水準を提示する傾向が顕著に見られます。
上記はあくまで中央値に過ぎませんが、日本を代表するような大手上場企業では、年収900万円を超えるオファーが出るケースも珍しくありません。

一方で、中小規模の上場企業と、大手の未上場企業とでは、提示される年収が同程度になることもあります。
そのため、転職に際しては「上場/非上場」という区分だけでなく、「企業規模」も総合的に見極めることが重要です。

30代×上級管理職(部長・将来の役員候補)

市場区分
/企業規模
100名未満
小規模
100~
1,000名未満
中規模
1,000名以上
大規模
上場 850万円 887万円
上場子会社 792万円 841万円
未上場 755万円

上級管理職になると、「上場/未上場」といった市場区分の影響が非常に大きくなる傾向があります。
未上場企業では大規模であっても、上場大手企業の中間管理職以下の年収中央値にとどまるケースが多く見られます。

また、上場子会社の場合でも、従業員数が100名以上か未満かによって、報酬水準に差が出る傾向が確認されています。

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40代経理の想定年収

40代×非管理職(スタッフ・リーダークラス)

市場区分
/企業規模
100名未満
小規模
100~
1,000名未満
中規模
1,000名以上
大規模
上場 644万円 725万円
上場子会社 613万円 675万円
未上場 522万円 634万円

未上場×小規模、未上場×中規模の企業区分は、他のセグメントと比べて年収が100万円以上年収が低い傾向が見られます。
非管理職のスペシャリストとしてキャリアを築いていく場合でも、上場企業の会計基準に則った経理実務や、大規模企業での経験を積まなければ、年収が頭打ちとなってしまいます。

中小規模の未上場企業で年収アップを目指すのであれば、40代以降は管理職としての役割を担うことが前提となります。

40代×管理職(課長・次長クラス)

市場区分
/企業規模
100名未満
小規模
100~
1,000名未満
中規模
1,000名以上
大規模
上場 750万円 816万円
上場子会社 678万円 772万円
未上場

大手上場企業では、想定年収の中央値が800万円を超える水準に到達しています。
なかでも、日本を代表するような大企業であれば、年収1,000万円を超えるケースも珍しくありません。

一方、管理職であれば中小規模の未上場企業や上場子会社でも、想定年収の中央値が678万円まで到達し、非管理職と比べて60万円~150万円程度の年収差があります。

40代×上級管理職(部長・将来の役員候補)

市場区分
/企業規模
100名未満
小規模
100~
1,000名未満
中規模
1,000名以上
大規模
上場 900万円 950万円
上場子会社 825万円 888万円
未上場 788万円

上級管理職では、「上場/未上場」といった市場区分が、年収に最も大きな影響を与える要因となっており、加えて上場企業においては、従業員数100名未満か以上かによっても、報酬水準に差が見られます。
なお、こちらもあくまで中央値ですが、大規模~中規模の上場企業では、年収1,200万円を超えるオファーが提示されるケースも数多くあります。

経理のキャリアアップ支援を受ける

50代経理の想定年収

50代については、年収傾向が40代と大きく変わらないため、本記事ではデータのみを掲載いたします。

50代×非管理職(スタッフ・リーダークラス)

市場区分
/企業規模
100名未満
小規模
100~
1,000名未満
中規模
1,000名以上
大規模
上場 663万円 744万円 856万円
上場子会社 594万円 713万円 750万円
未上場 518万円 550万円 563万円

50代×管理職(課長・次長クラス)

市場区分
/企業規模
100名未満
小規模
100~
1,000名未満
中規模
1,000名以上
大規模
上場 813万円 849万円
上場子会社 720万円
未上場

50代×上級管理職(部長・将来の役員候補)

市場区分
/企業規模
100名未満
小規模
100~
1,000名未満
中規模
1,000名以上
大規模
上場 995万円
上場子会社 922万円
未上場 810万円

