2024年01月23日

日商簿記1級は意味ないと言われる理由は?取得するメリットを解説!

管理部門・士業の転職

簿記1級の取得を検討している段階で、「日商簿記1級は意味ない」という風評を知り、取得を思いとどまっている方も多いでしょう。
簿記1級は「会計のスペシャリスト」として知られる資格にもかかわらず、なぜそのような否定的な評価があるのでしょうか。

この記事では、「日商簿記1級は意味ない」と言われる理由に着目しつつ、取得するメリットも解説します。
簿記1級を目指すべきかどうか迷われている方は、ご判断にお役立てください。

日商簿記1級の難易度と勉強時間

日商簿記1級は合格率が非常に低く、それだけ試験の難易度も高い資格です。 まず、簿記1級から簿記3級の合格率を比較しましょう。

1級 2級
(統一試験)
2級
(ネット試験)
3級
(統一試験)
3級
(ネット試験)
直近合格率 12.5% 21.1% 37.0% 34.0% 39.0%

簿記1級の合格率は、近年10%台(直近は12%台)という低水準で推移している一方、2級は20%台、3級は30%~40%です。
また、2級・3級はCBT方式のネット試験が実施されており、紙形式で行う統一試験よりもさらに合格率が高い傾向があります。

このデータから、簿記1級は2級や3級に比べて取得する難易度が高く、合格は狭き門であることがうかがえます。
簿記1級の難易度が高い理由は、2級や3級と比べてより深い知識を要する問題が多いことや、出題範囲が大きく広がっていることです。

また、簿記1級に合格するには、4科目全体で70%以上を正解する必要があります。
さらに、1科目ごとに40%以上の正答率が必須で、全科目においてバランスよく幅広い知識が必要です。
これらの厳しい条件が、簿記1級の難易度を一層押し上げていると言えるでしょう。

簿記1級の合格に必要な勉強時間は、独学の場合で500~1,000時間程度と言われています。
仕事の合間に1日3時間勉強したとしても、半年~1年ほどかかるでしょう。
さらに、簿記が初学の場合は2級と3級の範囲も含めて学習する必要があります。3級に必要な勉強時間は80~150時間程度、2級は200~350時間程度と言われています。

ただし、通信講座や予備校を利用するなど、効率的に学習を進めることで勉強時間を縮めることは可能です。
勉強時間には、事前知識や学習方法により個人差がありますが、簿記1級の難易度が2級・3級と比較してはるかに高いことは明らかでしょう。


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日商簿記1級は意味ないと言われる理由

簿記の幅広い知識とスキルが身につく日商簿記1級が「意味ない」と言われるには、それなりの根拠があるようです。
その主な理由として、以下の3点に着目してみましょう。

独占業務がない

税理士は税務の代行や税務相談、公認会計士は監査を「独占業務」として取り扱うことできるようになります。
独占業務があることで、転職市場における市場価値が高まるだけでなく、将来的に独立開業を目指すことも可能です。
しかし、簿記1級には独占業務がないため、「簿記1級を取得しても携われる業務が特に増えない」という視点で価値が薄れると見られています。

実務経験がなければ転職でアピールしにくい

簿記1級取得者が転職で直面する問題の一つが、実務経験の不足です。
多くの企業では、経理業務に対して実務経験を重視し、資格だけでなく実践的なスキルを求める傾向にあります。
簿記1級の保有自体を否定されるわけではありませんが、実際に会計や経理の仕事に携わったことがなければアピールしにくく、実務経験のある応募者と比較すると不利になる可能性もあるでしょう。

中小企業ではオーバースペックになりやすい

簿記1級の高度な知識とスキルは、連結会計や自社株の仕訳などを必要とする大手企業・上場企業で活かすことができます。
対して、簡易的な経理業務や会計処理が多い中小企業では、簿記2級程度の知識でも十分であり、簿記1級ほどの能力はほとんど必要とされません。
そのため、簿記1級を持つことが、中小企業での経理職においてオーバースペックと見なされることがあります。
資格自体に価値があっても、実務で求められていなければ「意味ない」と指摘されることになるでしょう。

以上の理由から、日商簿記1級自体は無意味ではないものの、それだけでは実務での活用やアピール力に直結しづらいという側面が、否定的な意見につながっているようです。


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日商簿記1級を取得する意味がある人は?

