2024年04月04日

監査法人からFASへ転職!会計士のキャリアの選択肢を紹介!

管理部門・士業の転職

監査法人からの転職先として、FAS(ファイナンシャル・アドバイザリー・サービス)は人気が高い選択肢です。
M&Aが活発に行われるようになっている近年、大手および中小・独立系FASが、監査法人出身の会計士人材を積極的に採用しています。
この記事では、監査法人からFASへ転職するために必要なスキル年収などについて見ていきましょう。

FASについて

まずはFASについて簡単に紹介します。
FASとは、Financial Advisory Serviceの略で、財務関連のコンサルティング業務に特化したコンサルティングファームのことを指します。具体的には、M&A支援企業再生支援フォレンジックなどのサービスを行っています。

FASは大きく分けて、「BIG4系FAS」「独立系FAS」「税理士法人系FAS」の3つに分かれているため、転職する際はまず構造を理解する必要があります。

BIG4系FAS

Big4と呼ばれる「EY(アーネスト&ヤング)」「デロイト(デトロイト・トウシュ・トーマツ)」「PwC(プライスウォーターハウスクーパース)」「KPMG」の系列に属しているFASで、主に上場企業や多国籍企業などの層を対象にサービス展開しています。

BIG4系FASの特徴は、クロスボーダー取引などの大きな案件に関わることができることです。
また、業務ごとに部門が縦割りになっていることが多いため、短期間で高い専門性を身に着けることができます。

また、縦割りではありますが、数年スパンで内部異動も可能なので、1つずつしっかりと業務経験を積みながら、会計士としての経験値を高めることができます。
尚、Big4系のFASでも組織体制は様々なので、入社当初から幅広い業務に携われるケースもあるため、各法人の詳細は転職エージェントなどに確認してみるといいでしょう。

独立系FAS

BIG4以外の国内ファームで、小~中規模のクライアントを中心にサービスを展開しています。
対象となるクライアントに合わせて、専門分野に特化したサービスを提供しているFASもあります。

独立系は、大手FASとは異なり、少数精鋭で専門性の高いサービスを提供しています。中小規模の顧客が中心となるために、案件全体を俯瞰してみることが可能となります。
また、業務が縦割りになっておらず、財務会計、税務、経営などについて総合的に経験を積むことができます。
将来独立を考えているのなら、独立系FASへ転職することも選択肢の1つとなるでしょう。

税理士法人系FAS

公認会計士や税理士が運営する会計事務所の中には、顧問先に付帯サービスとして比較的リーズナブルな価格でサービスを提供していることもあります。

主に監査法人から転職する場合は、Big4系FASか独立系FASへ転職する方が多いですが、税理士法人系FASのメリットとしては、母体となる税理士法人で税務関連業務の経験を詰めるケースが多いことです。
将来、会計事務所などを開業したいと思っている方には、税務業務の経験を積みながら、FAS等の会計士としての強みを活かしやすい案件の経験も積めるため、目的によっては一石二鳥の選択肢とも言えます。

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FASでの仕事内容

FASとは、会計および財務に関するアドバイスとコンサルティングを行うことです。具体的な業務は次のようになります。

財務デューデリジェンス

財務デューデリジェンスとは、M&Aを行う際に対象企業の財政状態や経営状態、資金繰りなどについて調査を行い、不正な取引や経理処理がないかを確認することです。
まず基礎資料を入手した上で案件概要を把握し、ミーティングで調査範囲と手続きを決定、詳細な資料を入手して分析、報告書を作成する流れとなります。

この流れを見るとわかるように、財務デューデリジェンスの作業内容は、監査業務と親和性が高いことが分かります。
したがって、この財務デューデリジェンスは、監査法人出身の公認会計士にとって、自分の経験を最大限に生かすことができる業務であるといえます。

バリュエーション(企業価値評価)

バリュエーションとは、M&Aに際して対象企業の価値評価を行うことです。
財務デューデリジェンスが主に過去から現在の財務分析をすることに対し、バリュエーションでは将来のキャッシュフロー計画を分析します。

