弁護士が社会保険労務士の資格を取得するメリットとは
社会保険労務士は、健康保険や年金、労働保険、企業労務管理などに関するコンサルティングなどを行う法律系の国家資格です。この社会保険労務士を、弁護士が取得する「ダブルライセンス」として注目されているようです。そこには、どのようなメリットがあるのでしょうか。
社会保険労務士の資格取得方法
弁護士には、税理士と弁理士の業務を無条件で行うことができる特権があります(弁護士法3条2項)。よって、弁護士は税理士試験や弁理士試験を受験せずに、これらの資格者として正式に登録することができるのです。
また、弁護士資格を有する人は、社会保険労務士としても業務を行うことができる権利を持ちます。(社会保険労務士法 3条2項)
しかし、社会保険労務士名簿に社会保険労務士として登録しないと、社会保険労務士と名乗ることはできません(社会保険労務士法第26条1項)。
ですので社会保険労務士を検討している場合は、注意しましょう。
付加価値が提供できる弁護士は強い
司法試験の合格枠が拡張され、その拡張幅がそのまま弁護士人口の急増に繋がっています。昔のように、弁護士資格さえ取得できれば安泰という時代ではありません。
弁護士資格が世の中で希少性や特権性を失いつつあり、コモディティ化してきています。特に弁護士は都市部に偏在しており、顧客の獲得競争が激化しているのです。
そこで、他の弁護士と違う優位性(USP)を示し、差別化した特徴をアピールすることで、人々に選んでもらえるポイントを増やし、競争力を高める戦略が有効とされています。そうしたUSP戦略のひとつが、ダブルライセンスです。
企業法務を扱う弁護士は、労働法の案件に携わることが多いです。よって、労働法の専門家である社会保険労務士の資格を取得していれば、企業法務案件や顧問契約の獲得競争で優位に立つことができるでしょう。さらに、企業活動と社会保険は切っても切り離せないので、その点でも社会保険労務士の資格がある弁護士は、独自の付加価値を提供することができます。
ただし、弁護士に比べて「社会保険労務士」の社会的知名度は、決して高くありません。よって、ダブルライセンス取得者であることをアピールするとともに、社会保険労務士が労働法や社会保険制度に特化したコンサルタントで国家資格である事実も示す必要があります。
社会労務士資格を取得していると転職にも有利に働くのか
社会保険労務士の資格を取得している弁護士は、他の一般的な弁護士よりも、転職活動を有利に進めるカードを持っているといえるでしょう。特に、企業法務や従業員からの労働相談を多く受けている法律事務所からは、歓迎してもらえる可能性が高いです。企業の法務部などに入る組織内弁護士(インハウスローヤー)への転身にも有利です。
ただし、資格をひとつ多く持っているというだけで慢心してはなりません。面接でのコミュニケーション能力や、クライアントを尊重する姿勢など、弁護士として必須の資質が欠けていれば、せっかくのダブルライセンスも宝の持ち腐れになってしまうかもしれません。
まとめ
弁護士としての市場競争力の向上を図り、スキルアップを期すため、社会保険労務士の資格の取得が注目されています。しかし、その取得は決して簡単ではありませんし、社会保険労務士資格を取得したとしても、それだけでクライアントが寄ってくるわけでもありません。常に自己研鑽をしつつ、広告やブログ、SNSなどでこまめに独自性をアピールする地道な対策こそが、やはり法曹界で大成するための近道なのです。
<参考>
・ 全国社会保険労務士会連合会 試験センター
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