日商簿記1級を取得する意味がある人は?では、どのような目的を持つ人であれば、簿記1級を取得する意味があるのでしょうか。
該当する人物像は以下のとおりです。

大手企業の経理へ転職したい人/勤務している人

高度な会計処理に対応できる簿記1級取得者は、大手企業の経理部門におけるキャリア形成に有利です。
多くの大手企業は子会社や関連会社を有し、これら複数の企業を一つの組織体として捉える連結会計を実施しています。
そのため、簿記1級で学ぶ連結会計の深い理解が、大手企業での職務や転職の際に重要なアピールポイントとなるでしょう。

メーカーの経理へ転職したい人/勤務している人

ほとんどのメーカーでは工業簿記や原価計算が主要な会計手法として活用されています。
そのため、簿記1級で身につける工業簿記や原価計算の知識は、製品メーカーなどの製造業で高く評価されるでしょう。

工業簿記は簿記2級でも試験科目となっていますが、理解すべき範囲は簿記1級のほうがより広く深い領域です。
すでにメーカーの経理部門に勤めている方や、転職を検討している方は、日商簿記1級が役に立つでしょう。

将来的に税理士を目指している人

簿記1級は、合格すると税理士試験の受験資格を得られるため、税理士を目指す方にとっても意味のある資格です。
また、簿記1級の試験科目である会計学は、税理士試験の簿記論と重なる内容が多く、税理士の受験に向けた土台作りに役立ちます。


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日商簿記1級を取得するメリット

日商簿記1級は意味ないと言われることがある一方で、さまざまなメリットのある資格でもあります。
ここでは、簿記1級の主なメリットをご紹介します。

高度な会計知識を身につけることができる

日商簿記1級は、単なる簿記の枠を超え、会計の構造的な背景や本質を理解する資格です。
簿記のルールが用いられる意図や、ビジネスにどのように関連しているのかを読み解き、そのプロセスを会得します。
企業の財務状況を正確に把握できる高度な能力が身につくため、会計の専門家としての価値を高めることが可能です。

昇給・昇格や年収アップにつながる

資格としての価値が高い日商簿記1級は、昇給や昇格などの年収アップにもつながります。
弊社MS-Japanの転職者データによると、簿記2級取得者の平均年収が466万円である一方、簿記1級取得者の平均年収は574万円です。
この100万円以上の差は、採用する企業目線で簿記1級取得者に対する期待度の大きさを物語っています。

資格手当がつく可能性がある

昇給・昇格だけでなく、簿記1級取得者に対して資格手当が支給されることがあります。
資格手当は、企業の評価制度の一環として、資格に伴う能力を持つ従業員に支給されることが一般的です。
支給額は企業によって異なりますが、収入面でプラスアルファのメリットとなります。

大手企業やメーカーへの転職に有利

前章でも解説した通り、簿記1級は大手企業やメーカーの経理部門に適した資格です。
大手企業やメーカーの経理部門への転職活動において、他の応募者ト差別化することができます。


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まとめ

「日商簿記1級は意味ない」という風評は、言葉足らずに過ぎません。
日商簿記1級を取得すること自体が無意味なのではなく、取得者の職場環境や志向によっては最大限生かすことができない場合もあります。

日商簿記1級取得者が、大手企業やメーカーの経理部門への転職税理士試験合格などを目指している場合は、大いに役に立つでしょう。

この記事を監修したキャリアアドバイザー

圓鍔 忍

大学卒業後、旅行代理店にて法人営業を約3年。20代でMS‐Japanへ入社。
企業の採用支援(リクルーティングアドバイザー)を約8年、求職者の転職支援(キャリアアドバイザー)を約5年経験。
両ポジションでチームマネジメントを経験し、キャリアアドバイザーとしては複数回にわたり支援実績数NO1を獲得。リクルーティングアドバイザーにおいても入社1年半後にチームマネジメントを経験させていただきました。現在は子育てと両立しながら、常に社内でトップ10以内の採用支援実績を維持。

経理・財務 ・ 法務 ・ 役員・その他 ・ IPO ・ 公認会計士 ・ 弁護士 を専門領域として、これまで数多くのご支援実績がございます。管理部門・士業に特化したMS-Japanだから分かる業界・転職情報を日々更新中です!本記事を通して転職をお考えの方は是非一度ご相談下さい!

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