2024年04月02日

監査対応って何をすればいいの?準備する書類や注意すべきポイントなど

管理部門・士業の転職

監査法人・公認会計士による監査が義務付けられている企業においては、主に経理担当者が監査対応の準備を進めます。監査対応は企業経営において非常に重要な業務であり、初めて監査対応に携わる経理担当者の中には、ナーバスになってしまう人も少なくありません。

但し、監査は自社の決算書の信頼性を担保するために必要不可欠であることから、対応経験を積むことでキャリアアップを期待できるので、しっかりとポイントを押さえた上で適切に対応したい仕事です。
この記事では、監査対応において準備すべき書類や、実際に監査を受ける際の注意すべきポイントなどを解説します

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そもそも監査とは

一口に監査といっても複数の種類があり、本記事で主に解説するのは「外部監査(会計監査)」についてです。
外部監査は公認会計士・監査法人の主業務であり、法人の活動とその結果に関する法令、社内規定の遵守・正確性・妥当性を判断し報告を行う業務を指します。

主な監査の役割は、会計の不正を未然に防いだり、発見したりすることです。
企業経営が健全であることを証明する意味合いもあり、監査を受けることで、取引先・株主などのステークホルダーに経営の健全性を証明することができます

一定の条件を満たす企業は、法定監査として監査を受けることが義務付けられており、実施しない場合はペナルティを受けることもあります。
本質的には、自社の経営の合法性・合理性などを対外的に証明する意味合いで行われるため、企業としては経営が正しく行われていることをアピールする上で重要なプロセスといえます。


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監査が必要な企業

監査は任意であらゆる企業が受けられるものですが、法律上の理由などから“監査を受けなければならない”企業もいくつか存在しています。
以下、監査が義務付けられている企業について解説します。

大企業

大企業(大会社)とは、最終事業年度に係る貸借対照表において、資本金が5億円以上または負債の部の合計額が200億円以上である株式会社を指します。
このような企業は、会社法第328条において会計監査人による監査が義務付けられています。

監査等委員会設置会社

監査等委員会設置会社とは、取締役3名以上でつくる監査等委員会が、取締役の業務執行を監査する株式会社のことをいいます。
監査等委員会設置会社は、会社法第327条第5項において監査が義務付けられており、監査の取り扱いは大企業と同様になります。

会計監査人を任意設置した会社

定款に定めることにより、会計監査人を任意設置した会社も、監査を受けることになります。
会計監査人の設置自体は任意であるものの、一度設置すると法定監査として義務付けられ、監査をやめたい場合は再度定款の変更が必要です。


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監査で見ているポイント

監査においては、時間や労力の関係から、会計処理のすべてを詳細にチェックされることはないと考えて良いでしょう。
次のような点は、不正や単純なミスが生じやすく、監査でも念入りにチェックされるポイントになります。

  • 貸借対照表や損益計算書と総勘定元帳の内容
  • 売掛金や買掛金の残高
  • 現金・預金・借入金の残高
  • 勘定科目
  • 引当金
  • 前期の決算数値との比較増減値

すべての取引を勘定科目ごとに記録する総勘定元帳は、貸借対照表や損益計算書を作成する上での基礎となるもので、もし「数字が合わない」ことがあれば、何か間違い・不正が疑われます
売掛金・買掛金に関しては、取引先の残高証明書と照合する必要があり、同様に現金・預金・借入金の残高も残高証明書によって照合することになります。

勘定科目は、どのようなものを使用しても良いというわけではないため、取引を正しく示すものが使用されているか・残高は正確かなど、誤りがないかどうかを確認していきます。
その他、引当金の計上額や計上方法、前期の決算数値と比較して不自然な増減値がないかどうかもチェックされます。


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監査対応の前に経理が準備すべきこと

監査対応の前に経理が準備すべきこと監査対応に携わる際は、監査が円滑に進むよう、事前準備を丁寧に行うことが大切です。
以下、経理担当者が監査対応の前に準備すべきことについて、主なものをいくつかご紹介します。

必要書類の準備をしておく

監査時は、次のような書類を準備することが求められます。

  • 株主名簿、株主総会の議事録
  • 取締役会議事録
  • 決算書類
  • 総勘定元帳データ
  • 請求書や領収書、小口現金伝票などの書類・伝票
  • 賃貸契約書やローン契約書などの契約書類
  • 銀行の取引明細書、預金通帳
  • 棚卸表
  • 固定資産台帳

上記だけでなく、必要に応じて他の書類を求められるケースもあるため、会計監査人から渡された書類リストをもとに準備を進めます。
書類について会計監査人から質問されることも想定されるため、各書類等について理解しているスタッフの時間を確保することも重要になります。

気を付けなければならない点として、資料に不備などが見受けられた場合、追加で監査が必要になることがあげられます。
追加監査時は別途費用が発生するため、極力追加監査につながらないよう準備を進めましょう。

