法務管理職に必要なスキルとは?転職市場や平均年収、求人例とあわせて解説



法務の管理職を目指す際、法務担当者として企業内でステップアップしながら法務管理職となる場合もあれば、法務のスペシャリストとして転職を重ね、管理職になる場合もあります。
どちらも共通しているのは、通常の管理職で求められるマネジメント能力やリーダーシップ以外に、法務管理職には専門的な知識をはじめとする、法務職ならではの能力が要求される点です。
今回は、法務管理職となるために必要とされるスキルや、今日の法務担当者へのニーズ、そして法務管理職となった場合の想定年収などをご説明します。
法務管理職の求人例
管理部門・士業に特化した転職エージェント「MS Agent」では、法務の管理職を目指す人向けの求人をご紹介可能です。
どのような求人があるのかを確認することで、法務の管理職に必要なスキルや転職市場を知る事ができますので、一度ご確認ください。
法務マネージャー/AItechベンチャー/IPO準備
仕事内容 |
・契約審査 ・知財 ・紛争、訴訟 など |
必要な経験・能力 |
・7年以上の法務実務経験 ・3年以上の法律事務所勤務経験(弁護士) |
想定年収 |
800万円 ~ 1,200万円 |
法務部長/プレイングマネージャー/リモート&フレックス
仕事内容 |
・会社組織に関する法務業務 ・各種契約対応 ・個人情報保護法への対応 など |
必要な経験・能力 |
・7年以上の法務実務経験 ・弁護士有資格者 ・5名以上のマネジメント経験 |
想定年収 |
1,000万円 ~ 1,400万円 |
法務部長/老舗80年の東証プライム企業/平均勤続年数16.9年
仕事内容 |
・契約書の作成、審査(英文:和文=7:3) ・コンプライアンス ・紛争 など |
必要な経験・能力 |
・3年以上の企業法務経験 ・英語が得意な方または英文契約経験 |
想定年収 |
800万円 ~ 1,000万円 |
法務管理職の転職市場
新型コロナウイルスにより、2020年は多くの企業が採用計画を見直し、法務職を含む求人そのものが減少しました。
しかし、2021年以降、社会や経済活動が徐々に正常化していくに伴い、法務職の求人は再び増加傾向にあります。
大手企業や中小企業・スタートアップに限らず、規制強化や企業倫理への関心の高まりにより、法務部門の役割がますます重要視されています。
企業規模別の転職市場は以下のとおりです。
大手企業
大手企業では法務管理職に対する需要が安定的に高く、とくにグローバル化やコンプライアンスの強化に伴い、経験豊富な人材が求められる傾向にあります。
求人では魅力的な条件が提示されることも多く、候補者間の競争が激しくなりやすい状況です。
昨今、とくに重視されているのは国際法務です。
グローバル市場での事業展開に伴い、国際取引やクロスボーダーの法務対応が増加しています。
TOEICなど英語力を証明できると、転職で有利になりやすいでしょう。
また、大手企業の法務管理職への転職では、マネジメント能力も重要です。
大規模な法務チームを統括し、業務を円滑に進めるためのリーダーシップを発揮できる人材は、大手企業で活躍しやすいでしょう。
弁護士資格などを持っていると、さらに有利です。
海外取引では、取引相手や規制当局とのトラブルが発生するリスクがあります。
弁護士資格を持つ法務担当者が社内にいることで、訴訟や仲裁などの対応ができるため、大手企業では重宝されるでしょう。
中小企業・スタートアップ
中小企業では、法務管理職に対して幅広い役割が期待されます。
大手企業とは異なり、法務部門が小規模または未整備の場合があるためです。転職では、法務業務全般を一手に担う、リーダーシップが求められます。
スタートアップでは、法務部門そのものが未整備であることが多く、法務管理職が制度構築や業務プロセスの整備をゼロから担うことになります。
自身の裁量が大きくなるだけでなく、事業全体を理解しながら法務体制を構築しなければなりません。
大手企業と異なる点として、ポテンシャルを見て採用してもらえる可能性があることも特徴的です。
中小企業・スタートアップはIPO(新規公開株)の選択肢もあるため、それに伴って人材を募集することになり、法務経験が浅い人材でも採用することがあります。
法務管理職への転職で必要なスキル
現在大企業に限らず、中小企業でも法務部門が設置されています。
背景には、ガバナンスやコンプライアンスが年々厳しくなるなかで、企業内で法務の重要性が高まっている点、変化の激しい今の時代においてM&Aや組織再編を行う会社も増え、新たな法的リスクに対応すべく法務機能を強化する、等が挙げられます。
そこで法務管理職にも、以下に挙げるような能力やスキルが必要になります。
