「長く働ける安定した会社」とは何か

誰もが希望する「長く働ける安定した会社」

転職を考える方の殆どが、「今回を最後の転職にしたい」と考えています。また、殆どの方が「1社で長く働きたい」と口を揃え、そのために「長く安定して働ける会社へ行きたい」と続けます。
しかし、キャリアアドバイザーの立場からは、採用企業が目指すもの・乗り越えるべき課題・解決策がわからないまま、「長く働ける」と聞いただけで判断するのは少し早計かとも思えます。
そもそも、業務が円滑に行われていて従業員が充足し年収水準も高い環境は、あまり中途採用の募集をかける必要がありません。マンパワー不足など、何かしらの課題を抱えるところだけが、中途採用の募集をします。一体、長く働ける会社のポイントとはどんなところにあるのでしょうか？
そこで今回は、長く働ける会社とは何か、少し考えてみたいと思います。

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いつから「長く働ける安定した会社」一辺倒になったのか

まず、いつから「長く働ける安定した会社」が熱望されるようになったのでしょうか。東京を拠点として10年以上、キャリアアドバイザーを続けていると、いつ頃から安定志向が台頭してきたのか、気付く節があります。
IPOに沸いた2005年は、多くの方が成長中のベンチャー企業を志向されていましたが、2008年のリーマンショックから、不景気を背景に安定を望む声は強くなりました。特に、首都圏で安定志向が強調されるようになった分岐点は、東日本大震災以降かと思います。それまでの景色が一瞬で変わってしまう恐怖を、生々しく体感したからこそ、変化が少ない安定感を強く望む声が増えたように感じます。特に、20代～30代前半の若手が極端に安定志向に走る傾向も、2011年以降から目立つようになったと感じます。

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「長く働ける安定した会社」を見極めるには

転職したい方が「次は安定した仕事をしたい」と望むのは当然だと思います。大切なのは、何があれば安心出来るのか、その環境は本当にベストなのか、一人一人がご自身にとって最適な選択をすることです。
例えば、知名度や会社規模と、企業の業績や安定感とは別物です。「企業は生き物」とも言われるように、どんな有名企業でも、状況や環境は常に変化します。また、知名度が高く業績好調な企業は一握りで、そのような企業は採用ハードルが高く設定されています。今この転職で、選べる選択肢の中からベストな選択をするためには、何を安心材料と考えるのか、ご自身で判断して頂くことが肝要です。
転職の動機は、大きく分けると、時間、給料、遣り甲斐、人間関係に分けられます。動機に基づいて、具体的に考えて頂けると、ご自身にとってどんな会社が「長く働ける会社」なのか、見えてきやすいと思います。ブランドやイメージに惑わされず、面接など選考を通して、しっかりと観察し、ご判断頂ければ幸いです。

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「長く働ける安定した会社」に頼らない安定志向

専門職の方が職業の安定を望む場合、「安定した環境に頼る」か、「どこでも仕事が出来るようになる」かのどちらかだと思います。前者を選ぶ場合、現在の日本で叶えられるのは公務員くらいです（公務員の方にも独特の苦労はありますが）。
しかし、管理部門は業種を越えた専門職ですので、後者を選ぶことが出来ます。実務経験年数、スキルの高さ、実績次第で、万が一転職を考える事態になっても、再就職が可能になります。ご自身で力をつけることが、職業の安定に繋がる、環境に頼らない強さを身に着けることが出来る職種です。1社で長く働くことが最上の選択ですが、万が一の事態に備えて力をつけておくことも、安定を得るための一つの手段かと思います。

「長く働ける安定した会社」を選ぶために大切なのは、ご自身にとって何が優先される事なのかを具体的にし、何が「長く働ける安定した会社」の要素になるのかを考えて頂くことです。
1人で考えてもなかなか具体化できない方は、ぜひ一度ご相談ください。転職活動中の方、これから転職活動を考える方の参考になれば幸いです。

（文／チーフキャリアアドバイザー　小林典子）