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データから見る経理の想定年収の傾向

上場/未上場の違いは、職位や年齢が上がるほど影響が大きい

若手層では年収差が限定的でも、課長職以上になると上場企業と未上場企業の差が拡大します。
経営層に近づくにつれ、企業の報酬設計や資本力が収入に大きく関わるようになります。

中小上場と大手未上場は年収が拮抗するケースも

管理職・上級管理職では、「上場/未上場」という市場区分だけでなく、企業規模も年収に大きな影響を与えます。
特に、中小規模の上場企業と大手の未上場企業とでは、提示される年収が同程度になるケースも多く見られます。

そのため、上場かどうかという視点だけで判断するのではなく、企業の規模や役割の内容も踏まえて総合的に見極めることが重要です。

スタッフ層は企業規模、マネジメント層は市場区分の影響が大きい

スタッフ層では企業規模による影響が色濃く、1,000名以上の大手企業では年収が底上げされやすい傾向があります。
一方、部長以上の層では、企業規模よりも「上場区分」報酬ポリシーが明確な企業かどうかが年収に影響しています。

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経理求人選びのポイント

40代を超えると、管理職求人の比率が高まり、管理職経験が求められるケースも増えてきます。
そのため、将来的にマネジメント層を目指す方は、30代〜40代前半までに管理職としての実績を積んでおくことが重要です。

年収に影響を与える要素としては、上場・未上場の区分や企業規模が挙げられますが、管理職への登用倍率も高まるため、「将来的に何を目指すのか」という視点を持ってキャリアを選択する必要があります。

一方、将来的にスペシャリストとしての道を志向する場合は、上場企業や大規模企業のほうが年収水準が高い傾向にあります。
ただし、求人倍率を踏まえると、このようなスケールアップ型の転職は、20代〜30代前半のほうがチャンスが多く、40代になると同じレイヤー内での転職、あるいはスケールダウン型の転職が現実的だと言えるでしょう。

また、経理の経験を活かして、管理会計・予実分析などの経営企画や、内部監査といった他職種にキャリアチェンジする方も少なくありません。
ぜひ、以下のキャリアマップも参考にしながら、ご自身にとって最適なキャリアプランを検討してみてください。

経理のキャリアマップ

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調査概要

調査対象:2024年4月~2025年3月に「MS Agent」に掲載されていた経理職の求人(未経験歓迎、IPO、年収下限と上限の差が600万円以上の求人を除く)
想定年収の算出方法:セグメントごとに求人の年収下限中央値、年収上限中央値を算出し、その平均値をそのセグメントの想定年収として適用
調査テーマ:「経理求人の想定年収調査 2025」
調査主体:株式会社MS-Japan

■■本リリースの転載・利用に関するお願い■■
本調査結果を掲載・利用される場合は、
出典「MS-Japan調べ(https://www.jmsc.co.jp/knowhow/topics/
12604.html
)」と明記をお願いいたします。

まとめ

今回は、経理職における想定年収の実態を、当社が保有する求人データをもとに世代・職位・企業属性別に分析しました。
その結果、経理職の年収は単なる平均値では捉えきれず、年齢・職位・企業の上場区分・規模などによって大きく差があることが明らかになりました。

現在の転職市場では、20代の若手から、マネジメント経験を積んだ30代・40代・50代まで、幅広い層の経理人材に対するニーズが高まっています。
ただし、求められるスキル・経験・報酬条件はポジションや企業タイプによって異なるため、「将来を見越して今の自分に合った求人をどう見極めるか」が年収アップやキャリアの成功に直結します。

管理部門・士業特化型転職エージェント「MS-Japan」では、実際の求人データに基づいた市場価値の把握や、職位・企業タイプごとの最適なキャリア戦略のご提案が可能です。
経理としてのスキルをさらに活かしたい方、より良い待遇や役職を目指したい方は、ぜひ一度ご相談ください。

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