ハイレベルで幅の広い法務知識
メンバーや経営陣とコミュニケーションを図りながら、法務総務部門の方針や目標を確認・整理したり、新規事業やM&A応じたリスクアドバイスなどを行ったりします。
ビジネスサイドと伴走した法的支援、法的トラブルの対処など、法務管理職に求められる業務遂行能力はいずれも高度で幅広いものです。
企業に関わる業界知識
法務管理職は、自社の事業と法令の間に立って、ベストなソリューションを導き出すことが求められます。
特殊な事例などは顧問弁護士に相談もしますが、出てきたアドバイスを元に、最終的な判断やアドバイスを行うのが法務管理職です。
自身が勤務する企業について、その会社が取り組んでいる事業・業種への理解を深め、どういった法令が関わってくるか、どのようなリスクが発生するか把握しておくことも重要な要素となります。
語学力
海外企業との取引がある場合、ビジネスレベルでの語学力があったほうが有利です。
また、海外の法律に精通していることも大きなアピールポイントになるでしょう。
最近は海外投資家から資金調達を行う会社もあり、海外取引がない会社でも英文契約が出てくる場合があります。
コミュニケーション能力
法務管理職は社内の各部門とのやりとりの他、取引先や法律事務所などとも緊密なコミュニケーションをとる必要があります。
とくに法律に関する業務には厳格さが求められるため、粘り強く相手側と交渉する能力も必要になるでしょう。
こうした能力・スキル以外にも、法務部門を立ち上げた経験を持つなど、特別な経歴があれば転職に有利に働くかもしれません。
法務管理職の選考基準
企業が法務管理職の採用を検討する場合、求職者のどこに着目しているのかについては、ある程度の実績を重ねてきた、40〜50代の法務経験者が身に着けているであろうスキルが参考になるでしょう。
たとえば、以下のような業務経験を持っていることが、重要な選考基準になりえます。
- ・契約や取引に関する法務全般の経験
- ・株主総会や取締役会に関わる法務の経験
- ・コンプライアンスや社内規定の策定に関わった経験
- ・取引先などとの法的トラブルに対応した経験
- ・部下のマネジメント経験
これらの経験以外にも、内部統制プログラムの構築に関わったり、リスクマネジメント業務に携わったりした実績があると、企業側でも貴重な人材として評価してくれる可能性があります。
さらに、転職に必要な能力とスキルの項目でも紹介したように、実務経験にプラスして幅広い知識を有していることも重要です。
同時にそれを活かして相手側と交渉するための、高いコミュニケーション能力の有無も重要な選考基準になるでしょう。
また現在のビジネス環境では、各部門のリーダーが直接企業経営に関わるシーンが増えてきました。
とくに法務管理職は経営者に近いところで働くため、経営的な視点を持つことも高く評価されます。
経営戦略を立案する上でも、企業内の業務を守るだけの人材ではなく、攻めの姿勢で法務を実行できる法務管理者を、多くの企業が欲しがっているのです。
法務管理職の平均年収
法務管理職の年収は、経験年数や役職、企業規模などによって大きく異なります。
まずは、2023年に「MS Agent」に登録のあった法務経験者現年収を年代別に見てみましょう。
年代 | 年収 |
---|---|
30代 | 536万円 |
40代 | 696万円 |
50代以上 | 885万円 |
全年代 | 650万円 |
上記のデータから、年齢とともに年収が増加していることがわかります。
次に、法務管理職について見てみましょう。平均年収は以下の通りです。
国内企業 | 課長クラス | 部長クラス |
---|---|---|
平均年収 | 600~900万円 | 1,000~ 1,300万円 |
外資系企業 | マネージャー クラス |
ディレクター クラス |
---|---|---|
平均年収 | 1,200万円前後 | 2,000~ 2,500万円 |
なお、2023年の1年間に募集された管理部門・士業の職種別マネジメント求人のうち、「法務」に該当するものの想定平均年収は、754万円となりました。
スタッフ層との平均年収と比較すると、約100万円の差があります。
管理職は、チームの統括や戦略的な意思決定、他部門との調整など、より高度なマネジメント能力が求められます。
その分、スタッフ層よりも報酬が高く設定されているのが一般的です。
昨今では企業がコンプライアンス遵守の強化などを急速に進めている背景もあり、専門的な知識・スキルを持つ人材の需要が高まっています。
また、国内企業よりも、外資系企業の法務管理職のほうが、平均年収が高い傾向にあるのも特徴です。
法務管理職への転職成功事例
上場プライム企業のマネジメント職への転職事例

