2024年03月05日

公認会計士のやりがいとは?監査法人以外のキャリアについても紹介

管理部門・士業の転職

「監査」を独占業務とする公認会計士は、資格取得後のファーストキャリアは監査法人が一般的である一方、その後は高度な専門知識を活かして異業種へのキャリアチェンジを希望する人も少なくありません。
公認会計士試験は難易度が高く、取得までに大変な苦労を伴うだけに、キャリアを通してどのようなやりがいや魅力があるのか気になるところです。

この記事では、監査の業務内容に加えて、監査法人以外のキャリアについても触れつつ、公認会計士のやりがいに焦点を当てていきます。

公認会計士とは?

公認会計士とは、会計分野において高度な専門知識とスキルを持つ、会計・監査の専門家であり、「監査」を独占業務として行える唯一の国家資格です。
会計知識を活かして企業活動をサポートし、経済全体の健全な発展に寄与することを使命としています。

公認会計士の特徴として挙げられるのが、その信頼性独立性です。
監査を通じて、財務書類その他の財務に関する情報の信頼性を確保する役割を担っています。
独立した立場から財務情報を評価し、法令や倫理規定に従って監査の結果を公正かつ客観的に報告することが求められます。

また、組織の財務状況を評価するだけでなく、戦略的なアドバイスや経営改善の提案も行います。
ビジネスにおける財務リスクを見通し、経営者や投資家に対して情報提供する機会も多く、財務アドバイザリーや、税理士と協力して税務コンサルティングを行うなど、幅広い分野で専門知識を活用してサービスを提供します。

公認会計士の知識と洞察力は、企業が持続的に成長するために重要な要素であり、社会的な使命も求められます。
公認会計士は、経済の安定と透明性を確保するために欠かせない存在として、公共の利益を守る役割を果たしているのです。

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公認会計士の仕事内容とは?

公認会計士の仕事には、独占業務である「監査」を中心に、会計、財務コンサルティングなどの業務があります。また、税理士登録をした場合は税務に携わることも出来ます。
ここでは、監査についての説明と、監査業務の1年間の流れを紹介します。

公認会計士の独占業務「監査」とは?

「監査」とは、組織の財務状況や業績、内部統制を公正かつ客観的に評価し、信頼性を確保するための業務です。
対象は、個人事業主や企業、学校法人、公益法人などさまざま法人・団体が該当します。
監査業務には、法律によって義務付けられている法定監査と、法定以外の監査、国際的な監査があります。

法定監査

法定監査は、特定の法律や規制に基づき、財務諸表の正確性、合法性、適切性を審査する監査を指します。
社外の株主や債権者、公共の利益関係者などに対して、財務情報の信頼性を保証することが目的です。

法定以外の監査

法定以外の監査は、組織の内部統制や業務プロセス、リスク管理などを評価するために行われます。
代表的なものは、内部監査やコンプライアンス監査などです。
内部監査は、組織内のコントロールシステムや業務プロセスの有効性を評価し、必要に応じて改善策を提案します。
コンプライアンス監査は、法律や規制の順守状況を確認し、法的なリスクを管理することが主な役割です。

国際的な監査

国際的な監査は、多国籍企業やグローバルな組織に対して、国際監査基準に基づいて行われる監査です。
異なる国や地域の要件に適合することで、国際的な信頼性を確保できます。

監査は、企業や組織の透明性と信頼性を高めるための重要な活動であり、法的要件の遵守や意思決定の裏付け、リスク管理の向上に貢献します。
監査の結果は、監査報告書としてまとめられ、内部および外部の利害関係者に提供されます。

監査業務の1年間の流れ

監査業務の1年間の流れは次の通りです。

時期 業務内容 詳細
7月頃 監査計画・キックオフミーティング 監査のスケジュールや目標を確立
7月中旬~8月上旬 四半期レビュー 過去3ヶ月間の業績や財務状況を評価
8月下旬~ 期中監査 組織の内部統制やプロセスの効率性を検証
9月頃 経営者とのディスカッション 経営者との会議や意見交換を通じて、監査の進行状況や重要な問題について話し合い
10月中旬~11月上旬 四半期レビュー この時点での業績を評価し、財務報告の精度を確認
11月中旬~12月下旬 期中監査 内部統制の有効性や財務報告の信頼性を把握するため、必要に応じて支社や工場などの現場視察とヒアリング
1月中旬~2月上旬 四半期レビュー この時点での業績や財務状況を評価
2月下旬~ 期中監査 再び内部統制やプロセスの改善点を特定
期末日付近 実査・棚卸立会 物理的な資産の存在や正確性を調査
4月中旬~5月上旬 期末監査 年度末の業績と財務状況を確認し、報告書の作成に向けて最終評価
5月中旬 監査役会への報告会 監査の結果と重要な課題を報告
5月下旬~6月上旬 有報チェック 有価証券報告書のドラフトをチェックし、企業が法的な要件を満たしているかを確認
6月下旬 定時株主総会 企業の株主が集まり、過去の業績や将来の計画について話し合い