将来の財務分析を大きく扱うわけではない会計監査と比較すると、バリエーションは「やや異なった業務」といえるでしょう。
したがって、監査法人出身の会計士は、まず財務デューデリジェンスからFAS業務に関わり、バリュエーションにも幅を広げることが多くなります。

ファイナンシャルアドバイザリー

ファイナンシャルアドバイザリーは、M&Aの戦略策定から実行後のサポート(PMI等)までを総合的に扱うM&Aアドバイザリーサービスです。

以上が、FASのM&A関連の基本的な業務内容となります

フォレンジック

企業の不正会計などが発覚した際には、第三者委員会を立ち上げ、内部調査を行うことが一般的です。
フォレンジックとは、上記のようなケースにおいて、関係各所に聞き取り調査などを行い、不正や横領などの証拠を発見し、法廷で証拠として使用できるよう情報分析を行うことです。
また、不正が行われていた場合には、正しい会計を行う必要があるため、過年度の影響額を調査し、修正する「過年度遡及修正」を行う必要もあります。過年度遡及修正は企業の内部だけで行うことは極めて難しいため、FASなどの専門家集団に依頼をし、正しい財務諸表に修正してもらう必要があるのです。

さらに、不正会計が再度発生しないように、内部統制を強化する必要があるため、フォレンジックとJ-SOX対応はほとんどセットといってもいいでしょう。
内部統制は会計士の得意分野なので、監査法人で培ってきた経験も活かせます。
最後に不正の原因・影響・再発防止策などを調査報告書としてまとめるまでが、フォレンジックの基本的な流れです。

企業・事業再生支援

その名の通り、経営状態が苦しい企業・事業の再生を支援する業務です。
クライアント企業の財務諸表を精査し、会社の収益性やリスク、成長性などを分析し、事業再生計画を立案することがメインの業務です。
FASは基本的には財務面の再構築を目的としていますが、経営を立て直すには財務に詳しいだけでなく、その企業のビジネスモデルについても深い知見が必要となるため、経営全般に見なければなりません。

また、最近のトレンドとしては、財務の再構築だけでなく、支援した企業がその後成長していくために、企業の戦略・オペレーションも見直す「オペレーショナル・リストラクチャリング」も併せて支援するケースが多くなっています。

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監査法人からFASに転職するために必要な資格とスキル

公認会計士・税理士

FASへの転職に必要な資格というものはありません。
しかし、公認会計士税理士資格の試験範囲とFASでの業務は重複する内容が多く、監査法人で経験を積んできた公認会計士はFASへの転職に有利と言えます。
また、特に企業再生においてはクライアント企業は中小企業が対象となるケースも多いため、税理士としてこれまで中小企業支援に携わってきた方も、活躍できるフィールドです。

USCPA

USCPAも監査法人からFASへの転職に有利になる資格の1つです。
USCPAは日本で公認会計士を名乗ることは出来ず、会計士の独占業務も行うことが出来ないため、監査法人での業務が限られています。
しかし、USCPAならではのグローバル基準の会計知識英語スキルはFASで非常に活かせるため、特にクロスボーダー取引などがあるBig4系FASへの転職に有利です。

コンサルティングスキル

監査法人では監査業務がメイン業務であるのに対して、FASでは財務デューデリジェンスなどコンサル業務がメインになります。
その為、クライアントの課題を解決する論理的思考力や解決策を提案するプレゼン力などのコンサルティングスキルが求められます。

M&Aに関する知識

FASでの業務は基本的にM&Aに関する業務のため、M&Aの知識を有しているとFASへの転職に有利になります。
監査法人でのM&A業務があると知識の証明になります。

監査法人からFASへの転職で年収はどうなる?

監査法人からFASに転職する際、年収は気になるポイントでしょう。

大手監査法人系FASの年収は、30歳前後で700万円~900万円程が目安です。
また、職能ランク別の年収は以下のようになっています。

職能ランク 想定年収
アナリスト 500~700万円
シニアアナリスト 700~1,000万円
ヴァイスプレジデント 1,000~1,500万円
シニアヴァイスプレジデント 1,200万円~
パートナー 2,000万円~

中小・独立系FASの場合は、30歳前後で600万円~800万円程が相場となります。

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監査法人からFASへの転職成功事例

監査法人からFASへの転職で年収もキャリアもアップ!