書類の内容や業務範囲について理解しておく

経理職の業務はルーティンで回っている部分も多く、監査で書類の内容や業務範囲について質問されると、言葉が出てこなくなり焦ってしまうケースは決して珍しくありません。
特に、資料作成だけを担当していて具体的な数値の意味を把握していないと、自分が担当している勘定科目であっても的を得た説明ができない場合があります。

業務範囲についても同様で、担当者の領分が明確に仕分けられていないまま仕事をしていると、どうしても回答の内容が曖昧になってしまいます。
上司・先輩等に負担をかけないようにするため、最低限、自分が担当する決算資料・業務範囲については会計監査人からの質問に答えられるよう準備しておきましょう

会計処理について都度相談しておく

会計基準が新しくなったり、これまでは経験してこなかった取引に取り組んだりする場合、当然ながら適正な会計処理が問題となります。
中には複雑な処理を要するものもあることから、会計処理について事前に監査法人・公認会計士に確認しておくと、監査がスムーズになるでしょう。

事前に相談しておくと、会計処理における意見の相違も早期に折り合いを付けられますから、予定していたスケジュール通り決算作業を進める上では非常に大切なプロセスです。
決算作業が始まる前に、自社が適用予定の会計処理について都度相談しておき、自社と監査法人等との間でコンセンサスをとることが理想です。


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監査対応の注意点

実際に監査対応を進める上で、経理担当者レベルで気を付けたい点としては、どのようなものがあるのでしょうか。
以下、監査対応時の主な注意点について解説します。

監査で見られるポイントは要チェック

監査法人は、税務署や国税庁とは異なり、基本的に「自社のために」動いてくれている存在です。
企業担当者からすれば、一見重箱の隅をつついているような指摘に感じられることがあったとしても、それは本当に重要なポイントだからこそチェックを入れているのです。

具体的には、新しいこと・処理が複雑なことに焦点を置いて監査が進められるものと考えられます。
よって、これらの点について情報を整理しておくと安心です。

監査調書を想定した回答を行う

監査法人が実施した監査手続の内容・結果を記録した資料を「監査調書」といい、例えば監査法人が監査を担当した場合、担当者が残した調書を見て上席者が追加手続や監査全体の判断に用います。
他には、監査法人の監査業務が適切かどうか、公認会計士協会の当局が確認する際の材料にもなります。

企業としては、監査法人側の立場に立ち、監査調書に記載する内容を想定して回答することが、スムーズな監査対応につながります
業務の流れだけでなく、なぜこのような会計処理に至ったのかを分かりやすく伝えつつ、できる限り数値化した情報も回答に盛り込めるようにしましょう。

虚偽の申告や、社内用語など相手が分からない言葉を使わない

ビジネスシーンにおける“嘘”には様々な意味がありますが、少なくとも監査における虚偽の申告は非常にリスキーなため、認識の誤りも含め避けなければなりません。
そもそも、嘘を暴くために監査をやっている一面もあることから、嘘を見抜くプロである会計監査人に対してそれを行うのは、基本的に不毛な行為と言わざるを得ません。

また、どんなに監査経験が豊富な会計監査人であっても、社内用語は通用しないものと考えておくと、コミュニケーションがスムーズです。
社内で当たり前の知識になっていることを洗い出し、一般人にも分かりやすく話せるようにしておくことをおすすめします。


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まとめ

企業経営の健全性を対外的に証明する上で、監査は重要な役割を担います。
不正が社会に重大な影響を与える大企業等に関しては、法律上必須となっているため、監査対応は大企業等に勤務する経理担当者にとっても重要な職務の一つです。

監査でチェックされる項目の多くは、不正や単純なミスが生じやすいポイントに絞られており、あらかじめ準備すればスムーズに監査を進めることも不可能ではありません。
監査法人等の会計監査人は、あくまでも「企業側の味方」ですから、経理担当者としても誠実な対応を心がけたいところです。

管理部門・士業の転職

この記事を監修したキャリアアドバイザー

森澤 初美

カナダ州立大学卒業後、新卒でMS-Japanへ入社。求人企業側の営業職を経験した後、2014年にキャリアアドバイザーへ異動。2016年からは横浜支社にて神奈川県内の士業、管理部門全職種を対象にこれまで3000名以上のカウンセリングを担当。現在は関東全域を対象に経理・財務・経営企画・CFO・公認会計士・税理士・税理士補助スタッフなどの会計系職種を幅広く担当。

経理・財務 ・ 人事・総務 ・ 法務 ・ 経営企画・内部監査 ・ 外資・グローバル企業 ・ 会計事務所・監査法人 ・ 役員・その他 ・ IPO ・ 公認会計士 ・ 税理士 ・ USCPA ・ 弁護士 を専門領域として、これまで数多くのご支援実績がございます。管理部門・士業に特化したMS-Japanだから分かる業界・転職情報を日々更新中です!本記事を通して転職をお考えの方は是非一度ご相談下さい!

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