2024年04月22日

建設業経理士って?試験概要や合格率、日商簿記との違いも紹介!

管理部門・士業の転職

建設業界の経理を目指している方は、「建設業経理士」という資格を目にしたことがあるでしょう。
しかし、日商簿記などと比較して認知度の低い資格であるため、資格の概要や取得のメリットなどがよく分からない方も多いのではないでしょうか。
この記事では、建設業経理士試験内容や試験日程、取得するメリットなどを解説します。

建設業経理士(建設業経理事務士)とは

建設業経理士は、一般社団法人建設業振興基金が行っている「建設業経理検定試験」に合格した人のことを指します。
資格取得者は、建設業における専門会計知識・会計処理能力を持つ人材として評価されます。
平成19年3月11日以前の試験に合格した人は「建設業経理事務士」と呼ばれますが、名称が異なるだけで扱いは同じです。

一般的な企業の経理は、完成したモノを売る・売るためのモノを作る部分について仕訳を行い、企業のお金の流れを記録します。
経理資格として最も認知度の高い日商簿記では、2級で商業簿記・工業簿記、その後1級では原価計算・会計学について学びます。

対して、建設業経理士は、建設業に特化した経理知識を問われる試験です。
建設業では、完成した商品を販売するのではなく、仕事を受注してから工事が始まり、お金が動くのが基本となります。 そのため、会計処理が特殊であり、経理担当者は、独自のルールと専門用語を理解した上で会計処理を行う必要があります。
建設業経理検定試験に合格することは、建設業に精通することも意味しているのです。

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建設業経理士検定試験の概要

まずは、建設業経理士検定試験の概要をご紹介します。

試験内容

検定試験は、内容や難易度によって1〜4級に設定されており、出題範囲が異なります。
1級を取得するには、財務諸表原価計算財務分析の3科目すべてに合格しなくてはなりません。

出題範囲
1級 財務諸表および財務分析、
建設業原価計算
2級 建設業に要する簿記、原価計算、
会社会計
3級 建設業に要する簿記、原価計算
4級 簿記の仕組み

受験資格

建設業経理士検定試験には受験資格はなく、誰でも試験を受けられます。
ステップアップ形式の検定ではなく、最初から2級、1級の受験も可能です。ただ、同日に1級とほかの級を受験することはできません。

試験スケジュール

試験
スケジュール
上期 下期
試験日程 9月 3月
受験階級 1・2級 1~4級
申し込み期間 5月中旬~
6月中旬
11月中旬~
12月中旬
受験票発送 8月中旬 2月中旬
合格発表 11月 5月

上記は例年のスケジュールのため、正確な申し込み期間や試験日などは公式サイトでご確認下さい。

受験料

級・科目数 受験料
1級(1科目) 8,120円
1級(2科目同時) 11,420円
1級(3科目同時) 14,720円
2級 7,120円
3級 5,820円
4級 4,720円

参照:一般社団法人建設業振興基金 建設業経理士検定試験

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建設業経理士検定試験の合格率や難易度

試験の合格ラインは正答率70%が目安です。
以下で、令和5年の3月に実施された3・4級と、9月に実施された1・2級の受験者数と合格者数、合格率をまとめました。

科目 受験者数 合格者数 合格率
1級 財務諸表 1,425人 561人 39.4%
財務分析 1,224人 489人 40%
原価計算 1,478人 296人 20%
2級 8,985人 3,796人 42.2%
3級 1,845人 1,229人 66.6%
4級 183人 138人 75.4%

4級と3級は合格率が高いものの、2級になると50%を切る数値です。1級も原価計算は15〜24%前後と合格率は低く、難易度の高さがうかがえます。
勉強時間の目安は、3級なら3〜5カ月程度、2級は2〜8カ月、1級は半年から1年程度を見ておきましょう。もちろん、もともとの知識量やスキル、学習方法などによって勉強時間は大きく変わります。

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日商簿記との違いとは?

経理資格として認知度の高い日商簿記との違いは、建設業の経理に特化している点です。
建設業経理士では、未成工事支出金など建設業独特の勘定科目が用いられているほか、時間の捉え方なども異なります。

しかし、日商簿記の知識がまったくない状態で建設業経理士検定試験を受験することは、あまりおすすめできません。まずは、日商簿記で簿記の基本知識を習得した上で、建設業経理士にチャレンジしてみましょう。
日商簿記は他分野でも活かせる汎用性の高い資格であるため、ダブルライセンスがおすすめです。

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建設業経理士を取得するメリットは?

ここでは、建設業経理士を取得するメリットを解説します。

建築業界の経理へ転職する際に有利

建設・建築業界の経理業務は、業界特有の専門的な知識と特殊な会計処理が求められます。
建設業経理士を取得していれば、建設業界における経理の実務を問題なくこなせるスキルを有しているとみなされるため、建設業経理への転職活動で高く評価されるでしょう。

1級・2級は経営事項審査の加点対象に

経営事項審査とは、公共工事の請け負いを希望する企業が受ける審査です。経営状況や技術力などさまざまな部分が評価、審査されます。
審査項目に建設業経理士1級・2級有資格者の人数が含まれるケースが多く、評価ポイントが加算されるため、公共工事を担う企業では建設業経理士のニーズが高い傾向です。

資格手当や昇給がある可能性も

建設業経理士の1級・2級は難易度が高く、取得していれば稀有な人材とみなされます。建設業経理士に資格手当を設けている企業も多いようです。
また、資格取得の過程で得た知識を実務に活用でき、キャリアアップした結果、昇給につながる可能性も高いでしょう。

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建設業経理士の取得に関する注意点は?意味ないって本当?