Iさん

Iさん(30歳・女性)資格:公認会計士

中堅監査法人
年収:450万円

矢印 矢印

Big4監査法人系列FAS
年収:600万円


大学卒業後、公認会計士試験に合格し、中堅監査法人に就職したIさん。中堅と大手では年収に大きな差があることに気づき、年収・キャリアアップのためにBig4への転職を検討し始めました。
キャリアップを考えると、出遅れたIさんがBig4監査法人で一から監査業務を経験することは必ずしもプラスにならないと判断され、より経験の幅を広げることができるFASにチャレンジすることにしました。

監査のみの経験だったIさんですが、選考の決め手となったのは学生時代から得意だった英語力です。
無事Big4監査法人系列のFASへの転職を決め、年収もアップしました。

独立までのキャリアステップとしてFASに転職!

Aさん

Hさん(20代後半・男性)資格:公認会計士

大手監査法人
年収:750万円

矢印 矢印

中堅コンサルティングファーム
年収:700万円


公認会計士として大手監査法人に就職し、インチャージまで経験したAさん。
30代半ばまでに独立するという明確な目標の為に、本格的な転職活動の1年以上前からMS Agentにご登録いただき、定期的にキャリアアドバイザーとの面談を繰り返されてきました。

転職活動では、生活水準が守れるラインまでであれば年収を下げても良いとのご判断で、やりたいこと進みたい方向性を最優先に活動されました。
その判断が功を奏し、見事応募したコンサルティングファームから内定を得られ、入社後は最速でマネージャーへ昇格されるなどご活躍されています。

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監査法人の経験を活かせるFASの求人事例

独立系会計ファームから未経験可の会計士求人

想定年収
750万円 ~ 1,000万円
仕事内容
・財務報告目的のバリュエーション支援
・取引目的/資金調達目的のバリュエーション支援
・財務/ビジネスデューデリジェンス
必要な経験・能力
監査法人で目安3年以上監査の経験をされている公認会計士の方

少数精鋭コンサルファームのコンサルタント求人

想定年収
600万円 ~ 1,600万円
仕事内容
・経営支援
・IPO / 資金調達支援
・M&Aアドバイザリー
・各種デューデリジェンス
・事業再生 / 法的私的整理
必要な経験・能力
・公認会計士(監査法人経験のみの方でも可)
・ 一定の会計、税法、会社法などの素養のある方
・ 各種コンサルティング業務の実務経験を有する方、又は興味のある方

監査法人からFASへの転職は転職エージェント

本記事では、監査法人からの人気の転職先の1つであるFASについて解説してきました。
特に監査法人で経験を積んだ公認会計士やUSCPAの方は、経験やスキルを十分に活かせるキャリアのため、おすすめです。
MS-Japanが運営する管理部門・士業に特化した転職エージェント「MS Agent」では、公認会計士の様々なキャリアを応援するサポートを行っています。キャリアの相談から転職サポートまで全て無料でご利用いただけますので、ぜひご相談ください。

この記事を監修したキャリアアドバイザー

佐藤 颯馬

大学卒業後、新卒でMS-Japanに入社。
法律事務所・会計事務所・監査法人・FAS系コンサルティングファーム等の士業領域において事務所側担当として採用支援に従事。その後、事務所側担当兼キャリアアドバイザーとして一気通貫で担当。

会計事務所・監査法人 ・ 法律・特許事務所 ・ コンサルティング ・ 金融 ・ 公認会計士 ・ 税理士 ・ 税理士科目合格 ・ 弁護士 を専門領域として、これまで数多くのご支援実績がございます。管理部門・士業に特化したMS-Japanだから分かる業界・転職情報を日々更新中です!本記事を通して転職をお考えの方は是非一度ご相談下さい!

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