2017年12月01日

公認会計士の就職難は再来するのか?

管理部門・士業の転職

公認会計士の就職難は再来するのか?

2017年11月17日、平成29年度の公認会計士試験合格発表がありました。合格者は昨年度より123名増加し1,231名となり、その大半はBig4監査法人に就職するのではないかと見られています。一昔前のように、公認会計士試験に受かっても就職先がない、といった就職氷河期の様相は微塵も感じられないこの頃ですが、この状態はいつまで続くのでしょうか。
今回の会計トピックスでは、監査法人業界が売り手市場に転じた背景を振り返るとともに、いつまで売り手市場が続くのかについても予想してみたいと思います。

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公認会計士試験合格者の就職状況は絶好調

直近の3年間を見ると、新規の公認会計士試験合格者の就職状況は過去に類を見ない程好調だと言えます。特に、Big4監査法人の採用意欲は非常に高い状態が続いており、新規試験合格者に関しては、ほぼ青田買いの状態と言っても良いでしょう。また、準大手~中堅監査法人も常時人材の募集を行っており、新規試験合格者枠で採用が出来なかった分を中途採用で賄うという戦略を取っている状況です。したがって、現在の監査法人業界では、新規試験合格者=金の卵という認識になっていますので、公認会計士試験に合格すれば監査法人業界に就職することは難しくありません。このように売り手市場の状況であれば、就職のことは気にせず受験勉強に打ち込めるのではないでしょうか。

何故、売り手市場に転じたのか?

上記のように監査法人は圧倒的な売り手市場だと言えます。しかし、この状態は永年続くものなのでしょうか。その点について少し言及してみたいと思います。まず、現在のような超売り手市場になった背景には、リーマンショック後に監査法人が大規模なリストラを行っていたことが大きく影響しています。日本経済が低迷する中、クライアントからの監査報酬値下げの要求が相次いだこと、また上場維持コストを考えた際に非上場化するような企業も少なからずあったこと(監査契約の解除)、そして非監査業務の受注低下などが更に監査法人の収益を押し下げてしまったこと等、監査法人が経営難に陥ってしまったことで公認会計士のリストラを断行せざるを得なかったのです。要するに、数年前の監査法人は必要最低限の人数で業務を回していたことになります。
一方で、現在のように好景気に転じると、監査報酬の値上げ、非監査案件の受注増加などが自然と起こり、監査法人の経営は潤い始めます。そういった状況に加え、監査の厳格化がスタンダードになりつつある現在、現場の公認会計士にかかる負担(作業工数)も増加していますので、結果的に人材が足りなくなっているのです。従って、監査法人の人材不足が解消されるまでは、現在のような売り手市場が続くと考えられます。さて、本題に戻りますが、今後この売り手市場はいつまで続くのでしょうか。今後の見通しについて予測してみたいと思います。

2020年までは現状維持、それ以降は黄色信号か?

監査法人の採用市場は2020年までは堅調に推移していくことが予測されます。但し、今までのように爆発的な採用市場にはならず、監査法人も欲しい人材を精査しながら“冷静に”拡大路線を歩んでいくでしょう。と言うのも、現在、監査法人も就労環境の改善に取り組み始めており、単調な作業に関しては監査補助者を雇用し、極力現場の公認会計士にかかる負担を軽減させようとしている点、また監査にAIを取り入れ、より効率的に監査が進むように業務改善を試みている点など、現場にかかっている負担をどのように減らすかという議論を行っているからです。こういった施策が功を奏し、公認会計士の外部流出を軽減できれば、自ずと法人内の人材不足も解消されるでしょう。
また、2020年の東京オリンピック実施までは各業界もオリンピック特需で潤うかもしれませんが、その後、日本経済が安定して伸びていく保証はありません。もしかしたら、オリンピック後の日本にそこまで投資する魅力がないと判断されれば、海外の投資家は早々に投資(事業)を引き上げるかもしれません。
監査法人の就職及び中途採用の市場は経済状況とリンクしているため、これから公認会計士試験を受験される方は、経済の動きや世の中の流れにもアンテナを張っておくと良いでしょう。

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