定時株主総会の後、監査業務は一旦区切りがつきますが、7月頃になると新たな監査計画の策定が始まります。
前年度の監査結果や経験を踏まえ、次年度の監査スケジュールと重点項目を設定します。
このサイクルを繰り返すことで、企業の財務状況や内部統制の有効性を定期的に評価していきます。

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「監査」のやりがいとは?

「監査」の やりがいとは?

公認会計士が行う「監査」は、繰り返しのルーティン業務が多い反面、専門的な立場から様々なやりがいがあることも事実です。
監査先のクライアントは上場企業がほとんどで、株式市場に与える影響が大きいことから、責任感のある仕事と言えます。

監査の醍醐味は、上場企業の経営者や役員と直接関わりを持ちながらビジネスをサポートすることです。
経営者からの相談を受けたり、経営戦略のアドバイスを提示したりすることで、企業成長に貢献しているという実感を得ることができるでしょう。
また、株式公開を目指すベンチャー企業の支援に携わる場合は、若い経営者や社員と共に一つの目標に向かって力を尽くす意識が生まれます。

監査業務を通じて、経営者層だけでなく、経理や人事、法務、営業など幅広い部門との接点も多くあります。各方面の関係者とのコミュニケーションを通じて、さまざまな考え方や視点に触れ、ビジネスを深く理解する機会は、貴重な経験となるでしょう。

また、監査業務は、日々変化するビジネス環境に対応する必要があります。
会計・監査基準の国際化や企業のグローバル化に対応するためには、学び続ける姿勢が不可欠です。
常に業界動向から目を離さず、知識をアップデートすることは容易ではありません。しかし、それによって自己成長を遂げることは大きなやりがいにつながるでしょう。

さらに、会計監査では、企業の会計が正確で透明であるかをチェックする役割を担います。
誤りや不正があった場合、社会に与える影響は小さくありません。
自らの専門知識と正義感を持って不正を防ぎ、公正な経済活動を導くことは、非常に意義のある仕事です。

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公認会計士は監査以外にもキャリアパスが幅広い

公認会計士のファーストキャリアは監査法人が一般的ですが、その後のキャリアパスは多岐にわたります。
高度な会計知識を活かせるフィールドとして、以下の業種でのニーズや役割を見ていきましょう。

税理士法人

監査法人の次のキャリアで、「税務」に関わりたいと考える公認会計士は一定数います。将来的に会計事務所として独立を考える場合は、まず税理士法人にて税務の実務を学んでから独立するケースが一般的です。
採用ニーズとしては、会計監査のほか、税務申告財務相談などの業務で迎え入れられることが一般的です。
公認会計士という資格の特性上、企業や個人のビジネスに関する法律・税務知識にも期待されます。

コンサルティング業界

公認会計士の知識とスキルは、コンサルティング業界でも求められます。
以下に、主なコンサルティング系キャリアパスを紹介します。

ファイナンシャル・アドバイザリー・サービス(FAS)

財務分析のスキルを持つ公認会計士は、財務デューデリジェンス資金調達などの業務に携わることができます。
ファイナンシャル・アドバイザリー・サービス(FAS)では、企業の成長戦略や投資判断に関するアドバイスを提供し、クライアントの意思決定に関与する機会も多くあります。Big4系では海外関連のクロスボーダー案件が多く、一定の英語力が求められます。
また、Big4系のFASでは、独立系に比べて収入面での高水準に期待できることも魅力です。

会計系コンサルティング

高度な会計知識が、会計システムの導入や改善、財務管理のコンサルティングに役立ちます。
企業の経営戦略に沿った効率的な会計プロセスや、報告体制の構築をサポートします。
Big4以下の独立系会計コンサルティングでは、Big4系に比べて小規模なクライアントが多く、事業全体を把握できる規模のため、経営の意思決定に関わりやすいことが魅力です。
「経営者と直接深く関わって意思決定のサポートをしたい」と考える公認会計士は、独立系で規模感の小さいコンサルティング会社を選ぶ傾向があります。

