2024年03月15日

会計事務所業界で働き続けるというキャリアの可能性

管理部門・士業の転職

こんにちは、MS-Japanキャリアアドバイザー兼リクルーティングアドバイザーの齊藤です。
私はこれまで、主に会計事務所・監査法人・社労士法人など士業領域の転職サポートを行うと同時に、法人側の採用アドバイスなどを行ってきました。

昨今、士業での人材確保は人手不足により難化しており、採用に頭を悩ませる法人が沢山存在しています。
この記事は、主に会計事務所で働く方々に向けて市場価値を知って頂くこと、またその後のキャリア形成について考えるきっかけにして頂くことを目的に書いています。今後のキャリアを考えるうえで参考になれば幸いです。

会計事務所の転職市況について

会計事務所では、年々採用活動が難しくなっているという声を聞くことが増えています。
新型コロナウイルス流行前までは広告媒体(人材ドラフト、ハローワーク、他広告媒体など)や自社のホームページに求人を公開しておくだけで応募が来ていたものが、最近は全く応募が来ず、エージェントに相談をされる法人が増えています。
また、これまでエージェントを利用して採用活動を行っていた法人に関しても、必須要件を緩和されたり、業界未経験者の採用に枠を広げているケースも増えています。

このような市況ですので、現在会計事務所で経験を積まれている方は、経験年数や税理士資格、科目合格の有無に関わらず、その経験と知識を求めている法人を見つけやすい状況です。
分かりやすい例を出すと、 会計事務所で3年程度経験のある方(決算業務や申告書の作成が一通りできる方)ですと、書類応募をしてから書類選考通過→面接→内定をもらうまで1週間~3週間程度しかかからないケースがほとんどです(事務所の繁忙期など時期にもよる)。

会計事務所は年収が上がっている傾向

上記のような状況を受け、会計事務所経験者や税理士への提示年収というのも年々上がってきています。
以下、過去私の担当法人での採用決定実績に基づき、会計事務所へ転職した方の年収UPや未経験でも高額の提示が出た例をご紹介致します。

20代半ば男性/1科目合格者(簿記論)と1科目受験結果待ち

会計事務所未経験
(事業会社での経理総務経験有)
年収:350万円

矢印 矢印

約100名規模の税理士法人
年収:457万円


30代後半女性/2科目合格者(簿・財)

会計事務所トータル2年半経験
年収:400万円

矢印 矢印

約50名規模の税理士法人(SPCメイン)
年収:500万円


50代後半男性/税理士未登録(簿・財・相・固・法)

会計事務所未経験
(金融機関にて融資、営業等の経験有)
年収:1,000万円

矢印 矢印

約50名程度の税理士法人
年収:700万円


このように、年収を出してでも採用をしたいと考える法人があり、それは単純に法人の規模に比例する訳ではありません。
実際、大手税理士法人のほうが、数名の会計事務所に比べると平均年収は高くなりますが、中には少数精鋭で運営している会計事務所でも、担当するクライアントの売上から逆算して高額の年収を提示されるケースもあります。

会計事務所で働き続けることで年収は上げられる

一見、事業会社と比較すると給与水準が低いと思われがちな業界ですが、積み上げる経験や資格によっては大幅な給与UPが見込める業界でもあります。

現職にいて年収を上げていくことが難しい場合でも、転職をする事でその先の得られるものが変わってくる場合がありますし、経験する業務内容の幅を広げることで更に市場価値を高めることも可能になります。
そういった意味では、現職で年収が上がらないからといって、会計事務所業界で働くことを辞めてしまうのではなく、資格取得や経験を積み上げていくことによって、人手不足の業界において高い市場価値を発揮することができ、努力次第で年収を上げていける魅力的な業界と言えるでしょう。

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求められる経験や能力・採用基準として見られるポイントとは

では、どのような経験やスキルがあると自分が働きたいと思える法人から求められる人材になるのでしょうか。

会計事務所が求める経験

会計事務所経験者として求められる経験として、法人側が気にされている点は、「どこまで一人で対応ができるのか」です。
例えば、会計事務所1年勤務の方が法人担当15社、個人クライアント5件の対応をしていましたと言ったときに、仕分けや記帳代行、決算業務と申告書の作成、巡回監査などその方が一人でどこまで対応をしていたのか、面接の中では必ず確認されます。
ここできちんと自分のレベル感をお伝え出来ないと、入社後のミスマッチにつながるケースもありますので、自分が携わってきた業務のレベルはしっかりと説明することが大切です。

また、最近では相続の経験を積みたいという方も増えている傾向があり、また法人側としても相続案件が増加している事務所も多いため、相続経験がある方を歓迎条件として求人を出すケースも増えています。
そういった経験をしている方も転職において優位になることがあります。
このように、顧問業務以外で特筆すべき経験がある場合には、アピールポイントになりえるため、積極的に伝えていきましょう。

会計事務所が求める能力(スキル)

次に、求められる能力についてですが、ここで私が一番皆さんに伝えたい事は、内定の確率は単純に事務所経験年数や経験には比例しないということです。

法人側が採用する際に経験と同じくらい重視するもの、それは何かと言うと、「人柄」・「コミュニケーション能力・理解力」です。
法人との打ち合わせをする際に、採用において重視しているポイントについて聞くと、必ずと言って良いほど上記のうち人柄とコミュニケーション能力について挙げられるケースが多いです。
人柄について、学力を図るだけではなく性格診断の適性検査を採用の一環として導入されている法人も年々増えており、その結果を重視して合否の判断をしている法人もあります。