Nさん(30代前半/男性)
IT企業/非上場


IT企業/プライム上場
Nさんは非上場のIT企業で法務を経験されていましたが、キャリアアップを目指し、「より規模の大きな企業でマネジメントに挑戦したい」という目標を持つようになりました。
今回の転職では年収アップも希望しており、その両方を実現するために転職活動を始めています。
最初はマネジメント職や管理職ポジションを中心に応募しましたが、競争率が高く、書類選考の段階で苦戦しました。
そこで、目標達成のステップを見直し、「マネジメント職の一歩手前」であるリーダー職に注目しました。
リーダー職であれば、後輩の指導やチーム運営を経験しながら、マネジメントの素養を身に付けられるためです。
求人のターゲットをリーダー職に切り替えることで、選考通過率が向上しました。
このアプローチにより、現職より規模の大きな企業で、さらに年収アップを実現することができました。
ベンチャー企業の法務マネージャーへ転職

Mさん(40代前半/女性)
大手メーカー/法務メンバー


ベンチャー/法務マネージャー
Mさんは大手メーカーで働かれていましたが、「縦割りの組織構造による柔軟性やスピード感の欠如」「マネジメント職に就くことの難しさ」といった課題を感じていました。
より裁量を持ちながらマネジメントスキルを磨ける環境への転職を目指して、転職活動を決心されました。
さらに今回は、ワークライフバランスも考慮した転職を希望されていました。
Mさんは、裁量権を持ちながらマネジメント経験を積むことを第一の目標に掲げました。
しかし、大手企業では裁量権のあるマネジメントポジションが少なく、転職の方向性に悩む状況にありました。
そこで、100名規模の新興上場企業に注目し、プレマネージャー(マネージャー候補)として裁量を持ちながら働ける環境に絞り込むことになりました。
経験を活かせる同業界を中心に選考を進め、その結果、グロース上場している100名規模のベンチャー企業にマネージャーとして入社することが決定しました。
まとめ
現在、法務部門の求人は豊富で、転職希望者にとってキャリアアップのチャンスが広がっています。
大手企業や中小企業・スタートアップで求められることは異なるため、それぞれの業務内容や特徴を正しく把握し、求人条件を慎重に見極めることが重要です。
法務管理職に求められるのは、経験や法務知識だけではありません。
各業界への理解や英語力に加え、コミュニケーション能力や経営に関わるスキルなど、さまざまな能力が必要です。
転職成功事例などを参照し、転職活動のイメージを膨らませておくとよいでしょう。
転職先ごとの情報を収集し、効率よく転職活動を進めるためには、専門家のサポートを活用することが効果的です。
ぜひ一度、MS Agentにご相談ください。
- #法務管理職
- #法務部長
- #CLO


この記事を監修したキャリアアドバイザー

大学卒業後、旅行代理店にて法人営業を約3年。20代でMS‐Japanへ入社。
企業の採用支援(リクルーティングアドバイザー)を約8年、求職者の転職支援(キャリアアドバイザー)を約5年経験。
両ポジションでチームマネジメントを経験し、キャリアアドバイザーとしては複数回にわたり支援実績数NO1を獲得。リクルーティングアドバイザーにおいても入社1年半後にチームマネジメントを経験させていただきました。現在は子育てと両立しながら、常に社内でトップ10以内の採用支援実績を維持。
経理・財務 ・ 法務 ・ 役員・その他 ・ IPO ・ 公認会計士 ・ 弁護士 を専門領域として、これまで数多くのご支援実績がございます。管理部門・士業に特化したMS-Japanだから分かる業界・転職情報を日々更新中です!本記事を通して転職をお考えの方は是非一度ご相談下さい!
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