M&A・事業再生系コンサルティング

財務状況や経営分析の能力を活かして、M&A事業再生に関するコンサルティング業務に従事することも可能です。
企業の再生計画を策定し、経営改善のアドバイスを行い、事業の存続や成長を支援します。
特に事業再生は、社会的な意義を実感しやすく、稼働時間はハードですが他では得られないやりがいを感じられるコンサルティング業務です。
一般的な会計業務というより、ビジネスの戦略的要素が大きいだけに、課題解決の提案を得意とする公認会計士に向いているでしょう。

その他のコンサルティング

公認会計士の資格は、前述以外にもさまざまなコンサルティング分野でも活かせます。
金融機関では、法人向けコーポレートファイナンスや投資ファンドなどのコンサルティングが視野に入ります。
その他、戦略系やIT系、業務改善系といった切り口の異なるコンサルティングファームで活躍することも可能です。

一般事業会社

監査法人やコンサルティング業界に比べてワークライフバランスが保ちやすい一般事業会社は、ハードワークになりがちな公認会計士にとって近年人気のキャリアパスです。
選択肢は日系と外資系に大きく分かれます。

日系上場企業

日系上場企業では、会計のスペシャリストとして他部署と連携し、月次・年次の決算報告や内部統制の適正を確保する役割を担います。
経理財務や経営企画、内部監査・内部統制など、広義の会計領域を担う部門で、経理へ転職される方の割合が最も高いです。
経理では、単体決算や連結決算、開示業務などに携わります。汎用性のある決算スキルが身につくため、将来的に転職をする際にも選択肢が多くなるのが魅力です。
経営企画では、管理会計や予算策定、M&Aなどのプロジェクトを含む会計領域の経営戦略に携わります。企業の成長戦略に関与する働きとして、経営陣や投資家に対して適切な財務情報を提供することは公認会計士ならではの強みです。
内部監査・内部統制では、業務監査やJ-SOX関連に携わります。監査計画~往査~報告書作成という一連の流れは、会計監査と類似しているため、業務の流れを掴みやすいでしょう。
一般事業会社は、ジョブローテーションが行われる可能性があります。基本的には会計領域のジョブローテーションが想定されますが、総合職の場合は様々な部署で経験を積んでいくという道もあります。

外資系企業

外資系企業へのキャリアパスは、グローバルな環境で経験と専門知識を活かす絶好の機会です。
様々な国で事業展開している企業の場合、国際的な会計基準や法律の知識を活かし、決算~本国へのレポーティング・経営戦略・財務管理で重要な役割を担うことになります。また、国際的なチームでの業務や異文化コミュニケーションの機会を得ることもできるでしょう。
年収は日系上場企業と比較すると、高めの傾向にありますが、定年退職が早いことも特徴です。
語学力を活かしたい公認会計士にとっては、外資系企業での経験は将来的なキャリアの幅を広げるでしょう。

独立開業

公認会計士は、独立して会計事務所やコンサルティング会社を開業する道を選ぶこともできます。
クライアントの記帳代行~決算、税務申告や財務相談、経営コンサルティングなど、多様なサービスを提供することが一般的です。
独立開業にはリスクや責任が伴いますが、クライアントと長期的な関係を築き、自身の経営ビジョンを追求していくことも不可能ではありません。

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まとめ

公認会計士は、財務面での信頼と透明の確保に努め、企業経営の健全性を維持する上で欠かせない存在です。
企業や個人の経済活動において、非常に重要な役割を果たす仕事と言えるでしょう。

大半の公認会計士のファーストキャリアである監査法人では、業務の中心となる「監査」を通して、経営者との関わりや経験と学びの機会、自己成長の可能性など、さまざまなやりがいにつながるでしょう。
さらに、高度な専門知識を活かすことで、監査法人以外でも幅広いキャリアパスが見通せます。

社会的な責任を担いながら、経済への貢献する公認会計士は、「目指しがいのある資格」であることに間違いないでしょう。

この記事を監修したキャリアアドバイザー

齊藤 仁美

大学卒業後、幸せに働く人を増やしたいという想いから新卒でMS-Japanに入社。
上場企業を中心とした求人開拓から管理部門全般のマッチングを行い、2021年1月より専門性の高いJ事業部に異動。
主に会計事務所、監査法人、社労士事務所の担当を持ちながら士業領域での転職を検討している方のカウンセリングから案件紹介を両面で行う。

会計事務所・監査法人 ・ 公認会計士 ・ 税理士 ・ 税理士科目合格 ・ USCPA を専門領域として、これまで数多くのご支援実績がございます。管理部門・士業に特化したMS-Japanだから分かる業界・転職情報を日々更新中です!本記事を通して転職をお考えの方は是非一度ご相談下さい!

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