クライアントと適切な関係を築けるか、社内で良好な人間関係を築きチームワークを大切にして仕事ができるかなど、判断軸は法人によって様々ですが、その結果を判断材料として活用しています。
コミュニケーション能力についてもかなり重要性が高い項目になります。特に、クライアント対応を任されるポジション(フロント、外勤)においては特に、正しいコミュニケーションの受け答えができるかどうかなどを面接で見られています。
あまり会話が広がらない端的な回答や、相手の知りたがっている範囲での回答が得られないなどといったケースでは、それが理由で選考見送りになるケースが多いです。

実例として、10年、20年以上の会計事務所経験者で科目合格をされている方でも、書類選考は通過するものの、面接に行くと不合格になってしまうケースもあります。
そのほとんどはコミュニケーション能力が理由です。逆に言うと、会計事務所での経験が1年以下の方でも、円滑なコミュニケーションが取れる方は何社も内定が出て採用に至るケースも多いです。

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転職先の選び方のコツ

最後に、これまでの内容を踏まえて転職先を選ぶ際のコツを紹介します。
大切なのは、「転職軸を明確にすること」、「事前準備(情報収集)を行うこと」です。

転職軸をしっかり定める

転職軸についてですが、選考が進むにつれて最終的にどの法人が自分に合っているのか、そもそもの転職理由が何だったかを見失ってしまい、転職するかどうかの意思決定ができなくなる方がいます。

最近では退職交渉時に現職での給与UPやポジション異動が叶った事により現職残留を選択されるケースも増えています。
もちろん、転職活動に動いた結果、良い方向に変わったケースもあるので、現職に残ることが必ずしも悪いというわけではありませんが、慎重に判断すべきでしょう。

現職の事務所も人材確保のための手段として一時的な措置で年収UPなどをされますが、結局その後のキャリアが見えなかったり、年収がそれ以上に年収が上がりづらい、やっている業務内容が変わらないなどの理由でその後1年も経たずに転職活動を再開される方も多いです。
そうすると、前回の転職活動時に受けていた法人の選考を受けられないケースもありますので、判断は慎重に行って頂きたいと思います。
迷ってしまうこと自体は悪いことではありませんので、そんな時は初心に立ち返り、転職活動をしようと思ったときのことを思い出して、「今回の転職で何を叶えたいのか」を明確に持っておくことが大切です。

事前準備は入念に行う

もう一つ、転職活動を行う際は応募をする前に事前準備が大切です。具体的な事前準備としては、自己分析情報収集になります。

自己分析は、これまで身につけてきた経験の洗い出しと強みを理解し、またその後のキャリアビジョンについて考えることが大切です。
そのうえで、情報収集としては自分の希望を叶える求人を探し、その中で自分の今の能力で受けられる求人がどのくらいあるかを知ることです。

自分の叶えたいことを理解し、そのうえで自分の市場価値が分かれば、大きなミスマッチに繋がるリスクは避けられます。
それらが分からないまま選考を進めてしまい、短期間に何回も転職を繰り返している方がいますが、そういった方は回数を重ねる毎に長期就業・定着性への懸念から、書類選考が通過できない可能性が高くなります。
自分一人で情報収集をするには限界がありますので、エージェントに相談するなど、事前の情報収集をされると良いかと思います。

エージェントの中には、特定領域に専門特化したエージェントから総合大手まで色々なタイプの会社や担当者が存在します。
相性の良し悪しもありますが、自分の知りたい情報を多く持っているエージェントに依頼することをお勧めします。
MS-Japanは会計事務所業界の転職支援に特化しており、30年以上の歴史があるため、様々な会計事務所の情報を有しており、業界ならではの転職事情にも精通しております。
転職をお考えの際には、ぜひ転職エージェントサービス「MS Agent」のご利用をご検討いただけますと幸いです。

まとめ

「いずれAIに代替される業界」と思われがちな会計事務所業界ですが、一部を除くと(会計ソフトへの入力など)その実態は全く違うと言えます。
会計事務所業界で経験を積んできた方は、その経験を必要とする事務所は数多くありますので、その中から自分の希望に適した事務所で働き、会計事務所で働き続けることで、理想のキャリア形成をして頂きたいと思います。
そのための一助に弊社がなれましたら幸いです。

この記事を監修したキャリアアドバイザー

齊藤 仁美

大学卒業後、幸せに働く人を増やしたいという想いから新卒でMS-Japanに入社。
上場企業を中心とした求人開拓から管理部門全般のマッチングを行い、2021年1月より専門性の高いJ事業部に異動。
主に会計事務所、監査法人、社労士事務所の担当を持ちながら士業領域での転職を検討している方のカウンセリングから案件紹介を両面で行う。

会計事務所・監査法人 ・ 公認会計士 ・ 税理士 ・ 税理士科目合格 ・ USCPA を専門領域として、これまで数多くのご支援実績がございます。管理部門・士業に特化したMS-Japanだから分かる業界・転職情報を日々更新中です!本記事を通して転職をお考えの方は是非一度ご相談下さい!

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