次に、建設業経理士を取得する際の注意点を解説します。

勘定科目が特殊で慣れるまでに時間がかかる

建設業経理士の試験では、完成工事未収入金や未成工事支出金、工事未払金、完成工事原価、完成工事高など建設業の経理特有の勘定科目が出題されます。
そのため、日商簿記の知識がある方でも、対策せずに合格することは難しく、慣れるまでには時間がかかるでしょう。

2級以上は5年ごとに講習の受講が必須

建設業経理士1級・2級は、資格取得後5年ごとに「建設業経理士CPD講習」を受け、講習内の試験に合格する必要があります。試験に合格できなければ、経営事項審査の評価対象とならないため注意が必要です。
講習は、オンライン講習と、映像を用いた会場講習、対面形式での会場講習があります。

建設業界以外では評価されない場合も

試験勉強中に、「建設業経理士は意味がない」という声を耳にしたことがある人も多いでしょう。
これは、建設業経理士が建設業の経理に特化した資格であるため、建設業以外の業界では正当に評価されないケースがあることが理由です。
建設業以外の業界で働く可能性がある方は、日商簿記を優先した方が良いでしょう。

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建設業経理士の有資格者が転職を成功させるコツは

建設業経理士の有資格者が転職を成功させるコツは

建設業経理士の資格を取得すれば、建設業や建築業、土木業などへの転職活動を成功させる可能性が高まります。
前述した通り、公共工事を担う企業では、応募先企業の人員体制によっても転職成功率が大きく左右されるでしょう。

一般的に経理の求人は、繁忙期である決算期の前である1〜2月に増える傾向があります。そのため、1〜2月に転職活動を始められるように準備することが重要です。
また、応募書類や面接で転職理由を伝える際は、ネガティブな理由ではなく、ポジティブな理由を言い換える必要があります。「会社に不満があった」ではなく「会社は素晴らしかったものの、もっと成長とチャレンジができる職場で働きたかった」など、前職の評価を下げる発言は避けましょう。

そのため、建築業経理士の資格を活かした転職活動を行う際は、応募先企業の事情に詳しい転職エージェントの利用もおすすめです。 建設業や経理に精通した転職エージェントであれば、希望に近い求人の紹介だけでなく、建設業界の特徴や転職市場動向を踏まえた転職サポートを提供しています。
弊社MS-Japanが提供する「MS Agent」は、経理をはじめとする管理部門・士業特化型エージェントとして30年以上の実績があり、経理に精通したアドバイザーとのキャリア相談サービスもあります。
応募書類の添削や面接練習、非公開求人を含む求人の紹介なども提供しているので、是非無料会員登録の上活用してみてください。

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建設業経理士の資格を活かせる求人例

ここでは「MS Agent」が取り扱っている、建設業経理士取得者向けの求人を一部ご紹介します。

■東証プライム上場企業の100%子会社より、経理管理職の募集!

仕事内容
・経理業務:日次、月次、四半期・年度末決算業務、財務諸表作成、連結決算、予算管理、会計監査対応など
・税務業務:申告書作成、支払調書作成、税務調査対応など
・企画業務:中期経営計画等の経営計画策定補助、目標数値管理
必要な経験・能力
<必須>
・経理もしくは税務経験5年以上
・日商簿記2級以上もしくは建設業経理士2級同等の資格をお持ちの方
・PCスキル(Excel、Word)
・何らかの会計ソフト使用経験者
<歓迎>
・ERP(SAP等)経験者
・管理職のご経験をお持ちの方
想定年収
504万円~633万円

■離職率3%以下/リモートワーク可/年休130日/大手上場子会社、ゼネコンでの経理財務求人!

仕事内容
・決算業務並びに財務諸表作成業務
・業績予想管理
・資金管理業務
・税務申告
・税務調査対応 など
必要な経験・能力
<必須>
・経理または財務経験(目安5年以上/業界・企業規模不問)
<歓迎>
・税務調査対応の経験を複数回お持ちの方
※2~3年に一度の税務調査では調査官への対応も担って頂きます。
・以下の資格をお持ちの方
(建設業経理事務士検定・日商簿記検定3級・公認会計士試験合格者)
想定年収
540万円~825万円

まとめ

建設業経理士は、建設業に特化した経理スキルを習得できる資格です。
1級・2級の難易度は高いものの、取得によって転職の成功率が高まるたけでなく、資格手当や昇給で年収アップにつながるなどのメリットもあります。また、企業側にとっても経営事項審査の加点対象となるため建設業経理士有資格者は高く評価されます。
建設業の経理で活躍したいのなら、資格の取得を前向きに検討してみましょう。

この記事を監修したキャリアアドバイザー

楢本 裕也

大学卒業後、リクルート広告代理店に新卒入社し、中小企業、飲食・小売店などに向け、求人広告営業に従事。
その中で、実際に転職をされていく方などの生の声や気持ちの変化・実情などを知りたいと考え、MS-Japanに入社。
その後はキャリアアドバイザーとして、主に20代~30代の経理財務・会計事務所スタッフを中心に担当する。

経理・財務 ・ 会計事務所・監査法人 ・ 税理士科目合格 ・ USCPA を専門領域として、これまで数多くのご支援実績がございます。管理部門・士業に特化したMS-Japanだから分かる業界・転職情報を日々更新中です!本記事を通して転職をお考えの方は是非一度ご相談下さい!

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